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知っトク!?健康スキル

やる気を出す。リラックスする。“におい”で気分は変えられる(3/3)

掲載号 vol.55

今の気分を変えられる。においの取り入れ方

やる気のなさには、においが関係!

においによって気づかないうちに気持ちが変わる。それは体臭だけではありません。空気中にあるさまざまなにおいによっても引き起こされています。家で過ごしているとき、何もやる気が起きないと感じたことはありませんか?それは家の中のにおいはほぼ変わらないからだそうです。

「会社や学校へ行くときは、玄関を出た瞬間から、駅の階段を上る、ホームで待つ、電車に乗る、道を歩いて、建物に入る……。どの場面でも周囲のにおいが変化しています。ほぼ感じていませんが、それぞれのにおいの情報は、大脳辺縁系にダイレクトに送られ、そのとき考えたことを記憶したり、仕事や勉強をするぞ、という気持ちに切り替えさせていくのです。一方、家の中ではにおいが変化しませんから、なんとなく気分がのらない、という状態になるのです」

歯磨きでミントの香りを感じたり、お茶やコーヒーの香りを楽しむだけでも気持ちの切り替えになるそうですが、外出は、もっと効果的。気持ちの切り替えになる上、脳の活性化にも役立ちます。

「多種多様なにおいに触れると、それだけ鼻から脳へとつながる嗅覚の神経を使うことになります。衰えないようするには、やはり使うことです。いいにおいだけでなく、イヤだなと感じるにおいも、納豆やチーズなど発酵食品の独特の香りも、なじみのないスパイスの香りも、あらゆるにおいに触れるとよいでしょう」

においに意識を向けると、よりよいそうです。

その方法として、感じたにおいを言語化するとよいと思います。例えば旅先で、写真を撮るだけでなく、どんなにおいがしたかを書き留める。花火大会に行って、友人や家族にSNSでメッセージを送るとき、『火薬のにおいに夏を感じた』など、においを表現する文章を書いてみる。そんな風ににおいを言葉にしていくと、それまで無意識だったにおいを感じやすくなります。それによって感性がより豊かになりますし、そのときの記憶がより強固に残ります」

まだまだある!
においのとり入れ方
嗅ぐときは やはり“クンクン”

においを嗅ぐとき“クンクン”と空気を吸い込みませんか?あれは、2回吸い込むことでにおいの濃度の濃淡を作り、においを感じやすくしているのだそうです。嗅いだにおいをリセットするのも簡単で、フンッと鼻から息を吐き出すだけ。そのふたつをとり入れると、においを感じやすくなるそうです。

自然の多い場所はにおい物質が豊富!

家の中にいるよりも、屋外に出るとにおい物質に多く触れることができます。特に植物や土など自然の多い場所は、より多種多様なにおい物質が存在するそう。気持ちの変化はもちろん、脳の活性化にもより効果的です。

“変える”だけでなく同じにおいも大切

においの変化は気分を変えるために役に立ちますが、安心のためには、昔からなじみのあるにおいが役に立ちます。実家に帰ったときに落ち着くのは、なじみのあるにおいを感じることもひとつの理由。実家で長く使われていた柔軟剤など、よく嗅いだにおいのある日用品が安心をもたらしてくれるでしょう。

好みのにおいを見つけておく

東原先生はフランキンセンスという樹皮の香りがお気に入りで、忙しいとき、リラックスのために嗅ぐのだそう。においの効果は、好みやその人の経験・記憶にも関係するので、リラックスしたいなど気分をよくするためには、自分に合った香りが必要。お気に入りを見つけておけば、お守りのような存在になるかもしれません。

豊かさや、心の健康をもたらす大切なもの

嗅覚は、直接感情や記憶に結びつくもの。生命維持に重要ではなくなったとはいえ、人生の豊かさに大きく影響する大切なものです。

「食事をおいしく味わう、人とのつながりを感じる、安心を得るなど、においにはさまざまな力があります。今、医療は進化し、難しい病気でも治すことができますが、やはり、病気にならないほうがいい。いかにして今の健康を維持するか。そこににおいは大きくかかわっていると思います」

今はオンラインでのコミュニケーションが普及しましたが、「やはり実際に会うと違う」と感じる人も多くいます。その場所や会った人から無意識下で受け取るにおいによって、つながりや安らぎ、刺激を感じることで、心や身体が満たされているのかもしれません。それがきっと、健康にもつながっていくのでしょう。

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この先生に聞きました!

東原 和成 先生

東原 和成 先生

とうはら かずしげ

東京大学 大学院
農学生命科学研究科 教授

東京大学農学部農芸化学科卒業。ニューヨーク州立大学Stony Brook校化学科博士課程修了。デューク大学医学部博士研究員、東京大学 医学部脳研究施設神経生化学部門助手、神戸大学バイオシグナル研究センター助手、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 助教授などを経て、2009年より現職。共著書に『ワインの香り』、『においと味わいの不思議』(共に虹有社)などがある

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