いきいきと健康的な生活を送るために大事な食事、運動、そして睡眠。大切なものだからこそ、“よい睡眠”をとろうと心がけていると思いますが、実は誤解していることも多いんです。今回は睡眠学や時間生物学がご専門の福田一彦先生に、よりよい毎日を過ごすための“よい睡眠”についてお話をうかがいました。
読了時間:分
決まった時間に
布団に入っている。
自然に眠くなって
からがよい。
よい睡眠とは、布団に入っている時間と実際に眠っている時間が、ほぼイコールになること。これを睡眠効率が高い状態と言います。布団の中で起きている時間が長くなると、脳が勝手に「布団の中は眠れないところ」と認識してしまいます。ですから布団に入るのは眠くなってから。布団の中でのスマホの使用や読書なども控えて、「布団は眠るための場所」と脳に認識させましょう。また、寝つきが悪い人は、寝る時間だけでなく昼間の過ごし方を見直してみるのも大事。うたた寝などを繰り返すと、睡眠のリズムが乱れる原因にもなります。よい睡眠を得るには、昼は活動的に過ごして夜はしっかり寝るといった、メリハリのある生活を送るよう心がけるとよいでしょう。
できるだけ
長いほうがよい。
短過ぎても
身体にはよくない。
日本人の睡眠時間は、世界の平均に比べて1時間ほど短いというデータがあります。では長く寝たほうがいいかというと、必ずしもそうではありません。睡眠時間が長過ぎても短過ぎても、動脈硬化のリスクが高まるという研究結果もあり、健康のためには適切な睡眠時間が必要だということがわかっています。推奨される睡眠時間は年齢によってさまざまですが、一般成人の場合は7〜8時間くらいが望ましいでしょう。
影響があるので、
寝る前は
スマホを見ない。
部屋の明るさにも
要注意!
ブルーライトは体内時計に直接働きかけるので、寝つきが悪い人は特に注意が必要です。また、ブルーライトだけでなく、SNSなどの情報で脳が覚醒してしまうことも睡眠に悪影響を与えます。ですから、寝る前はスマホを見ないようにするのがいいでしょう。さらに、ブルーライトはスマホだけでなく、部屋の照明の光にも含まれています。まぶしい青白い照明の部屋にずっといると、眠れなくなってしまうことも。おすすめなのは、寝る2時間くらい前から部屋の照明を少し落として暗くすること。オレンジ色の照明ならよりいいでしょう。
疲れをとるために
2~3時間
長く寝ても大丈夫!
長く寝るのは
1時間を目安に。
平日の睡眠不足を解消するために、休日に長く睡眠時間をとって寝だめをする人も多いと思いますが、それは逆に体調不良の原因になってしまうことも。平日より2〜3時間長く寝ていると、週末だけ海外旅行に行ったような時差ボケ状態になってしまうため、翌週のパフォーマンスにも影響してしまいます。睡眠で大切なのは毎日のリズムを狂わせないこと。それでも休日はゆっくり眠りたいという人は、1時間くらい遅く起きる程度に留めておきましょう。
避けるため、
寝る前は水分を
控えている。
水分を
控えなくてもよい。
年を重ねると膀胱の機能が低下してしまうため、夜中に1回くらいトイレで起きてしまうことはごく自然なことです。また、人間は寝ている間に約コップ1杯分の汗をかくと言われており、水分を控えてしまうと、より汗をかく夏場などは特に脱水症状を起こしてしまう危険もあります。喉が乾いているのであれば、ガマンせずに水分を摂りましょう。ただし、アルコールは深い睡眠の妨げになりますし、カフェインを含むものも利尿作用があるので避けたほうがいいでしょう。
入浴や運動をして
体を温める。
寝る2時間前までに。
人間は眠ろうとするとき、体温が下がります。体温が上がっている状態だと、寝つきが悪くなってしまうため、入浴や運動は就寝2時間前までには済ませておき、自然と体温が下がる時間を作ってあげましょう。あと、夏場でやってしまいがちなことは、寝ている間にエアコンをタイマーで切ってしまうこと。部屋の中が暑くなると、体温も上がってしまうため、夜中に何度も目覚めてしまうことになります。エアコンは快適な温度に設定して、朝起きるまでつけたままがいいでしょう。
ストレスを溜めない
ようにしている。
原因ではないので、
気にし過ぎないこと。
人間は誰でもひと晩に3回くらいは夢を見ると言われています。特にレム睡眠時には悪夢を見ることが多いと言われており、そのタイミングで目を覚ますと、夢の内容をはっきりと覚えているため、悪夢を見たと認識することになります。ストレスを溜めないことは大事ですが、悪夢を見ることは自然なことなので、特に気にし過ぎる必要はありません。
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