腸は「食べる物」で変えられる!
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腸は「食べる物」で変えられる!
腸はその状態を、食べ物でコントロールできる唯一の臓器。
腸のために摂りたい食品、またその摂り方についても紹介します。
善玉菌は食事で増やせる!腸が喜ぶ食材とは?
「大腸は健康状態を、自分でコントロールすることができる唯一の臓器。しかも食べ物でコントロールすることができるんです。食生活を改善すれば、3日から1週間ほどで、善玉菌が優勢の理想的な状態になります」
辨野先生によると、一番大切なのは、何といっても野菜だそう。
「野菜は食物繊維を多く摂れるので、便秘解消だけでなく、便の状態をよくしたり、ビフィズス菌の増加に効果的。たくさん食べられるように、3~5種類を組み合わせたり、温野菜やスープにするなど献立に工夫を」
次に、挙げられたのは"プロバイオティクス"。これは、身体によい働きをし、生きたまま腸に届く微生物、そしてそれを含む食品のこと。
「具体的には、ヨーグルトや乳酸菌飲料、チーズや納豆などの発酵食品です。プロバイオティクスで摂った微生物は、腸に定着はしませんが、もともと常在しているビフィズス菌や乳酸菌を増やします。それによって、腸のぜん動運動を活発にする酢酸や乳酸を産生するので、定期的な排便を促し、善玉菌優位の腸内環境を作ります。プロバイオティクスには、花粉症などアレルギー症状の緩和や血中コレステロールの低下、胃ガンの原因になるピロリ菌の増殖抑制など、実に多くの効果があるとされているんですよ」
相性のいい善玉菌は人それぞれ違う。
ヨーグルトは、発酵食品の中でも手軽に食べられるもののひとつ。辨野先生も毎日食べているそうです。
「ヨーグルトにはさまざまな善玉菌が使われていますが、人によって効果的に働くものが違うんです。それは腸内細菌の種類や数など、そのパターンが人それぞれ異なるから。腸内環境を整えることのできる善玉菌も人それぞれ違うのです。まずは1~2週間ほど同じヨーグルトを食べ続けてみて、便通がよくなったり、便の質がよくなったら、それは自分に合った善玉菌が含まれているということ。また、食べるタイミングも大切。乳酸菌、ビフィズス菌は胃酸に負けてしまうことがありますから、大腸に届けるためには空腹時を避けて、食中か食後に食べましょう」
さらに辨野先生は、たくさん水を飲むことも重要だと話します。
「大腸は、食べ物の残りかすから水分を吸収して便を形成しますから、水分が不足すると残りかすが固まっていき便秘になります。1日に1.5~2ℓを目安に、こまめに飲むように心がけて。また、朝起きたらコップ1杯の水を。空っぽになった胃が刺激されると、腸のぜん動運動が活発になり、便意を催します。このタイミングを逃さないで」。
(1)大腸は唯一、食べ物でコントロールすることができる臓器です。肉中心の食生活だと悪玉菌が優勢に傾くので、肉を食べたら野菜をその3倍摂るように心がけましょう。
(2)普段の食生活に、上手に発酵食品を取り入れてみましょう。代表的な発酵食品には、ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ、納豆などがあります。
(3)腸内細菌のパターンには個人差があります。いろいろな食品を試しながら体調の変化を観察し、相性を見極めていきましょう。
(4)食物繊維は小腸では消化されずに大腸へ送り込まれ、便の材料となって便の質を高めてくれます。厚生労働省の食事摂取基準で設定されている目標量は、女性が1日17g以上、男性が19g 以上です。
(5)空っぽになった胃に水が送られると、腸にぜん動運動が活発になります。溜まっていた食べ物の残りかすが腸へ送り込まれて、便意を催します。便秘がちな人は特に起きたらまずお水を。
乳酸菌・ビフィズス菌の特徴
善玉菌である乳酸菌、ビフィズス菌も、その種類は数多くあります。
相性のいい菌は人それぞれ違うので、いろいろなものを試してみましょう。
乳 酸 菌 |
ブルガリア菌 | アミノ酸、アミノ酸化合物・ペプチドなどを産生する |
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サーモフィルス菌 | ヨーグルトを作る時の主要な乳酸菌のひとつ。ブルガリア菌を増殖させるギ酸を産生 | |
ラムノーザス菌 | 胃酸や胆汁酸に強く、大腸まで届いて腸内環境を改善 | |
カゼイ菌 | 小腸の運動や、栄養分の消化・吸収を助ける | |
ガセリ菌 | 胃ガンなどの原因になるピロリ菌を抑制する乳酸を作ると見られる |
ビ フ ィ ズ ス 菌 |
ビフィダム菌 | 世界で初めて発見されたビフィズス菌。コレステロールを吸収する働きがある |
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ロングム菌 | 大腸まで届いて善玉菌を増やし悪玉菌を減らす働きがある | |
アドレスセン ティス菌 |
健康な腸内で活動しビタミンを合成する | |
ブレーベ菌 | 乳児の腸内にいるビフィズス菌。O-157 の増殖を抑制する |