糖尿病ほど誤解されている病気はない!
世界的にも“ 爆発的” に増えている糖尿病人口。
昨年、国際糖尿病連合(糖尿病の研究とその知識の普及を目指す団体)が衝撃的な発表をしました。世界の糖尿病人口が“ 爆発的” に増え続けているのだそうです。2014年の糖尿病有病数は3億8670万人。このままだと、2035年までに5億9190万人にまで増加すると予測されています。
「日本は職場や地方公共団体が健康診断を実施していることもあり、糖尿病を発見しやすい国。それにもかかわらず糖尿病人口は増え続けています。糖尿病だと診断されても『ちょっと食べ過ぎたからかな?』『運動不足かもしれない』と軽く受け流してしまう人がとても多い。また、健康診断で正常範囲内という結果であっても、限りなく糖尿病に近い場合がありますから、注意が必要なのです」と、順天堂大学特任教授の河盛隆造先生。
早期発見ができる環境にありながら、それでも糖尿病人口が増え続ける理由は、糖尿病への誤解がまず挙げられると河盛先生。「糖尿病は誰もが知っている病気。ですが、これほど誤解されている病気はほかにないと感じています」
日本では40歳以上の男性は3人に1人、女性は4人に1人が糖尿病だと言われています。それだけ多くの人がかかる病気だからか、甘く考えてしまう人が多いようです。
「食べ物が豊富で、あらゆることが便利になり、運動量が減少した現代社会は、誰もが糖尿病になる環境にあります。ですから、自分だけは大丈夫だという考えは誤解です。そうした誤解が予防や治療を怠らせ、結果、糖尿病人口を増加させています」
誤解から、予防・治療を怠る“糖尿病放置病” に!
糖尿病は、初期であれば深刻な病気ではありません。しかし、進行すると重い合併症を引き起こすリスクが高まります。
「医療が充実した日本で、糖尿病が原因で失明する人が年間に3 千人以上もいます。壊疽(えそ)による脚の切断や、腎不全で人工透析を受けなければならなくなる人もとても多い。また、認知症やがんなどのリスクが高まることもわかっています。それらの合併症を避けるためにも、予防・治療することが大事です。糖尿病は、正しく理解すれば怖い病気ではありません。予防や治療を放置する“ 糖尿病放置病” が、一番怖いと私は考えています」
糖尿病を正しく理解することが未来の健康を作るカギ。まずは、多くの人が持つ誤解を解いていきましょう。