朝食は、健康作りにとても大切なもの。欠食せず毎朝摂っているという人は、もちろん多いでしょう。パンかご飯か。コーヒーだけ、旅館のようなしっかり和食と、朝食スタイルはさまざまにあります。どれも間違いではありませんが、健康作りに役立つ、よりよい摂り方があります。それは、【体内時計】を考えて摂る方法。朝に、何をどう食べると健康作りに役立つのでしょうか? 【時間栄養学】の第一人者、柴田重信先生にお聞きしました。
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CHECK|時間栄養学って何?
私たちの身体には、1日のリズムに合わせて働く体内時計が備わっています。朝に体温や血圧を上げて活動の準備をするのも、夜に体温や血圧を下げて睡眠を促すのも体内時計の働きによるもの。健康維持には体内時計のリズムを整えることが大切。時間栄養学は、体内時計の仕組みを考えて、いつ、どう食べるかに着目した学問です。
お腹が空いていない時は、
無理に朝食を摂らないほうがいい。
朝食は、体内時計をリセットする重要なもの。
食べられるものを食べましょう。
1日は24時間ですが、私たちの身体に備わっている体内時計は、24.5時間で働いています。0.5時間のズレがあり、それを修正しないと体内時計が乱れ、高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスクが高まります。ズレを修正するのは、朝の光と朝食。太陽光など光の刺激が脳にある親時計に届くと、全身の子時計に朝を知らせ、ズレをリセットします。一方の朝食は、親時計からの知らせを受けなくても子時計をリセットすることができるので、とても大切なのです。食べられるものを食べましょう。欠食はよくありません。どうしても食べられない時は、ジュースや飲むヨーグルトなど飲料から始めるのもよいでしょう。
食事の刺激
朝食を摂ると、身体中にある子時計が朝を認識。親時計の知らせを受けずとも、体内時計が動き始める。
光の刺激
太陽光など、光を浴びると、脳にある親時計が朝を認識。身体中にある子時計に朝を知らせる。
朝食は摂っているが、忙しい時間ではなく、
落ち着いてから食べる。
体内時計をリセットするためには
起床から1~2時間以内に摂って。
朝食の時間が遅くなってしまうと、身体にある子時計が1日の始まりを認識しにくくなりますから、リセット効果が薄れてしまいます。生活スタイルによって、起床時間はそれぞれ異なりますから、何時までにとは言えないのですが、起床からできれば1時間以内に、遅くとも2時間以内に摂るようにしてください。
朝食をしっかり摂ったほうが、太りにくい。
1日に同じカロリーを摂取するのでも、
朝食を主体にすると太りにくくなります。
朝食は、体内時計のリセットに加え、エネルギーを燃やす準備を整える役割もあります。体内時計は、朝から日中にかけて、食べたものを消化・分解し、エネルギーに変える代謝の力が高くなりますから、この時に食べたものは効率よくエネルギーとして燃やされます。しかし、朝食を抜き、昼食・夕食だけにした場合、エネルギーが燃やされず脂肪として溜め込みやすくなります。1日に同じカロリーを摂取するのでも、朝を主体にする場合と、夜を主体にする場合を比べると、朝を主体にしたほうが太りにくくなります。唐揚げやラーメンなど高カロリーなものは、朝に。難しければ昼に食べるとよいでしょう。
焼魚、納豆にご飯。朝は和食がいい。
リセット効果が高いものを多く摂れる、
理想的な朝食です。
朝食で摂りたいものは、糖質の主食と、たんぱく質。和食は、糖質を含むご飯、たんぱく質を含む魚、納豆、豆腐など、体内時計のリセット効果が高いものを多く摂れます。加えて、食物繊維にも体内時計のリセット効果があることがわかっています。さらに朝に摂取すると、1日を通して血糖値の上昇を抑える効果や、腸内フローラを改善させる効果もあります。特に水溶性食物繊維がよく、納豆や豆腐などの大豆製品、わかめや海苔、昆布などの海産物に含まれています。それらを摂れる和食は、体内時計的に理想の朝食だと言えます。
毎朝、コーヒーとトースト。
欠食しないように、朝食は簡単に。
卵料理やヨーグルトなど、
たんぱく質を加えるとよりよい。
朝食を欠かさないのはとても大切。コーヒーとトーストでもよいでしょう。食事をすると、血糖値を抑えるためにインスリンが分泌されます。それが体内時計を動かしています。糖質はインスリン分泌を促しますから、パンはリセット効果の高い食べ物です。ただ、できることならそこにたんぱく質をプラスしてください。朝はたんぱく質の吸収が盛んになることがわかっています。朝のたんぱく質にも体内時計のリセット効果があり、さらに筋肉の維持・増強につながります。卵料理やヨーグルト、チーズ、牛乳や豆乳などをプラスするとよいでしょう。
果物は、朝に摂るようにしている。
果物は水溶性食物繊維が豊富。
まさに「朝の果物は金」です。
昔から、「朝の果物は金、昼は銀、夜は銅」と言われます。果物は朝に摂るのがよいという意味です。糖質、水溶性食物繊維のペクチンが含まれていますから、朝に摂ると体内時計のリセット効果のほか、血糖値の上昇を抑える、腸内フローラ改善効果も得られます。糖質が高いので、夜に食べるとエネルギーとして燃やされず、脂肪として蓄えやすくなります。朝に食べるのが金だと言えます。
CHECK|朝食を摂る習慣がない人は、まず、飲料から始めてみて!
食欲がない場合は飲料から始めて、少しずつ食べるもののバリエーションを増やしていきましょう。やはり継続が大事です。まずは、1週間朝食を摂ることを目標に。体調の改善が実感できれば、きっとそのまま朝食を摂る習慣を持てるでしょう。
















