香りのチカラでセルフメディケーションを。
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香りのチカラでセルフメディケーションを。
柑橘の香りは、認知症の改善・予防のほか、物忘れの改善や、集中力・やる気を高めるのにも役立つそう。そのとり入れ方を紹介します。
「“患部を治すこと”は、西洋医学が得意とするところ。アロマセラピーでは病巣をとり除くことはできませんが、病気のもととなるストレスの緩和や、健康を維持するための機能を整えることは得意とするところです。今後、セルフメディケーションとしてアロマセラピーが重要になってくると思います」
柑橘の精油を使ったアロマセラピーは認知症の改善・予防だけでなく物忘れの改善、集中力・やる気を高めるのにも役立つと先生。室内に香りを漂わせる芳香浴なら簡単で、継続することができます。ただ、とり入れる際には注意が必要。精油の選び方、使い方を誤ると、逆に健康を害することにもなります。
好きなときに、好きだと感じるいい香りで健康管理ができるのがアロマセラピーの魅力。セルフメディケーションのひとつとして、香りをとり入れてみましょう。
アロマセラピーでまず大切なのが、精油選び。精油とは、植物の花や葉、果皮、根、樹脂、樹皮などから抽出された天然成分100%の液体のこと。フランスでは精油は薬として認められ薬局で売られていますが、日本では雑貨として扱われ、さまざまなお店に置かれています。中には“精油に似たもの”や、不純物が混ざっているものもあります。“アロマオイル”などの製品名がついたものは精油とは異なりますから要注意。購入するときは、右にある精油選びのポイントを参考に。また、フランスのECOCERT(エコサート)などオーガニック認定マークがあるものは、価格は高めですが品質が確かだと言えます。心配な場合は、専門店で相談するといいでしょう。
精油選びのポイント
- 茶色や青色の遮光瓶に入っている。
- エッセンシャルオイル(精油)との記載がある。
- 植物の学名、原産国、抽出部位、抽出方法が書いてある。
- 価格が安過ぎるものは注意。アルコールで薄めたり、人工的に作った香り成分が混ざっている可能性がある。
パッケージの記載例
- ①精油の和名
- ②エッセンシャルオイルとの記載
(オーガニックのものもあります) - ③精油の学名
- ④植物の情報
(科目、原産国、抽出部位、抽出方法)
認知症予防、物忘れの改善、集中力・やる気を高めるにはレモングラス、レモン、グレープフルーツなど柑橘の精油を。ディフューザー(下を参照)を使った芳香浴が簡単です。精油数滴を入れて、空間に香りを漂わせるだけ。また、ティッシュに数滴含ませ鼻に近づけて深呼吸し、そのまま室内に置いておくだけでもOK。芳香浴の時間は日中に1日1~2時間。それ以上だと頭痛の原因になるほか、その香りに慣れてしまうと刺激にならないので、使用時間を守ることが大切です。体調は日々めまぐるしく変わりますから、同じ精油でも「いい香り」と思えない日もあります。そんな日はアロマセラピーを中止しましょう。
ディフューザーとは
精油を振動させて、香りを拡散させる芳香器。水を加えて使用するタイプや、精油のみで使用するタイプがあります。キャンドル式の芳香器もありますが、ディフューザーは火を使わないので安全。効果を損なわないために、必ずお手入れを。
精油の保存方法
紫外線や酸素、高温、高湿度に影響を受けやすく、劣化が早まりますから、使用後はキャップをしっかり閉めて、冷暗所に保管を。精油の芳香物質は揮発性なので、開封後半年~1年で使い切るようにしましょう
“長寿の村”として知られる沖縄県・大宜味村。名産の柑橘、シークヮーサーも長寿の源だと言われています。塩田先生によると、その香り成分にも健康維持のチカラがあるのだとか。シークヮーサーを栽培している高齢者は健康な人が多く、90歳でランニングができる人も。それは毎日シークヮーサーの生きた香りに触れているからだと考えられるのだそうです。生育中の植物の香りもアロマセラピーと同じように刺激になり、脳の健康維持につながります。柑橘の栽培は簡単ではありませんが、レモングラスならベランダでも簡単に育てられます。水やりなど毎日の手入れで、生きた香りに触れることができます。
レモングラスの栽培
レモンに似た香りを放つ、イネ科のハーブ。種まきの時期は4~6月。苗から育てる場合は4~9月に植えつけます。大きくなるので地植えが向きます。鉢植えの場合は深めの鉢(7~10号)を選び、ひとつの鉢に1株を植えます。
収穫したら
フレッシュのままハーブティーにするのがおすすめ。香りの刺激効果も得られます。2本ほどを適当な長さに切ってポットに入れ、熱湯を注ぎ3~4分蒸らすだけです