vol.9
目にトラブルがない人にとって「見える」ことは当たり前になっていますが「見る」喜びは日常を豊かに彩り、目の健康は身体を守ることにもつながります。
今はもちろん、遠い未来も人々の目の健康を守りたい……それがロートの願いです。
目の健康と「見る」喜び。
今と未来のためにできること。
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目の健康と「見る」喜び。
今と未来のためにできること。
眼科研究者のための『ロートアワード』を設立時からサポート。
これまで、さまざまな視点から目の健康の守り方をお伝えしてきた本企画は、これが最終回となります。今回は、今の目の悩みの解決法ではなく、未来の目の健康を守るためのロート製薬の社会貢献活動についてお話しします。
110年前に初めて目薬を発売して以来、目のトラブルの改善・緩和に役立つ目薬を作り続けてきましたが、ロートの取り組みはそれだけではありません。その中のひとつが『ロートアワード』の支援です。
『ロートアワード』は、日本の大学などの研究機関の若手眼科研究者を支援し、眼科研究の発展・向上に寄与する目的で、1995年に設立された賞です。今や若手研究者の登竜門とも呼ばれています。大学教授からなる選考委員で厳正に審査され、基礎研究を中心に業績を上げた研究者に贈られます。
基礎研究とは、病気が起こるメカニズムそのものに関する研究です。基礎研究で発見された新しい知見は、実際に医療現場で行う病気の予防や治療法に関する臨床研究を経て実用化されます。革新的な治療法や薬なども、基礎研究がないと生まれません。2018年、京都大学の本庶 佑特別教授がノーベル医学・生理学賞を受賞されましたね。世界初のがんの免疫治療薬を生むきっかけになった基礎研究の成果が評価されたのです。基礎研究は、結果を出すまでに時間と費用を要するため、海外から成果を導入する企業もありますが、それでは日本の眼科研究は衰退してしまいます。『ロートアワード』はその重要性を考えて、若き研究者をサポートしているのです。
例えば2019年度の受賞者のひとり、大阪大学眼科の若林 卓助教の受賞テーマは、失明につながりやすい疾患(虚血性眼疾患)のメカニズムの解明と、治療法の研究です。ある疾患のメカニズムがわかれば、新しい治療法や予防法に結びつく可能性があり、これが眼科医療の将来につながります。
増えていく目の悩みを防ぎ、治し、
減らすため研究の先を見据えて。
ロートが初の目薬を出した110年前と比べると、人の寿命が大幅に延びたぶん、加齢による眼病にかかる人は増えています。今後、寿命はさらに延びると予想されています。人生100年時代とも言われており、将来的には、目のトラブルや悩みを抱える人がもっと増えていくと考えられます。今はもちろん、10年20年、100年先の眼科医療を見据えていかねばなりません。そのために、未来の医療の礎となる基礎研究を含め、若い研究者をサポートすることはとても大切。だからこそロートは、これからも眼科研究の向上と発展のための支援活動を続けていきます。
2017年の夏号から2年にわたって、この連載を読んでいただき、ありがとうございました。私ひとみは、今回でお別れとなりますが、これまでお話ししてきた目や目薬に関するさまざまなことが少しでも皆さんのお役に立つなら嬉しいです。たびたびお伝えしましたが、食生活や生活習慣も目の健康に影響するので日頃から気を配るようにしてください。また、目薬を活用しつつ、少しでも異常を感じたら眼科を受診しましょう。いつまでも「見る」喜びを感じられるよう、目の健康を守り続けてくださいね。