納豆やヨーグルト、ぬか漬け、甘酒……。健康に役立つとして摂っている人も多いでしょう。では、なぜそれらが〝健康にいい〝のかご存知ですか?「発酵食品だから」との答えが挙がると思いますが、発酵食品=健康づくりの機能がある、とは言えないようです。発酵食品の本当のよさとは何なのでしょうか?
『発酵食品』とは?健康にいいってホント?
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『発酵食品』とは?健康にいいってホント?
意識しなくても摂っている発酵食品。
健康づくりに大切な食。本誌読者の皆さんと同じように、編集部メンバーもそう実感しています。私たちがよく摂るのが、納豆やヨーグルト、ぬか漬け、味噌などの発酵食品。身体にいいという考えからです。それは皆さんも同じかもしれません。でも、私たちはあるとき、意識していなくても発酵食品を摂っていることに気づきました。ワインやビール、醤油に酢、パンにチーズ……。塩辛や紅茶も発酵食品です。中には健康のために摂っているわけではない食品もあります。“発酵食品が身体にいい”というのは本当なのでしょうか? 発酵食品の研究を続け、その魅力を広く伝える活動も行っている、大西邦男先生にうかがいました。
「実は“発酵食品=身体にいい”とは言い切れません。発酵したものすべてが健康づくりに役立つわけではないのです。正確には、発酵食品の中に身体にいい働きがあるとわかってきたものと、わかっていないものがあるということです。すべての発酵食品が研究されているわけではありませんから、どんな機能があるのか、わからないことも多いというのが実情です」
身体のために、と発酵食品を摂ってきた私たち編集部にとっては、少し驚きの言葉。どうやら、発酵食品について、わかったつもりになっていたようです。
「簡単に言えば、発酵食品は細菌や酵母、カビなどの微生物の働きによって作られるもの。最も古いのは、1万年以上も前から造られていたワインだとされています。保存用のぶどうジュースを、放っておいたらワインに変化した。ジュースにたまたま混ざった酵母が、糖を発酵させてアルコールを作り、それによってワインができたのです。発酵食品は、そのように偶然生まれたもの。健康のために作られたのではなく、そこにたまたま健康に役立つ機能が見つかったということなのです」
微生物の存在によって、偶然生まれた発酵食品。人の健康のために作られたものではありませんが、“いいもの”であることに変わりはないと大西先生。
「ひと口に発酵食品と言っても、お酒や乳製品、調味料までさまざまにあります。それらには、それぞれに“いいこと”があるのですよ」
発酵がもたらす“いいこと”とは何なのでしょうか? そのさまざまな魅力から、健康への機能がわかってきた食品まで、知っているようで知らなかった発酵食品の“いいこと”をお伝えします。
発酵食品を生む主な微生物は、酵母、カビ、細菌。
単体ではなく複数の微生物が作り出す発酵食品もあります