「認知症予防に効果がある」と、テレビで紹介されたことで、アロマは大きな反響を呼びました。だけど、本当に効果があるの?認知症予防をはじめ様々なアロマの効果・効能を研究されている星薬科大学教授 塩田先生に“アロマのチカラ”をお聞きしました。
認知症予防には柑橘の香り!?健康に役立つメディカルアロマ
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認知症予防には柑橘の香り!?健康に役立つメディカルアロマ
リラクゼーションだけではない!アロマのチカラは医療にも。
アロマというとリラクゼーションやエステ、ファッションとしてイメージされがち。ですが、そもそもアロマセラピーは「芳香療法」という意味で、フランスでは日本の漢方医療と同じように国が認めている医療行為です。フランス式のアロマセラピーは「メディカルアロマ」と呼ばれる伝統医学で、天然の植物から抽出した香りのもととなる「精油(別名:エッセンシャルオイル)」が使われています。その精油は香りを嗅ぐだけでなく、内服薬や外用剤として医師が処方する医薬品のような扱い。「アロマって気休めでしょ?」と、思ってしまいそうですが、植物の力を使う点では「精油」は漢方医療の「生薬」と同じですよね。最近は日本でも西洋医学の力が及ばない領域や、まだ原因が明らかになっていない慢性的な疾患などに対する代替医療として見直されてきています。知るほどに「すごい!」と思える“アロマのチカラ”に迫ります。
柑橘の香りが脳を刺激!?
長寿との関連が注目される「シークワーサー」
「レモンやグレープフルーツなどの柑橘系のアロマは、嗅覚を通して交感神経を刺激します」と、塩田先生は言います。交感神経が刺激されると脳の血管が拡張され、脳への血流(栄養)が増加します。多くの栄養を脳に送ることができれば、認知症の原因と考えられている「衰えた神経細胞」を元気にすることが可能。塩田先生が進めるアロマの効果・効能の研究からは、認知症の「予防」だけでなく『改善』という驚きの結果もでています。
その効果の一例と考えられているのが沖縄県の大宜味村(おおぎみそん)で暮らす、ランニングするほど健康な80歳、90歳の方々。「高齢でも元気なのは、村で生産される柑橘類の“シークワーサー”が村民の食生活に深く根付いているからだと考えられます」と、塩田先生。シークワーサーは抗酸化作用による「老化防止」だけでなく、香りによる「認知症の予防や改善」も期待できるといいます。認知症の決定的な治療法がない現状、アロマを用いた認知症治療の研究は多くの医療従事者からますます注目が集まるのではないでしょうか。