Vol.13
思わず笑顔になる!
日本の旅をご紹介します。
避暑地の冬は発見がいっぱいです。
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避暑地の冬は発見がいっぱいです。
真冬の軽井沢へ、本当の冬の姿を探しに。
冬は、その寒さから、家の中に閉じこもりがち。温かく過ごせる場所から抜け出すのがおっくうになってしまうけれど、1年の終わりと始まりを迎え、心が浮き立つこの季節に、じっとしているのはもったいない。そう感じている私を旅に誘ってくれたのは、本当の冬の美しさ。避暑地として知られ、夏のイメージがある軽井沢へ、冬にしか出合えない景色や文化を求めて出かけることにしました。
日中でも氷点下に留まることがあるという、冬の軽井沢。訪れる人の数も少なくなりますが、その静かな雰囲気が、今まで知らなかった軽井沢の表情を見せてくれます。そして、この厳しい寒さこそが、高原や森の空気に気高い潔さを漂わせるのです。
「いい時期に来られましたね」。そう言って迎えてくれたのは、『軽井沢野鳥の森』で、さまざまなネイチャーツアーに案内してくれる『ピッキオ』のガイド・井上 基さん。冬が最もおすすめだというバードウォッチングに案内してもらうことにしました。
空も木々も野鳥も。冬の中の鮮やかな色。
木々を見上げると、夏に涼しげな日陰を生み出していた葉は落ち、真っ白な枝先が、澄んだ青空にまぶしく映し出されています。井上さんに聞くと、木々の枝を白く覆っているのは、雪ではなく氷なのだそう。「これは霧氷という現象で、低い気温で冷やされた水蒸気や霧が枝を包んでいるんですよ」。都会では目にすることのできないその景色に見入り、早々に、ここへ来たことの幸福を感じました。
『軽井沢野鳥の森』は、年間80種類の野鳥が見られる場所。「冬は葉が落ち、枝が見えるので、そこにとまる鳥たちの姿がよくわかるんですよ」。井上さんは、空に響く鳥の声を聞きながら、その存在を教えてくれます。この日は、シジュウカラやアカウソなどさまざまな鳥に出合うことができました。「冬は赤い色の鳥が多く、冬枯れの木立の中でひと際目立って見えるんです」。空や木々、そして野鳥。モノトーンをイメージしていた冬の景色は、実はこんなにも鮮やかな色をしていたのかと、小さな発見に嬉しくなりました。
日本初の国設野鳥の森で美しい野鳥たちの姿を。
クリやカラマツなどの木が茂る、『軽井沢野鳥の森』。1974年に日本で初めて国設の野鳥の森に指定されました。約3kmの散策路を自由に歩くことができ、野鳥をはじめとするさまざまな動植物に出合うことができます。森に隣接の『ピッキオ』(下に詳細あり)では、双眼鏡の貸し出しもあります。
積雪のある所では動物の足跡を見られる⁉
雪が積もった日の朝は、野鳥のほかウサギやタヌキ、キツネなどの足跡が見られることもあるそう。雪上に残るさまざまな痕跡を見ると、動物の存在が身近に感じられます。
ネイチャーツアーで、もっと冬の美しさを知る。
『軽井沢野鳥の森』を拠点に、さまざまなネイチャーツアーに案内してくれる『ピッキオ』。この旅で参加した 「野鳥の森ネイチャーウォッチング」(大人¥2,100)をはじめ、軽井沢の自然に親しめるツアーが多数。
『ピッキオ』●長野県北佐久郡軽井沢町星野 ☎ 0267-45-7777 アクセス/ JR軽井沢駅から無料送迎バスで約15分。森のさまざまな情報を得られます