『昆布だし』にピッタリの昆布とは?料亭レベルのだしの取り方
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『昆布だし』にピッタリの昆布とは?料亭レベルのだしの取り方
本物のだしを知ればうま味に敏感に。
うま味の効いただしは、健康を目指せる、おいしい食のカギ。でも、普段顆粒だしを使っている人にとって、だしを取る作業は難しいと感じるかもしれません。
「もちろん顆粒だしでもいいんです。ただ、一度本格的なだしの味も体験してもらいたい。日本にいながら、その味わいを体験していないのは、もったいないことをしている、と思います」
先生は、日本料理の料理人とともに小学校や大学などへ出向き、本格だしの味わいを伝える出前講義を行っています。そこでの反応を見ているからこそ、多くの人に体験してほしいのだそうです。
「料理人の引いただしを味わうと、みな歓声をあげます。ある小学生のお母さんから『子どもにせがまれて、家でも昆布とかつお節の合わせだしを取るようになった』とも聞きました。本物を知ると知らないでは大違いなのです」
ただ、本物を知ったら元に戻れない、という意味ではありません。むしろ、いつものだしにもおいしさを見つけられるようになるのだそうです。
「きっとうま味に敏感になるのでしょう。いつもの顆粒だしの中にでも、うま味を実感するようになるはずです」
“いいこと”が増える、だしのある生活。料亭レベルの一番だしの取り方や、うま味の足し方などを先生に教えていただきました。
「だしを取るのはそう難しいことではありません。私は調理はまったくの素人ですが、だしを取るのを失敗したことはないんですよ」
伏木先生と料理人が共同で行った実験から生まれた、究極の一番だしレシピ。料亭レベルのおいしいだしが取れます。昆布もかつお節もたっぷり使う贅沢な一番だし。来客時など特別な場面で使ってみては。
- [道具]
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温度計(100度まで計測できるもの)
ざる・キッチンペーパー
大きめのボウル
鍋
★魔法瓶があると便利
- [材料]
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水…400㎖
干し昆布…6g
かつお節…7g
薄口醤油…適量
塩…ひとつまみ
- [手順]
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鍋に水を入れて昆布を加え、65度まで加熱する。そのまま1時間、できるだけ65度を維持し(65~72度の間であればOK)昆布をとり出す。
コツ/温度調節が難しい場合は、魔法瓶を利用しましょう。65度まで熱したら、魔法瓶に入れてそのまま1時間おいておくだけでOK
温度を95度に上げ、かつお節を一気に加える。
2分たったら、キッチンペーパーをのせたざるにあけ、速やかに濾す。
塩と薄口醤油を加え、味を調える。
コツ/一番だしの香りを引き立たせるために、薄口醤油を使いましょう。濃口醤油は香りが強めなので不向きです
日頃顆粒だしを利用している人は、一番だしを取るのは面倒に感じるかもしれません。そんなときは、いつもの顆粒だしに、少しだけ昆布とかつお節をプラスしてみて。昆布はひとかけら、かつお節は軽くひと握り。顆粒だしを入れる直前に昆布を入れ、仕上げにかつお節を入れるだけ。それだけでうま味が底上げされて、いつもの味が見違えるように変化します。料亭の一番だしに近い、いい香りも漂います。
食卓の小さな醤油さしに、2~3cm角に切った昆布を入れてみましょう。醤油は、アミノ酸であるグルタミン酸のほかに、イノシン酸などの核酸も含まれています。昆布とかつお節のようなうま味の相乗効果が、昆布と醤油にも生まれるのです。この方法は料亭でもとり入れられています。
だしは和食に使うもの、というイメージですが、実は洋食でも使えます。パスタを茹でるときに昆布をひとかけら入れると、それだけでうま味を含んだ麺が茹で上がります。意外ですがカレーにも。使う水の量を調整し、代わりに一番だしを入れればうま味が詰まったいつもと違うカレーが仕上がります。クリームコーンに牛乳と一番だしを加えれば、うま味が広がるあっさりしたコーンスープができ上がります。洋食の固形スープ代わりに使うなど、いろいろ試してみて。
日本の昆布は90%以上が北海道産。利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布など、採取された場所の名前がつけられたものが多くあります。最高級と言われているのが、函館を中心とした道南地方で採れる真昆布。採取された地名ではなく「真」の文字が与えられた、日本の昆布の代表格です。昆布はそれぞれ味わいが違い、それぞれに適した料理があります。だしに向くのは、真昆布、羅臼昆布、利尻昆布だと言われています。 真昆布は強いうま味が特徴。羅臼昆布は濃厚でコクがあり、利尻は上品なうま味が感じられます。本格的なだしを取るなら昆布にはこだわりたいところですが、通常使いならその3種でなくてもいいでしょう。