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なるほど!食の知識

イソフラボンでアンチエイジング!納豆の健康パワーとは?(2/2)

掲載号 vol.13

記事内容

読了時間:7分

納豆にまつわる 疑問Q&A

大豆に含まれるタンパク質ってどんなもの?
牛肉100gの平均タンパク質は17~18g。水で戻した大豆100gの平均タンパク質は16 ~17gで、牛肉とほとんど同じです。日本人の伝統的な食事は野菜が主で、欧米に比べて肉の摂取量は少ない傾向が。そんな中、私たちは、スタミナ源となるタンパク質を大豆から摂取してきたのです。日本人にとって、大豆に含まれる良質なタンパク質は重要な栄養源。このことから、大豆は「畑の肉」と呼ばれてきました。肉からタンパク質を摂取すると脂肪やコレステロールの摂り過ぎが気になりますが、大豆の場合はそのような心配もありません。
発酵させることで、どんな効果があるの?
発酵の過程で、納豆菌が大豆に付着することで、大豆そのものの栄養価がアップします。納豆の代表的な成分として、美肌に効果のあるビタミンやアミノ酸、旨み成分のグルタミン酸、疲れに効くアスパラギン酸、肝機能を高めるメチオニンが挙げられます。さらに、納豆菌が生み出す消化酵素が、栄養の吸収をよりよくしてくれます。そのため、大豆を発酵させた納豆は、大豆そのものよりも栄養価が高いのです。
納豆を作り出す納豆菌とはいったいどんなもの?
枯草や稲わらなどに多く生息する納豆菌は、非常に繁殖力の強い菌です。また熱にも強く、稲わらを熱湯消毒した場合、ほかの菌は取り除かれますが、納豆菌は死滅しません。1個の大きさは1mmの5000分の1。その納豆菌が、大豆1粒に約1千万個ほど付着し、発酵を促しています。そういった納豆菌の活動によって、大豆の栄養価がさらに高まるのです。
よくかき混ぜたほうがおいしくなるって本当?
よくかき混ぜるほど、旨み成分のグルタミン酸が粘りの中に溶け出すので、おいしくなります。納豆菌が作り出すグルタミン酸と、大豆に含まれる果糖(フラクトース)が結合したものが、納豆の粘り成分なのです。
納豆に含まれるイソフラボンにはどんな働きがあるの?
納豆には、女性にとって嬉しい成分が多く含まれています。そのひとつがイソフラボン。女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをして、肌の美白や保湿を高めるなどのアンチエイジング効果を発揮します。また、納豆には繊維質が多いので、お通じがよくなり腸内環境も整います。カルシウムも豊富なので、骨粗しょう症が気になる閉経後の女性は積極的に食べたい食品です。
どのぐらいの量を食べるのがいいでしょう?
美と健康に役立つ納豆は、毎日1~2パックを継続して食べることが大切。豊富な栄養が摂取できるのはもちろん、毎日食べ続けることで血圧を正常に保ち、血栓症の予防にも役立つそう。デトックス効果の高い亜鉛も含まれており、小さな子どもから高齢の方まで、幅広い年代の方の健康をサポートしてくれます。
大粒、小粒、ひきわりなど、それぞれどんな違いがあるの?
もともと江戸時代には、ひきわり納豆が一般的だったそう。普段の食事で白米を食べることがあまりなかった時代。主に納豆汁として食べられていたため、汁の中に溶きやすいひきわりが好まれたのでしょう。大粒と小粒は、栄養面に変わりはないので、味や食感などお好みでどうぞ。
おすすめの食べ方は?
さまざまな食材と組み合わせて、新たなおいしさを発見できるのが納豆の魅力。おろし大根と合わせると、においが和らぐので納豆嫌いの方にもおすすめです。夏はそうめんのつゆに入れてもおいしいですね。納豆菌は100℃でも死滅しないので、加熱調理も問題ありません。納豆パスタや納豆カレーに続くような、オリジナルの食べ方を見つけましょう。

納豆で夏バテ対策

そのまま食べても栄養価の高い納豆ですが、新たなアレンジで、納豆のさらなる魅力を感じてみませんか。ここでは、「納豆に醤油をかけるのではなく、醤油の中に納豆を入れる」という逆転の発想のもとに生まれた、小泉先生おすすめの「納豆醤油」の作り方を紹介します。さまざまな食材にかけて、夏バテ対策に役立ててください。食べるだけでなく、かけるスタミナ補給で暑い季節を乗り切りましょう!

[ 納豆醤油 ]

醤油1ℓに頭、ワタ、骨を取り除いた煮干し5本と、だし昆布5gを細切りにしたものを入れます。さらに納豆を2パック入れて、かき混ぜます。これを1日1回よく混ぜて、5日ほどたってから使い始めてください。昆布や煮干し、納豆の旨み成分と栄養が溶け込んでいる万能調味料。豆腐にかけたり、刺身につけたり、料理の隠し味に使ったりと、いろいろな使い方ができます。


この先生に聞きました!

小泉武夫先生

小泉武夫先生

こいずみ たけお

農学博士

1943年福島県生まれ。家業は酒蔵。1966 年東京農業大学農学部醸造学科卒業。1976年同大学より農学博士号を取得。1982年同大学応用生物科学部醸造科学科教授。2009年同大学を定年退職。現在は名誉教授。『納豆の快楽』(講談社)『発酵美人』(メディアファクトリー)など著書多数

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