スマートフォンを使っているとき、集中力、記憶力が低下する!?
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スマートフォンを使っているとき、集中力、記憶力が低下する!?
次々に興味が移ることで集中力が保てなくなる!
スマートフォンやパソコン、タブレット。それらデジタル機器は仕事の効率を上げるだけでなく、仲間とのコミュニケーションや、動画や音楽などの視聴、ショッピングなども楽しめて、もはやなくてはならないものになっています。便利さと楽しさから、何をするわけでもなく、ふとスマートフォンに手が伸びてしまうということもあるでしょう。しかし、その“ついつい触ってしまう”という習慣は、脳の機能を低下させるリスクがあるとわかってきています。大きな問題のひとつが、“集中力の低下”です。
「パソコンが普及し始めた頃から集中力の低下は指摘されていましたが、スマートフォンが登場してそれが顕著に現れるようになりました。理由は、スマートフォンは特に【スイッチング】が起こりやすいからだと言えます。スイッチングとは、“切り替える”という意味。例えば、動画を視聴しているときに、メールやSNSのメッセージを受け取ったという通知が入ると、すぐにそちらを確認すると思います。今までやっていたことをやめて、別のことに行動が切り替わる。これが【スイッチング】です。若い世代を見ていると、ゲームや動画、SNSなどアプリを次々に切り替えるのが当たり前になっています。短時間で興味がさまざまなものに移るのは大問題。ひとつのことに集中できない状態が続いてしまうからです。私たちの研究で、30秒しか集中力がもたない人が増えていることがわかってきました」
スマートフォンは
スイッチングが
起こりやすい
さまざまなアプリがあり、さらにそれぞれのアプリからの通知も多いため【スイッチング】(切り替え)が起こりやすくなるスマートフォン。ひとつのことに集中できない状態が増えやすくなります。
スマートフォンで調べても脳が働くわけではない!
そしてもうひとつ、デジタル機器にばかり頼ると、“記憶が定着しない”リスクも見えてきました。
「単語の意味をスマートフォンと国語辞書で調べ、のちに調べた単語をいくつ思い出せるかテストしたところ、国語辞書では約4〜5割思い出せたのに対して、スマートフォンでは、ほぼ思い出すことができないという結果になりました。その差は、手間をかけたかどうか。国語辞書は、知りたい言葉がどこにあるのかページをめくって探すという手間がかかります。それが重要なのです」
手間をかける、とは、脳を働かせるということ。手間をかけて得た“手がかり”を結びつけることで、情報が脳に定着するのだそうです。スマートフォンはボタンを押せば結果が表示されます。私たちは、ボタンを押しているだけで、脳を働かせたことにはなっていません。
「スマートフォン、辞書で言葉の意味を調べたときのそれぞれの前頭前野の活動を見てみると、スマートフォンで調べた場合、ほとんど活動をしていないことがわかります。例えるなら、脳が寝たきりのような状態。身体を動かすことがなくなると筋肉が衰えるように、脳も長時間働かないことで、やはり衰えてしまうのです」