話題の『菌活』と『発酵食品』の関係は?種類別に豊富な栄養成分を紹介
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話題の『菌活』と『発酵食品』の関係は?種類別に豊富な栄養成分を紹介
おいしい上に、健康に役立つ機能もある発酵食品。その代表的なものは、味噌、納豆、ヨーグルトに甘酒。それぞれ、発酵だけで語れない“いい理由”があります。
発酵食品は、最近注目の“菌活”にはならない!?
発酵食品がすべて健康にいいとは言えませんが、私たちがよく摂っている味噌、納豆、ヨーグルト、ぬか漬け、甘酒は健康づくりに役立つことがわかっています。ただ、その理由は“発酵している”ということだけではありません。また、最近“菌活”が注目され、身体にいい働きをする菌を摂ろうと発酵食品を利用されるようですが、発酵食品は菌を摂ることが魅力だとも言えないようです。
「菌そのものではなく、菌などの働きによって、新たに生まれたものを摂れるのが発酵食品の魅力。菌活として、いい菌を摂るのが目的であればヨーグルトは役立ちますが、発酵食品は、そもそもいい菌を摂ることだけが目的ではありません。微生物と食品の組み合わせなどによって生まれるものも実にさまざま。だからこそ、身体にいい理由もさまざまです。それぞれの“いい理由”は少し意外なものもありますよ」
“中途半端”な発酵が、
いいものを生む。
大豆と塩、麹菌から作られる味噌。醤油と原料は似ていますが、発酵が中途半端で終わることが味噌の大きな特徴です。醤油は、発酵の過程で酵素がタンパク質をアミノ酸になるまでしっかりと分解しますが、味噌は発酵を中途半端に終わらせるので、アミノ酸まで分解される手前のペプチドが多く含まれています(下の図を参照)。
このペプチドが健康づくりに役立つもの。体内に吸収されやすくなるなど、身体によい働きをするものが多くあり、なんと血圧を下げる働きをするものもあります(味噌は塩分が高い!?実は、血圧を下げる効果が!ページから詳しく)。また、ろ過の工程がありませんから、大豆が含む食物繊維や不飽和脂肪酸、ビタミンE、イソフラボンなどを丸ごと摂れるのも魅力です。
得られるのは
乳酸菌が生むもの。
よい働きをする菌を摂るという菌活に、ぴったりなのはヨーグルト。健康を左右する腸内細菌のバランスを整えてくれる、乳酸菌を摂ることができます。腸に届いた乳酸菌が食物繊維などの餌を食べて、ヒトの健康に役立ついいものを作り出してくれるのです。発酵によって得られる効果のほかに、原料の牛乳の栄養もまた、健康にいいと言われる理由。三大栄養素、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれています。
大豆そのものの力が一番!
大豆を発酵させる納豆菌。それが作るナットウキナーゼという酵素に血栓を溶かす働きがあるとされています。が、健康に役立つのは、やはり大豆そのものの力だと言えます。三大栄養素がバランスよく含まれるほか、抗酸化作用があるビタミンE、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維、イソフラボンなどが含まれています。これほど多くの栄養を含む食品はほかにあまりない、と言えるほど大豆は優秀なのです。
栄養が吸収されやすい形に。
米から作られる麹に米を加えて作る、日本の伝統的な飲料。麹菌の働きで、米にはないビタミン類が作られます。最近“飲む点滴”として注目を浴びているのは、ブドウ糖、必須アミノ酸、ビタミン類と、病院で栄養補給のために受ける点滴と入っているものが同じだから。江戸時代には体力を消耗しやすい夏場に飲まれていたそう。発酵の力で栄養価が高くなり、身体に吸収されやすくなることが健康にいいと言われる理由です。
生の野菜よりも、栄養豊かに。
米ぬかに、きゅうりや大根などの野菜を漬け込む発酵漬物の代表格。米ぬかとは、玄米を精製する過程で出る胚芽と表皮のこと。タンパク質やミネラルなど多種の栄養素を豊富に含んでいますから、乳酸菌や酵母などの微生物にとっては最高の棲み家です。もともと米ぬかが持っている栄養分と、微生物が新たに生み出したビタミン類が野菜に移行。生の野菜に比べて、栄養価が高くなることが、健康にいいと言われる理由です。