偏った食事と運動不足。原因は誰もが関係すること。
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偏った食事と運動不足。原因は誰もが関係すること。
年々増加する大腸がん。偏った食事や運動不足など、生活習慣が大きく影響することがわかっています。また、糖尿病も原因のひとつだと考えられています。大腸がんはどんな病気なのか?詳しくお伝えします。
肥満や糖尿病も大腸がんにつながる!
約1.5メートルと、身長もの長さがある大腸。盲腸から肛門までを大腸と呼び、盲腸・結腸・直腸・肛門に発生するがんが大腸がんとされています。大腸粘膜の細胞から発生した、腺腫という良性のポリープの一部ががん化するものと、粘膜から直接発生するものがあります。
家族や親族に大腸がんに罹った人がいない場合、「私は大丈夫」と思う人が多いと松田先生。
「大腸がんは遺伝的な背景もありますが、明らかになっている遺伝の関与は約15%なのです。ほとんどは、やはり環境。つまり、生まれ持ったものでなく、後天的な生活習慣の関与が最も大きいと考えられるのです」(松田先生)
遺伝子の異常によって起こる遺伝性のものよりも、生活習慣によって発症することのほうが多い大腸がん。誰もが罹る可能性があるということです。
大腸がんに深く関係する食事と運動。その理由は、偏った食事と運動不足の先に、肥満があるからだそうです。
「肥満は、大腸がんのリスクを上げる要因として“ほぼ確実”であることがわかっています。肥満が高じてくると、糖代謝のサイクルや、成長に関するホルモンの分泌が変化し、がんの発生を進めてしまいます」(笹月先生)
肥満と関係する糖尿病もまた、大腸がんの原因のひとつであることが最近わかったのだそうです。
「糖尿病は、失明や腎不全、神経障害など合併症が深刻。最近それに加えて、大腸がんのリスクを高めることがわかりました。大腸がんのほか、肝臓がんや、すい臓がん、子宮内膜がんのリスクも高くなります」(笹月先生)
大腸がんは、生活習慣が深く関係する病気。が、逆に言えば、生活習慣を改善することで予防ができるということ。“ライフスタイルの欧米化が問題”と言われることもあり、健康的なイメージのないアメリカですが、実は、がんによる死亡率が年々減少しています。しかもそれは、先進国、G7加盟国でアメリカただ一国だけ。その理由は、国の政策による生活習慣改善の取り組みが大きいと考えられています(P12で詳しく)。がんは予防できる病気であるはずなのに、生活スタイルを変えないことが、大腸がんを招いているのです。
大腸がんを避けるには今からの備えが必要!
女性にとって乳がんが心配な理由は、友人など自分と年齢が近い人が罹患した、という経験があるからではないでしょうか。乳がんは30代から増加し始め、40代後半、50代前半が発症のピークに。対して大腸がんは50代で発症が増え、高齢になるほどその割合が高くなる病気。30〜40代の人にとっては乳がんに比べて、罹患した人は周囲にあまりいないかもしれません。
「大腸がんは50歳以上の病気であると考えるのが一般的。年齢に比例して増えていくがんです。高齢者特有のがんであると言えます。高齢者に多いと知ると、まだ先のことのように感じるかもしれませんが、大腸がんの原因のひとつである大腸ポリープが、10年以上かかってがん化することを考えれば、今から備えておく必要があるのです」(松田先生)
その備えのひとつとして大腸がん検診が挙げられますが、受診している人は実に少ないのだそう。次ページでは、大腸がん検診の実情についてお伝えします。