【生活習慣】無理はしない!楽しく続けられる習慣で免疫力アップ
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【生活習慣】無理はしない!楽しく続けられる習慣で免疫力アップ
体内に侵入してきたウイルスを撃退し、風邪の発症を抑える“免疫の力”。その力を高めるのに重要なカギを握るのがNK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化させることです。しかし、NK細胞はさまざま影響を受けやすいため、誤った健康習慣によって本来の力を弱めてしまっているケースがあります。NK細胞に悪影響を及ぼす習慣・考え方。そして、NK細胞活性を高める健康習慣とは…?
意外!?その”健康習慣”が免疫力を低下させていた!
動脈硬化のリスクが高まることから、コレステロール値が高いとよくないとされてきましたが、身体全体で考えると、コレステロールはとても大切なもの。悪玉とされるLDLコレステロールですが、それが低値であるほど、がんなどの病気にかかる確率も、死亡率も高いことがわかっています。コレステロールはさまざまなホルモンを作る材料。不足することで、ホルモンと密接な関係にある神経系と免疫系に悪影響を及ぼし、結果NK細胞の力を弱めると考えられます。もちろんコレステロール値が高過ぎるのはよくありませんが、心臓などに持病がない人であれば、少々高くても気にすることはなく、薬で無理に値を下げることもおすすめできません。
TVなどで見るスポーツ選手は、とても健康的なイメージ。ストイックに練習に励み、大会で輝かしい記録を手にする姿は感動的ですが、健康の観点から見ると、激しい運動は身体にいいとは言えません。多くのスポーツ選手は、実はよく風邪にかかっているのです。これは、激しい運動をした直後にNK細胞の力がガクンと下がるため。運動をしている最中は上がるのですが、終わったときは、始める前より下がっているのです。少し速度を上げたウォーキングなど、ゆるやかな運動がNK細胞活性にはベストです。
飲酒も身体に悪いイメージがありますが、"酒は百薬の長"と言われるように、適量のお酒を飲む人の死亡率が、まったく飲まない人、大量に飲む人に比べて最も低いことがわかっています。その理由はいくつか考えられ、肝臓への軽い刺激によってNK細胞が活性化することもそのひとつに挙げられます。お酒を飲むとリラックスできることも、NK細胞の活性化につながっているようです。お酒は長生きのもとにもなりますが、飲み過ぎは禁物。ほろ酔い程度なら毎日飲んでもかまいません。
NK細胞をはじめ、免疫細胞の約70%が存在しているのが腸。腸が健康でなければ、NK細胞活性化は望めません。便秘は腸内環境を悪化させる原因ですが、ただ薬でスッキリさせるだけでは、腸内環境を整えることにはなりません。食物繊維や発酵食品、乳酸菌などを摂り、腸内の細菌を善玉菌優位な状態にすることが、腸の健康を作る近道。自然なお通じを促す力もつけられます。薬に頼らず、食事や運動で便秘を解消し、腸内環境を整えることが、NK細胞活性化につながります。
コレならできる!NK細胞活性を高める健康習慣。
ストレスはNK細胞の力をがくんと弱めてしまいます。身体のために、と苦手なこともつらいことも、ガマンして続けるのはいいことではありません。『身体にいいからやらなければ』『悪いことはやめなければ』。そんな思いで続けることがNK細胞活性を弱めてしまうのです。免疫力の要であるNK細胞を活性化させる方法は、大きく3つ。腸の健康を保つこと、生活リズムを壊さないこと、体温を下げないこと。それを、楽しみながら続けられるアイデアをご紹介します。
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身体にいいものをバランスよく食べる。それも大切ですが、どう食べるかもとても大事。ひとりであわただしく食べるよりも、家族や友人とおしゃべりしながら食べるほうが、NK細胞活性が高められます。好きなものを楽しく食べる機会も持ちましょう。
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笑うことで脳が刺激され、それが大腸の神経細胞に伝わると、免疫機能活性ホルモンが分泌されるのです。口角を上げて笑うフリでもOK。脳が幸せだと勘違いしてくれます。泣くこともリラックス効果がありますから、泣きたいときはガマンせず泣きましょう。
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NK細胞をはじめ、免疫細胞の約70%が存在している腸。腸が健康であれば、NK細胞の力も高まります。食物繊維や発酵食品、乳酸菌が腸内環境を整えてくれます。中でも一番簡単なのはヨーグルトを摂ること。相性のいいりんごやバナナと併せても◎。
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激しい運動は、有害な活性酸素が大量に発生し、終わった直後にNK細胞の力がぐんと弱まります。NK細胞活性には、週に3~4日、20~30分のウォーキングなど、ゆるめの"ちんたら運動"を。ハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌も高まります。
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NK細胞は1日の中で規則的なリズムをきざんでいます。昼は活性が高く、夜は低くなります。このリズムをくずさないようにすると、NK細胞の力が高まります。慣れない夜更かしはせず、生活リズムを整えて。NK細胞が減少する40代からは特に、無理をしないで。
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NK細胞は、体内温度37℃(脇の下の検温で36.5℃)以上で活発になります。身体を温めるのに、お風呂は一番いい方法。40℃ほどのお風呂に15分、ゆっくりつかりましょう。血圧が高い人、心臓が弱い人は半身浴がいいでしょう。
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- 細胞を作る材料になるのは、肉(牛肉、豚肉、鶏肉)や魚、卵、大豆、乳製品などに含まれるタンパク質。肉や卵はコレステロールを多く含んでいますが、コレステロールはがんを予防する働きがあるので、持病がない場合は気にせず摂るほうがいいでしょう。動物性タンパク質を摂っている高齢者は老化が遅く病気になりにくいというデータもあります。
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- 身体を温める食品の代表は生姜。辛味成分のジンゲロールには血流を促進し、体温を上昇させる働きがあります。赤唐辛子のカプサイシン、山椒のサンショウオールなども身体を温める成分です。にんにくに含まれるアリシンは熱を加えることで血行を促進する成分スコルジニンに変化します。蓮根やごぼう、ねぎなど根菜類も温める作用があります。
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- 風邪予防に役立つNK細胞を活性化する方法の詳細はこちら
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- 取材協力・記事監修
- 奥村 康 先生順天堂大学医学部 免疫学講座 特任教授