健康経営銘柄に選ばれたロート製薬が考える“社員の健康”

ロートの社員が美と健康に無関心であってはならない！

健康は、健康であるときにはそのすばらしさに気づかないものです。かつてロート製薬の社員もそうでした。若いうちは元気でも、食事が偏ったり、運動不足になったり、また精神的に落ち込むなど、忙しい日々を送る中で年齢を重ね、少しずつ不調を感じることが多くなってきたようです。悲しいことに、みるみる太っていった社員もいました。お客さまに美と健康に役立ついろいろな製品をお届けしている私たち自身が、美と健康に無関心であってよいわけがない。私には、ごく当たり前にそんな思いがありました。 そうして今、さまざまに取り組んでいる健康増進活動。その第一歩は、1990年代前半の禁煙運動でした。喫煙は健康の妨げになることは科学的にも明白であるのに、それでも皆の意識を変え、完全禁煙に持って行くまでには何年もかかりました。今でもまだプライベートで喫煙する社員が残っていますが、これをゼロにしない限りは、本当の健康経営ではないと思っています。単純明快ですが、個人の自由意志にまで浸透しなければ実現できない高い目標です。

代表取締役会長　兼CEO　山田邦雄

禁煙運動よりも歴史が長い朝の体操と、運動会。

禁煙運動以前からこだわって継続していることのひとつが、朝の体操です。たかが体操と思うなかれ！身体の動き、顔の表情、視線のゆくえ、声の出し方、その人が今日どんなコンディションで、どれくらい気合が入っているか、全部丸見えになります。それは自分との対話の時間でもあります。それをチェックしてから我が社の一日が始まります。 それから、1000人あまりの社員が大阪の本社に集結する運動会も、ロート製薬ならではの風景かもしれません。今時は学校の運動会でも勝敗をつけないところもあると聞きますが、我社のはマジ勝負で、いい大人が血眼になって走ったり、泳いだり（本社にはプールがあるので、運動会に水泳競技もあるのです！）するのはほほえましくもあります。 運動会は、全社員が「仕事として」取り組んでいます。え？それが仕事になるの……？と思われるかもしれませんが、仲間を盛り上げたり、勝つための作戦を考えたり、協力して何かを成しとげるというプロセスは、実は仕事とまったく一緒で、下手な研修よりよほど効果があると思っています。そして場面が異なれば、思わぬ人が大活躍をしたり、逆に期待していた人がまったくダメだったり、固定した組織や役割関係にはまり込んでしまっていると見えない、仲間の別な側面を知ることができる貴重な機会でもあるんですね。

健康への取り組みと事業遂行。それは、すべてつながっていく。

健康への取り組みなど、事業遂行とは関係ないのでは？と思われるようなことも「すべてつながっている」というのが私の考えです。今の世の中が行き詰まっているのは、物事を“切り離す”ことばかり考えているからです。仕事とプライベートは別、事業と健康は別、肉体と精神は別……。そうして自分自身の居場所と役割を小さく、小さく考えて閉じ込もってしまう人が多くなっているのではないでしょうか？切り離すことで分析はできます。しかし、新しい価値というものは組み合わせること、つなげることから生まれてくるはずです。 健康に生きるというのは、よくよく考えると実に大変なこと。自分ひとりの力ではとても実現できないことなのです。自分の身体を生物として支えてくれる環境、精神を支え交流する家族や仲間、社会の一員としての経済的な循環、さまざまなサブシステムがうまくかみ合って回らないとバランスをくずして破綻してしまいます。また、自分が生きているということは、この複雑なシステムに参画できるということでもあります。自然界の動物でさえ大きな地球環境の中で、それぞれの役割を果たしながら生きているわけですが、人間はそれに「意思」というものを持っています。本当にすばらしいことだと思います。 一見バラバラのことがすべてつながっていて、一見無意味に思われることに大きな意味がある。そんな大きな世界を感じ、生かされ、かつ意思を持って向き合って行くことが、「健康を考える」ことではないか、と私は考えています。

• ロート製薬の一日は、体操から始まります。
• 運動会の花形種目・リレー。参加者全員が1位を目指して本気の疾走を見せます！
• 運動会には水泳種目も。こちらは水上に浮かべたボードの上を走り抜ける競技、水走り。