身近な目のトラブル、ドライアイ。治療の基本は点眼薬ですが、心を整えることが、症状の改善や予防の近道になる場合も。心と身体、そして目。すべては深くつながっている。そんな考えから生まれた【瞳美容】で、セルフケアを始めましょう。
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ドライアイと心身の不調は、深くつながっている
デリケートな構造の目。わずかな刺激でも影響。
目は、その人の印象を大きく左右する重要なパーツ。イキイキとしたまなざしは、表情を明るく見せ、その人の魅力を引き立ててくれます。そんな重要なパーツでありながら、目はとてもデリケート。睡眠不足や疲れなど、コンディションの乱れも表れやすくなります。
「目元の皮膚は顔の中でも特に薄く、たった0.6ミリしかありません。角膜(黒目の表面)が常に外気にさらされている上、神経が密集しているため、わずかな刺激や乾燥で不快感が生じやすいのです」
お話をうかがったのは、アイクリニック天神の院長、大倉萬佐子先生。瞳の健康を包括的にケアする【瞳美容】を提唱する先生です。
デリケートな構造を持つ目に、起こりやすい代表的な不調がドライアイ。5人にひとりが悩まされていると言われる疾患です。
「ドライアイとは、涙の量の不足や、質のバランスの崩れによって、目の表面が乾きやすくなる状態のこと。デジタルデバイスの長時間の使用、コンタクトレンズの装用などが主な原因ですが、実は心の状態も関係しています。ストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位な状態に。すると、涙の分泌に影響が及び、目が乾きやすくなるのです」
瞳のケアからつながる心身の健康作り。
ドライアイは、不快な症状が表れるだけでなく、睡眠にも悪影響を及ぼすのだそうです。
「ドライアイのある人は、そうでない人に比べて睡眠の質が低いという報告があります(*1)。さらに睡眠障害や気分の落ち込みとの関連も指摘されています(*2)。目の不快感が眠りを妨げる要因になり、睡眠不足がまた自律神経を乱して症状を悪化させるといった悪循環が考えられます。目と心身は、互いに影響し合っているのです」
目だけをケアするのではなく、睡眠や生活習慣を整え、心と身体のコンディションを保ちながら瞳の健康を守る。それが、先生の提唱する、瞳美容の考え方です。
「心と身体にとってよいことは、瞳にもよい。健やかな目を保つこともまた、心身の健康につながります。『目は心の鏡』ということわざの通り、瞳は、その人の心身の健康を映し出しているとも言えると思います。心身ともに健康な人の瞳は、笑みをたたえ、美しく輝いていると私は考えます」
瞳美容は特別なケアではなく、今から始められることばかり。日々の積み重ねが、瞳の健やかさと心身の健康を育ててくれます。
*1 慶應義塾大学と、大阪市立大学などの研究グループが、会社員383人を対象にした2016年の研究
*2 慶應義塾大学が、30〜69歳の女性890人を対象にした2016年の研究
Cause|ドライアイの原因。
- 加齢
- デジタルデバイスの長時間の使用
- ストレス
- 夜型の不規則な生活
- 運動不足、メタボな生活
- 空気の乾燥
- コンタクトレンズの使用
- アイメイクや目元の汚れ
- 薬の副作用 など
出典:ドライアイ研究会WEBサイト「ドライアイの原因」
Symptoms|乾きだけではない、ドライアイの症状。
- 目が疲れやすい
- 目やにが出る
- 目がゴロゴロする
- 目が重たい感じがする
- 目が乾いた感じがする
- なんとなく目に不快感がある
- 目が痛い
- 涙が出る
- ものがかすんで見える
- 目がかゆい
- 光がまぶしく感じる
- 目が赤い
瞳も心身も健やかに。今日から始める「瞳美容」
目にもオフの日を。【休眼日】を作る。
大倉先生は、瞳美容の一環として【休眼日】を作ることをすすめています。目を使わないということだけでなく、交感神経優位になりがちな日常の中で、副交感神経が働きやすい時間を意識して作るという考え方です。涙の質や量が改善され、ドライアイ対策に役立ちます。
コンタクトレンズの装用を休む。
コンタクトレンズの装用で、ドライアイの症状が表れることがあります。レンズが涙の膜を分断し、涙が蒸発しやすくなるためです。ソフトレンズには水分が含まれていますが、時間が経つにつれ水分が蒸発。レンズに涙が吸収されて目が乾燥してしまうこともあります。コンタクトレンズを外し、メガネで過ごすことで、角膜を休ませる時間を作りましょう。
のんびり過ごす。
忙しいと交感神経が優位になりがち。目も身体も緊張した状態が続きます。休日は予定を詰め込まず、のんびり過ごすとよいでしょう。好きな音楽を聴くこともおすすめです。音楽には副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる働きがあると報告されています(*3)。
デジタルデバイスの使用を極力減らす。
スマートフォンやパソコンの画面を見続けると、まばたきの回数が減り、涙が蒸発しやすくなります。さらに情報処理の連続で脳が興奮、交感神経優位な緊張状態になります。目を酷使しない時間を意識して作ることが大切です。特にベッドに入る1時間前は使用を控えて。入眠の妨げになってしまいます。
目を温める。
ホットアイマスクなどで目元を温めると、毛細血管が拡張して血流がよくなり、副交感神経が優位になります。38度前後の温かさで、5〜10分。メイクをオフ、コンタクトレンズを外した状態で行うのが理想です。入眠の助けにもなるので、ベッドに入ってから使うとよいでしょう。マイボーム腺(下を参照)の詰まりも改善されるので、涙の質の向上にもつながります。
笑う。
笑うことで副交感神経が優位になります。中国の研究では【笑いエクササイズ】で人工涙液と同等、あるいはそれ以上のドライアイ改善効果を示したと報告されています(*4)。笑うことで、ポジティブな気持ちになり、愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンが分泌されることでも涙の分泌量が増えるのではないかと考えられています。
*3 インドのマニパル大学医学部が、医学生30人を対象に行った実験。好きな音楽を一定時間聴かせ、前後で心拍数の変動を測定した
*4 中国の中山大学を中心とした研究チームが、299人のドライアイ患者を対象に行った実験。参加者を、笑いエクササイズを行うグループと点眼治療を行うグループにわけ、8週間後の症状の変化を調査
メイクもドライアイの原因に!プラスしたい目元ケア。
アイシャドウ、アイライン、マスカラ……。目元を演出するために欠かせないアイメイク。実は、それが原因で、まぶたの縁にあるマイボーム腺が詰まってしまうことがあります。マイボーム腺は、涙液の油分を分泌する器官。ここが詰まることによって、涙液のバランスが崩れ、ドライアイを引き起こしてしまいます。アイメイクをしっかり落とすという基本に加え、とり入れてほしい目元ケアがあります。
マイボーム腺:上下のまつ毛の内側に並ぶ、約50〜60個の小さな腺
マイボーム腺を清潔に保つ。
まつ毛の内側、粘膜の部分に引くアイライン、ラメやパールが入ったアイシャドウ、まぶたに厚く塗ったファンデーションなどは、特にマイボーム腺を詰まらせる原因になります。アイメイクをした日は、マイボーム腺にメイクが残らないように、目元専用のシャンプーなどで洗顔を。さらに、市販の人工涙液やヒアルロン酸の目薬を含ませた綿棒でマイボーム腺をぬぐって、清潔を保ちましょう。メイクをしてから時間が経過すると、ヨレたファンデーションやアイシャドウが目の中に入りやすくなるため、外出先でお化粧直しをする際にも目薬+綿棒でマイボーム腺ケアを心がけましょう。
メイクオフ後は、目元を保湿。
顔の中でも特に薄い、目元の皮膚。乾燥やこすり刺激によって皮膚のバリア機能が低下し、刺激を受けやすい状態になります。炎などを起こしやすくなるため、メイクオフ後はしっかり保湿を。皮膚のバリア機能を保つ成分として、セラミドやワセリンが配合された保湿剤をおすすめしています。
アイメイクをお休みする。
マイボーム腺のケアはとても大事ですが、毎日となると面倒なもの。簡単にケアできるよう、アイメイクをお休みするのもひとつの方法です。人と会う時はアイメイクをする、そうでない時は軽くマスカラだけにするなどメリハリをつけるのもよいでしょう。メイクは必ずしなくてはならないもの、ではありません。その囚われがストレスになっている場合もあります。アイメイクをお休みすることは、心身の健康にもつながると言えます。
メイク道具はきちんと洗う。
メイクブラシやパフ、スポンジには皮脂や化粧品が残りやすく細菌が増えやすい状態になります。そのまま使うとまぶたの縁に炎症が起こり、マイボーム腺の働きが悪くなることがあります。メイク道具はこまめに洗うようにしましょう。中性洗剤(食器用洗剤など)や専用クリーナーを使ってぬるま湯でやさしく洗い、しっかりゆすいだら、タオルで水分を拭き取ってから乾かします。また化粧品も古いものは衛生的でない場合が多いので、定期的に見直して。特にマスカラは細菌が増えやすいため3〜6か月で使い切るのが理想です。















