閉経“前”5年を進むための正しい知識3・4
読了時間:15分
閉経“前”5年を進むための正しい知識3・4
閉経“前”5年を進むための知識.3
婦人科医は
更年期を進むための
最良のパートナー
更年期を進むための
最良のパートナー
自分をわかってくれる医師が心強い存在に
「『更年期になったら、婦人科のかかりつけ医を持ちましょう』。最近そう言われるようになってきましたが、私はできれば更年期を迎える前から持っておいたほうがいいと考えています。クリニックに来る患者さんの中には、今の自分の不調を上手く説明できない人が多くいます。更年期という“嵐の中”で、自分に何が起こっているのかわからず混乱しているのでしょう。そうなると私たち医師も、どういう治療を進めていくべきなのか、判断に迷うことも起こりえます。もう少し早いタイミングから患者さんのこと、個性や職業、家族構成も含めた生活環境などがわかっていれば、スムーズに治療を進めていくことができます。先にもお伝えしましたが更年期に現れうる不調は200種類以上もあります。そんな時期をひとりで乗り切るのは大変なこと。自分のことをわかってくれる医師は、とても心強い存在になります。
ただ、病院やクリニックは、きっかけがなければかかりにくいものです。婦人科ならなおさら、ではないでしょうか。かかりつけ医を持つきっかけとしては、ひとつは健康診断で、乳がんや子宮頸がんなど婦人科系の項目で再検査が必要になったときが挙げられます。婦人科のかかりつけは長いおつきあいになりますから、家や職場から近いとか、土曜日も診察しているとか、いつも同じ先生が診てくれるとか、通いやすさが求められるようです」
閉経“前”5年を進むための知識.4
治療法を知っておけば
それほど怖くはありません
それほど怖くはありません
HRT、漢方、サプリ。自分で選択することも
「更年期は身体のあちらこちらに不調が現れるため、複数の病院にかかることもあるようですが、閉経前5年に現れる不調の多くは、エストロゲンの欠乏と自律神経の乱れによるものですから、まず婦人科を受診することをおすすめします。主な治療法としてホルモン補充療法(HRT)があります。減少したエストロゲンを足すというもので、最も効果が期待できる治療法です。更年期症状に幅広く効果があり、特にホットフラッシュや動悸、多汗によく効きます。ほかにはエクオールを補うサプリメントや漢方薬という選択肢もあります。HRTよりも漢方薬のほうが得意な症状もあり、イライラや落ち込み、冷え、肩こり、頭痛、めまいなど全般的に効果が期待できます。ただし、閉経後は骨粗しょう症や動脈硬化の予防が重要になるため、HRTでの治療が基本となります。
HRTで乳がんになるのでは、と心配する人もいますが、2013年に7つの国際学会のコンセンサスが得られ、乳がんのリスクは決して高くないとされています。HRTによる乳がん発症のリスク増加は1000人にひとり以下程度だとわかっています。ゼロでないことは事実ですが、乳がんは、HRTを受ける、受けないにかかわらず誰もが発症する可能性があるもの。HRTを受けることが、定期的な乳がん検査を受ける動機付けになると考えてもいいのではないでしょうか」
HRT(ホルモン補充療法)は、エストロゲンが低下して起こる症状の治療や、病気の予防を目的に行われる治療法です。エストロゲンとプロゲステロン(卵巣から分泌される黄体ホルモン)を補うのが基本。飲み薬、貼り薬、塗り薬、腟座薬などのタイプがあり、その人の症状によって最適なものが選択されます。また症状によって保険適用になります。