Vol.1
美と健康のために正しいと思うこと。
その常識を徹底検証していきます。
きちんと知りたい、上手な油の摂り方。
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きちんと知りたい、上手な油の摂り方。
油はカラダに悪い、それ本当?
油はダイエットの大敵、摂り過ぎるとコレステロールを増やすのでカラダに悪い……。と言われるけれど、「カラダにいい油」もあると聞きます。いったい油ってどんなもの?どのように摂ればいいいの?毎日の食生活で何気なく摂っている「油」のことをきちんと知りたい。そこで上手な油の摂り方を、伊達友美先生に教えていただきました。
私たちの脳の60%は油でできています。臓器、特に心臓を動かすのも油です。また女性ホルモンも脂質の一種であるコレステロールから作られます。このように、油はカラダの重要な部分を形成する主成分であり、動かすためのエネルギーであり、バランスを整える上で大切なものです。
そのため油が不足したり、質の悪い油を摂ると、脳や心臓の機能が低下、細胞が老化し、女性ホルモンの分泌が悪くなる…。健康だけでなく美容にも大打撃を与えることになるのです。だからダイエットといえども油を抜くことはNG。
「私たちの身体は食べたものでできているのだから、いい食べものを選ぶことが大切」と伊達先生。「身体の細胞は、箇所により差はありますが、数日~数年で入れ替わります。いい油を必要な量しっかり摂って食事内容を整えるだけでも、身体を変えることが可能なのです。私の患者さんでは、肌のもちもち感を実感する方、目覚めがよくなったり、いらいらしなくなったと精神面での変化を実感する方が多くいらっしゃいます」
質のいい油をきちっと摂ると、脳はいきいき、性格が穏やかになり、肌もつやつやふっくらと。今日から生まれ変わるために、いい油選びを始めませんか?
1 油はカラダの中で何をしているの?
カラダを動かすのにとても重要な熱源として使われ、細胞膜、血液、ホルモンの原料ともなります。ビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミンの吸収も助けます。不足すると、冷えて代謝が落ち、太りやすくなってしまうので注意。体内で合成することのできない「必須脂肪酸(オメガ3と6)」は、特に乳幼児の発育・成長に重要な役割を担います。
2 オメガってなに?
不飽和脂肪酸の種類です。オメガ9、オメガ6、オメガ3の3種があり、それぞれにカラダへの働きが異なります。オメガ9にはオレイン酸(オリーブオイル)、オメガ6にはリノール酸(紅花油、ひまわり油、大豆油、コーン油、胡麻油)、オメガ3にはDHA、EPA、αリノレン酸などがあります。現代の日本人の食生活では、オメガ3が不足し、オメガ6を摂り過ぎの傾向が顕著に見られます。
3 不飽和脂肪酸のほかにはどんなものがあるの?
不飽和脂肪酸は常温では液体の脂質で、主に植物油や魚に多く含まれます。ほかには主に動物性の脂に多く含まれる飽和脂肪酸があり、こちらはLDLコレステロールを増加させます。また不飽和脂肪酸の中でも、トランス型と呼ばれるものは、LDLコレステロールを増加させることがわかっています。これは天然にはほぼ存在せず、マーガリンやショートニングなど工業的に作られたものに含まれています。摂り過ぎに注意しましょう。
4 ではどんな油を摂ればいいの?
「オメガ3」と呼ばれるDHA、EPA、αリノレン酸がおすすめです。HDLを増やし、LDLを減らす効果が、ほかの油よりぐんと高いのです。LDLはコレステロールを各組織に運び、HDLは余分なコレステロールを肝臓へ回収する働きをするので、よく「LDL=悪玉」「HDL=善玉」と呼ばれていますが、実は両方ともカラダには必要なもの。コレステロール自体もカラダに必要なのですが、余分にあり過ぎると血管に溜まってしまうのが問題なのです。現代の食生活ではLDLが増えがち、HDLが減りがちなので、コレステロールの血中濃度が高くなる傾向にあります。バランスを整えることが大切です。
5 オリーブ油はカラダにいいの?
オメガ3ほどではないけれど、悪玉コレステロールを減らす効果があります。また、オレオカンタールなどの抗酸化成分が多く含まれています。ただし不純物が入ってない、エキストラヴァージンオイルにこだわることが大切。熱に強く、加熱しても酸化しないので、オメガ3と比べて摂りやすいのが利点。もちろん、摂り過ぎればそれだけ摂取カロリーが上がるので、そこは注意して!
6 酸化した油を摂るとどうなる?
酸化した油が体内に吸収されると、まわりの組織までも酸化させてしまいます。細胞膜にダメージを与え、組織の老化を進行させる可能性があり、肌や脳にもいい影響はないといえます。特にオメガ3は加熱すると酸化するので油は加熱せずに生でいただくことをモットーに。焼き魚を食べるときは、カボスやスダチをかけて酸化した油を還元したり、大根おろしを添えるなどアルカリ性食品と一緒に食べて中和を!