筋肉作りにも!魚の栄養 | タンパク質・タウリン・ビタミンB群
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筋肉作りにも!魚の栄養 | タンパク質・タウリン・ビタミンB群
サプリメントより楽に栄養を摂れる!?
EPAやDHAをサプリメントで摂ったり、オメガ3系の脂肪酸・えごま油やアマニ油を摂っている人も多いでしょう。それはもちろん、大切なこと。でも、魚の代わりとして摂っているなら、やはりそれももったいない!魚介類には、脂だけではない医力があるからです。
「脂のほかにもさまざまな栄養があるのです。タンパク質が豊富であることも魚の医力。筋肉の材料として肉がいいと思われているようですが、魚にも効果があります。かまぼこなどの材料となる白身魚・スケソウダラを摂ると、筋肉量が増えたとの報告があります(下のグラフ参照)」
筋肉量の増加を促進。
コレステロール値の改善も!
タンパク質
第1特集『あたらしい、栄養バランスの考え方』でお伝えした通り、タンパク質は健康に欠かせないもの。筋肉量増加には肉がよいと思われていますが、実は魚にも効果があります。かまぼこなどの材料となる白身魚スケソウダラに、筋肉量増加を促進する効果があることがわかったのです(下のグラフ参照)。ほかにも、男性20人が魚肉ソーセージ(原料はスケソウダラ)を8週間摂り続けた試験で、悪玉とされるLDLコレステロール値の低下、善玉とされるHDLコレステロール値の上昇が見られたという報告もあります。
- タンパク質を多く含む魚介類
- しらす干し、いわしの丸干し、まぐろ、かつお など
参考:2017年11月開催の「内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の発表より ※この研究の一部は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「次世代農林水産業創造技術」との共同研究により実施65歳以上の25人で調査。食事でスケソウダラ入りのスープを摂るグループと摂らないグループに分け、それぞれ週に2回の運動を実施。3週間後と6週間後に、椅子から立ち上がる回数の変化を比較した結果。スープを摂ったグループの方が試験前よりも立ち上がる回数が増え、特に3週間後の結果が、摂らなかったグループより約5%上回っていることから、スケソウダラのタンパク質が、より早い筋肉合成に役立つと言えます。
肝臓を守る作用に加え
コレステロール値の低下も。
タウリン
栄養ドリンクに配合されていることでも知られるアミノ酸の一種、タウリン。疲労回復効果が有名ですが、お酒で疲れがちな肝臓も守っています。アルコールの分解に負担がかかる肝臓の細胞を守り、再生を促す働きがあります。また、肝臓の胆汁生成を促進する働きも。胆汁を作るとき血中のコレステロールが消費されるため、コレステロール値を下げる効果があるのです。タウリンは、いかやたこなどの介類に含まれています。いか、たこはコレステロールも多く含むことから、食べないほうがいいと言われていましたが、むしろコレステロール値低下に役立つのです。心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や、糖尿病に対する改善効果も数多く報告されています。
- タウリンを多く含む魚介類
- いか、たこ、帆立、ぶりやまぐろなどの血合いの部分など
エネルギー代謝を高め
疲れにくい身体に。
ビタミンB群
食事から摂った栄養素を代謝し、エネルギーを作るために必要なのがビタミンB群。疲れやすい人は、ビタミンB群の不足によってエネルギーをうまく作り出せていないかもしれません。糖質の代謝にはビタミンB₁、脂質の代謝にはビタミンB₂、タンパク質の代謝にはビタミンB₆が必要。魚にはビタミンB群が多く含まれているので、魚肉のタンパク質と脂質を効率よくとり込めます。
- ビタミンB₁を多く含む魚介類
- 鰻の蒲焼き、たらこ、いくら、真鯛など
- ビタミンB₂を多く含む魚介類
- 鰻の蒲焼き、うに、ずわいがになど
- ビタミンB₆を多く含む魚介類
- まぐろ、かつお、いわしの丸干しなど
骨粗しょう症予防に。
カルシウム&
ビタミンD
骨や歯の健康を保つカルシウム。効率よく摂れる、しらすやいわしなど丸ごと食べられる小魚には、カルシウム吸収率を助けるビタミンDも豊富。小さいながらも大いに骨粗しょう症予防に役立つ魚なのです。
- カルシウム、ビタミンDを多く含む魚介類
- しらす、いわし、桜海老など
肌や髪を若々しく保つ。
亜鉛
亜鉛は、身体で作ることができず、食事などからとり込む必要があるミネラル。細胞の新生を活発にする働きがあります。潤いある肌や豊かな髪を維持するためにも必要。牡蠣が亜鉛の多い食品の代表です。
- 亜鉛を多く含む魚介類
- 牡蠣、はまぐりの佃煮、たらばがになど
ダイエットをサポート
カルニチン
体内で合成されるアミノ酸の一種で、不足することはありません。心臓や筋肉、骨格筋などに脂質を運びエネルギーを作る働きがあるので、食事にプラスすると肥満の改善に役立つと考えられています。
- カルニチンを多く含む魚介類
- 帆立(貝柱)、ぶりやまぐろなどの血合いの部分 など
高い抗酸化作用で、抗老化。
アスタキサンチン
赤色の色素成分。強力な抗酸化作用が特徴で、β-カロテンや、ビタミンEの100~1000倍も高いとも言われています。動脈硬化やがんの予防をはじめ、紫外線による肌ダメージを抑制する働きもあります。
- アスタキサンチンを多く含む魚介類
- 鮭、海老、いくら、金目鯛、かになど
栄養ドリンクに配合されていることで知られているタウリンも、魚介類の注目すべき医力。コレステロール値の改善に役立つのだそうです。
「タウリンは、アミノ酸の一種で、いかやたこ、貝類や魚の血合い部分に含まれています。コレステロールや中性脂肪の低下、糖尿病に対する改善効果なども報告されています。動物実験ではがんを抑制する効果もあることがわかり、これからも多くの機能が研究で解明されると期待されています」
そのほかにも、三大栄養素の代謝に欠かせないビタミンB群、カルシウムや、それを吸収しやすくするビタミンD、高い抗酸化力を持つアスタキサンチンなど、さまざまな医力があります。
「それだけのものをサプリメントで摂ろうと思ったら、むしろ大変。魚介をおいしくいただいて、健康を目指すほうがいいと思いませんか?」