へバーデン結節という、手の病気をご存知ですか?指の第一関節に、痛みや腫れ、変形などが現れるものです。日本での患者数は約300万人とも言われそのほとんどは女性で、特に40歳以上に多いそうです。治療薬がないため、あきらめている人も多いようですが、できることはあります。実はそれ、“楽をする”ことなんです!
楽することが、手を守る!へバーデン結節とは
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楽することが、手を守る!へバーデン結節とは
気づきにくいこともある進行性の手の病気
毎朝、手がこわばる、ペットボトルの蓋を開けるときや、洋服のボタンのつけ外しのときに痛みが走る。新聞や本をめくるのがつらい……。そんな症状はありませんか?指先にぐっと力を入れたり、小さなものをつまんだりする作業で痛みやしびれを感じる場合は、【へバーデン結節】という手の病気の可能性があります。その病名を初めて知る人も少なくないでしょう。
「へバーデン結節という名称は、この病気を発見したイギリスの医師、ウィリアム・へバーデンの名前にちなんでつけられたもの。【変形性指関節症】と言い換えると、どんな病気か少しわかりやすくなるかもしれませんね。指の第一関節に腫れや痛みが出るもので、手のむくみや、手の握りにくさといった、病気だと気づきにくい症状から始まる場合も。ただ、そのまま放置していると、およそ5年で第一関節が太く節のような状態になり、ちょっとした刺激でも激痛が走るようになる場合もあります」
へバーデン結節とは
第一関節にコブ(結節)ができるなど変形し、手指に痛みやしびれ、こわばりなどが起こるもの
関節の中で、骨や軟骨がぶつかり合って【骨棘(こつきょく)】というトゲができ、神経が刺激されて痛みが起こります
お話をうかがったのは、『富永ペインクリニック』の院長・富永喜代先生。へバーデン結節に悩む人を救いたいという思いから、日本で初のへバーデン結節外来を開設した先生です。
「へバーデン結節の患者は日本に300万人以上いると言われています。そのうちの9割が女性。40歳以上で、仕事や家事で手指を酷使する人に多く見られます。へバーデン結節の症状は、これもまた女性に多い関節リウマチの症状と非常によく似ています。関節の痛みや腫れで病院にかかると、どちらかをはっきりさせるために検査をするのですが、関節リウマチではなくへバーデン結節だとわかると、そこからまた新たな悩みが始まるのです。関節リウマチには治療薬がありますが、へバーデン結節にはないからです。『リウマチであったほうがよかった』と思うほど、追い込まれてしまう人もいます」
手だけでなく心まで痛む人も
へバーデン結節は、痛みによるつらさに加えて、変形によるつらさもあるそうです。
「病院では湿布薬を処方されて、できるだけ手を使わないように、と言われることも多いようです。痛みがひどいけれど、仕事や家事をやめるわけにもいかず、ただ変形していく指を見つめる日々。私のクリニックに来られる方は、そうして長年を過ごし、手を隠すクセができてしまった人が多くいます。変形した指を人に見られたくないからなんです。へバーデン結節は、指も心も痛むもの。私はそういう人たちを救いたくて、外来を開設したんです」
手指の痛みをガマンしたり、もう手段がないとあきらめたり。あなたはそうではありませんか?あなたの周りに悩んでいる人はいませんか?治療薬はなくても、指と心の痛みをとることはできるのだそうです。
「痛みで動かしにくくなった指を、また動かせるようになること。それは不可能ではありません。あきらめなくてもいいんです。改善の方法はあります」