今や、女性の平均寿命は87.57歳。私たちの人生はとても長いものになりました。その中で、必ず訪れるのが更年期。身体と心が大きく変化することから“嵐のような10年間”と表現されることもあります。ただ、それがいつなのか、何が起こって、どう対応するのか、わかっていない人も多くいます。更年期に無防備でいると、乗り切れないこともあります。嵐の中で道に迷わないための“進み方”を備えておきましょう。
“激動の道のり”を迷わない!更年期の進み方
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“激動の道のり”を迷わない!更年期の進み方
知らずにいることが不安を募らせることに
現在50代前半の筆者が、【更年期】に向き合ったのは今から9年前。それまで筆者は、更年期に対する不安でいっぱい。その問題を避け続けていたのですが、9年前の本誌の特集企画〈18号(2014年9月号)「意外に知らない!?女性の身体の守り方」〉を通じていよいよ更年期を学ぶことになったのです。そもそも更年期とは何か、どんなことが起こるかなどさまざまなお話をうかがい、意外にも取材後には「知ることができてよかった!」と清々しい気持ちに。知識のないまま更年期に突入するのは、免許を持たずに自動車を運転するようなものだと感じたのです。筆者は現在、安定した更年期を過ごしていますが、同年代の友人・知人の多くはやはり不調に上手く対応できていない様子。そして彼女たちはみな、更年期をあまり理解していないようでした。
「更年期の正しい知識がないと不安になりますし、無防備な状態で過ごしていると、不調が起きやすくなると言えます。きちんと知って対策を講じれば、更年期も、その後もすこやかに過ごすことができるはずです」
お話をうかがったのは、女性のための総合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長の高尾美穂先生。さまざまな角度から女性の健康をサポートしている先生です。
「更年期は、“不調”としてとらえられることが多いため誤解も多いのですが、更年期とは時期のこと。閉経を挟んだ前後10年を言います。日本人の平均的な閉経年齢は50.5歳ですから、だいたい45歳から55歳までと言われます。ただ閉経年齢は個人差があるので、あくまでも目安。更年期に当たる時期は、人によって違います。また、更年期に特に不調が現れない人もいます」
閉経の前5年と後5年の
10年間が更年期
閉経の前後で起こることも違う
更年期は、閉経前5年と閉経後の5年で、身体や心で起こることが違うそうです。
「まず閉経前の5年は、卵巣の機能の低下とともに、そこで作られる女性ホルモン・エストロゲンの量も減少していきます。なだらかに減っていくわけではなく、突然多量に分泌されたり、わずかに分泌されたりとアップダウンを繰り返しながら減っていくわけです。そのため、月経にもバラつきが現れます。経血の量や周期が不安定になったら閉経前5年に入ったサイン。それとともに、さまざまな不調が現れやすくなります。そして、月経が起こらない状態が12か月続くことで、閉経を確認することができます。閉経後の5年は、卵巣からエストロゲンが分泌されなくなることで、脂質異常症、骨粗しょう症、動脈硬化などが進みやすくなりますから、病気に気をつけなければなりません。更年期の10年間には、こういった変化が起こることを覚えておきましょう」
閉経前5年と閉経後5年で、どんなことが起こるのか、次ページから詳しくお伝えします。