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知っトク!?健康スキル

モヤモヤをスッキリ。共感疲労を防ぐ。感情の整え方【内受容感覚】(2/4)

掲載号 vol.55

ドキドキするから怖くなる!感情は、身体の変化が関係

身体の中の変化を感じられるか、どうか

感情は、脳だけでなく身体の変化によって生まれるもの。ちょっと想像しにくいかもしれませんね。簡単に言えば、怖いと感じたからドキドキするのではなく、ドキドキするから怖いと感じるのだそうです。

「熊に襲われる場面を例にお話ししましょう。熊がこちらに向かってくるという状況だとわかると、自律神経が興奮状態になり、心臓がドキドキしたり、呼吸が荒くなったりします。この心臓のドキドキや呼吸の荒さを脳が認識し、さらに過去の記憶などと統合して『怖い』という感情が生まれます。心臓がドキドキするという身体の変化を脳が認識することで、怖いという感情が生まれるわけです」

感情が生まれる仕組み

心拍数や呼吸など、身体の変化を認識する脳の部位は、【島皮質】というところ。

「島皮質は長らく“痛みの中枢”として知られていた場所ですが、研究が進んで、痛みだけではなく、かゆみなどの感覚があるときにも活動することがわかってきました。つまり、身体に異変が起こったときに活動するわけです。そのことから、島皮質が身体の中のさまざまな感覚に関係しているとわかったのです。この身体の中の感覚を【内受容感覚】といいます。目や耳などから入ってくる外の状態を認識するのが【外受容感覚】で、この【内受容感覚】は、身体の中の状態を認識するもの。痛みやかゆみのほか、心臓がドキドキする、呼吸が速い、お腹が空いた、だるい、疲れたなど身体の中の情報を認識する知覚です」

外受容感覚・内受容感覚

この内受容感覚が働くことで、感情が生まれるということなのです。

「成長とともに、内受容感覚を通して身体の中で起こっていることを細かく感じとれるようになるので、より多様な感情が生まれることがわかっています。ただ、大人になっても内受容感覚が発達しないこともあります。内受容感覚が働かない場合は、感情が生まれにくくなってしまいます。先ほど例に挙げた、熊がこちらに向かってくる状況でも、心臓のドキドキや呼吸の荒さに気づきにくいと、怖いという感情が生まれにくいのです」

変化に気づきにくいと病気にもなりやすい。

内受容感覚が鈍く、感情が生まれにくい人は、病気になりやすいこともあるそうです。

「自分の感情を自覚したり、自分の感情を言葉にするのが得意ではない傾向のことを失感情症(アレキシサイミア)といいます。失感情症がある人は、内受容感覚が低下した状態ですから、体調の変化に気づきにくいわけです。本当は胃の痛みや頭痛があったはずなのに、その痛みに気づくことができないため、ようやくわかったときには重症化しているということがあります。心臓のドキドキもわかりにくいため、心疾患にもなりやすいと言えます。内受容感覚が働いていれば、心臓のドキドキをゆるめるために休もうとしますが、気づかないと過活動の状態が続き、心疾患につながってしまうのです」

逆に、内受容感覚が鋭過ぎる場合は、不安が大きくなる傾向にあるそうです。

「例えば、寝ている状態から起き上がっただけで心拍数はあがるものなのですが、内受容感覚が鋭過ぎると、そのドキドキがなぜ起こっているのか、原因がわからないため不安に陥りやすくなります。ベッドの周囲の状況には何も変化がないため、なぜドキドキするのか原因がわからない。それが不安を呼び起こしやすくしているのでしょう」

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