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知っトク!?健康スキル

なんとなく痛い、重い…の症状に要注意。胃食道逆流症(GERD)の改善・予防法(2/3)

掲載号 vol.47

胃食道逆流症の原因、“胃酸の逆流”は耳や歯にも影響!?

肥満や悪い姿勢も逆流しやすくなる理由

胃食道逆流症の大きな原因は、胃酸の量が増えること。そして、逆流を防いでいる筋肉がゆるむことも原因のひとつです。

「私たちが摂った食べものは、咀嚼で細かく刻まれたあとに食道を通って胃へ運ばれます。胃の中で食べたものを一時的に蓄え、胃酸を含む胃液と混ざり蠕動(せんどう)運動によってそれを粥状(じゅくじょう)にして腸へ送ります。食道と胃の境目には【下部食道括約筋(かかぶしょくどうかつやくきん)】という筋肉があり(下の図を参照)、それが収縮していることで、胃酸をはじめ胃の中のものが食道へ逆流しないように防いでいます。通常はぎゅっと閉じている胃と食道の境目が、何かの拍子に開いてしまうことで逆流が起こるのです。理由はさまざまですが、食べ過ぎによって胃の内圧が上がることもひとつです」

体型や習慣などによっても、下部食道括約筋がゆるみやすくなります。

肥満の人は要注意。お腹に多く脂肪があると胃が圧迫されて下部食道括約筋がゆるみやすくなるからです。また、姿勢も関係します。背中が丸くなる猫背も胃を圧迫します。ほかには、お腹を締めつける衣服も注意が必要です。帯をぎゅっと締めあげる着物やガードル、コルセットなども胃を圧迫することになります」

胃と食道の境目が
開いてしまうことが問題!
下部食道括約筋

胃と食道のつなぎ目にある筋肉【下部食道括約筋】。通常はぎゅっと閉じていますが、食べ過ぎや脂肪分の多い食事などでゆるみやすくなり、胃酸の逆流が起こります。

胃とは関係なく思える症状にもつながる!

胃食道逆流症そのものは命にかかわる病気ではなく、むやみに怖がることはありませんが、別の症状につながってしまう可能性もあります。

「逆流した胃酸にさらされ続けることで、食道下部の粘膜が胃の粘膜のような組織に変化する【バレット食道】を引き起こすこともあります。この疾患は、欧米では食道がんのリスクが高くなるとも言われています」

一見、胃とは関係がないと思われる症状、例えば慢性の咳、咽頭炎、中耳炎、副鼻腔炎、睡眠障害なども胃食道逆流症が関係していることがあります。

「食道より上の部位で起こることでも、実は胃酸が原因だと疑われるものは多くあります。口まで上がった胃酸の刺激によって咳が続いたり、喉に炎症が起こることもあります。特に子どもの中耳炎は胃酸が原因のことも多いようです。子どもの耳管(中耳と咽頭をつなぐ筒状の器官)は大人と違って太くて短く、喉まで水平に伸びているため、口まで上がってきた胃酸が侵入しやすいのです」

最近では、虫歯ではないのに歯が溶ける【酸蝕歯(さんしょくし)】とも関係があると言われています。

「酸蝕歯は、酸にさらされることで、歯のエナメル質が溶けるというものです。多くは飲食物に含まれる酸が原因と言われていますが、逆流した胃酸の影響もあると指摘されています。このように胃食道逆流症は、さまざまな症状にもつながる可能性があるのです」

胃が痛い、胃が重い、気持ちが悪い、など、胃の不快感があるなら、その原因が何によるものか、検査をしてもらうべきだと先生。

「症状があるのにガマンをしていたり、自己診断で楽観的に考えたりするのはよくありません。原因がわかれば解決方法もわかりますし、生活の質も向上します。胃をいたわろうという健康への意識もそこから芽生えるはずです」

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