有病者は、8人にひとり!新たな国民病、慢性腎臓病
読了時間:19分
有病者は、8人にひとり!新たな国民病、慢性腎臓病
自分でも気づかない。それも、この病気の怖さ
腎臓のろ過機能の主役であるネフロンは、消耗品。使い続けるうちに減っていくものです。
「例えば、ネフロンが20代で約200万個あったとすると、60代では約100万個にまで半減します。消耗品ですから、健康な人であっても減っていきます。腎臓の機能が低下するというのは、すなわち、ネフロンの数が減るということなのです」
年齢を重ねても20代と変わらない食事を摂っていると、少ないネフロンで余分なリンを捨てねばならず、結果、原尿中のリン濃度が上昇。リンがリン酸カルシウムとなって、さらにネフロンを減らすという悪循環に。そして、腎臓の機能が加速度的に低下していきます。
「腎臓の機能低下によって起こるのが、【慢性腎臓病】。機能や形態を含め“腎臓の働きがおかしい”という状態が3か月以上続くものを指しています。原因は問いません。今、成人の有病者は8人にひとりとされるほど多く、国民病だとも言われています」
国民病とまで言われているのに、筆者はこの疾患について、やはり知りませんでした。実は、筆者のように知らない人は多くいるようなのです。
「慢性腎臓病は、20年ほど前に定義された新しい疾患。それもあって、あまり浸透していないのかもしれません。問題なのは、すでに有病者であるにもかかわらず、それに気づいていない人もいること。本学のある教授が、慢性腎臓病の認知度に関する調査を行ったところ、100人のうち数名しか知らないという結果になったのです。8人にひとりがかかっている病気ですから、100人のうち10人程度は知っていないと計算が合わない。自分が慢性腎臓病であることに、気づいていない人がいると言えるのです」
45歳以上の1/4がすでに危険な状態!?
腎臓は“沈黙の臓器”とも言われ、慢性腎臓病の初期から中期は自覚症状がないそう。それも、この病気に気づきにくい原因です。
「かつて、健康な45歳以上の男女300人を対象に血液検査を行い【FGF23】の値を測ったことがあります。FGF23は、お伝えしたように、血液中のリンが多くなっていると腎臓に知らせるホルモンですから、リンの摂取量や腎臓の機能低下の指標にもなるものです。FGF23は、基準となる数値を超えると腎不全や、人工透析が必要になる可能性が高まることがわかっています。検査の結果、45歳以上の4人にひとりが基準値を超え、危険な状態にあるとわかりました。これはあくまでも、私の研究で得られた結果。脅かすつもりはありません。ただ、ネフロンが消耗品であること、誰にでも腎臓の機能低下が起こり得ることを覚えておいてほしいのです」
以下にある、腎臓の健康度の目安になるチェックリストを確認してみてください。チェックが多いほど、リンを溜め込みやすく、腎臓の機能を低下させやすい人だと言えます。筆者は5つありました。年齢は50歳を超えています。スナック菓子もファストフードも大好き。やはり慢性腎臓病は、自分にも起こり得ることだと実感しました。そんな筆者を含めて、どのように腎臓を守っていけばよいのか、次ページからお伝えします。
腎臓の健康度チェック
以下の設問で、チェックが多くある人は、リンを溜め込みやすくなっている、腎臓機能が低下しやすくなっているかもしれません。腎臓を守ることを心がけましょう