病院に行くほどではないけれど、「何とかしたい!」困りごとに、薬剤師の小原先生が、役立つアイテムやアイデアをご提案します!


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ひき始めと治りかけ、飲むタイミングが大切!
寒い季節になると、風邪の流行が気になりますよね。ご質問いただいた小雪さんが常備されている葛根湯のほかにも、風邪に効果のある漢方薬はたくさんあるんですよ。それぞれご紹介する前に、漢方薬について少しお話しさせてください。
いわゆる市販の風邪薬(総合感冒薬)は、喉の炎症、熱、痛みという症状を鎮める対症療法です。一方、風邪に効果的な漢方薬は、ウイルスと戦う抵抗力を高め、風邪の治りをよくするという考え方です。
風邪に用いられる漢方薬は、その症状レベルによってさまざまな種類があり、飲むタイミングが大切です。特にひき始めと治りかけに飲むのが効果的と言われます。寒気や喉に違和感があるなどひき始めに服用するものは、こじらせる前に回復が望めます。また、長引く咳や倦怠感が続く治りかけに服用するものは、元気な状態に戻る力をサポートしてくれます。熱があるときに飲む漢方薬もありますが、高熱で苦しいときは、即効性のある解熱鎮痛剤で早く熱を下げるほうがいいでしょう。
漢方薬は、顆粒をお湯に溶かして飲んでも◎
風邪のひき始めに用いられる漢方薬としては、葛根湯のほかに麻黄湯(まおうとう)、くしゃみ・鼻水に小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、つらい咳の症状には麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)があります。喉の炎症や痛みには、桔梗湯(ききょうとう)の顆粒を溶かしたお湯でうがいをして、そのまま飲み込むのも、療法のひとつです。風邪の治りかけに効果的な漢方薬としては、たんが絡む咳が続くときには麦門冬湯(ばくもんどうとう)、微熱が続いて食欲がないときには柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などがあり、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)なども、もとの元気な身体に戻る力をサポートしてくれます。
漢方薬は水や白湯のほか、顆粒をお湯に溶かして飲む方法もあります。身体が温まりますし、蒸気で喉を潤す効果も期待できます。漢方の薬効のひとつである、生薬の香りも立ちやすくなりますよ。
そして、風邪を早く治すためには、やはり栄養補給。熱が出るとビタミンCが失われるので、ビタミンの補給にはサプリメントや栄養ドリンクも役立ちます。また、風邪で寝込んでしまったときに役立つのが、介護食です。最近は、おいしいメニューがそろっていて、栄養バランスもよく少量なので、風邪の季節に常備しておくと安心ですよ。
生薬の香りも、漢方薬の効能のひとつ。
顆粒をお湯に溶かして飲むと、漢方薬の薬効のひとつである香りがいっそう引き立ちます。生薬の香りは、漢方では、生命活動のエネルギーとされる 【気】の流れを整え、イライラや頭痛の緩和、風邪の治りをよくする効果も期待できます。

風邪のひき始めの症状緩和に。
寒気がする、鼻がつまり鼻水が出る、喉が痛い……。風邪のサインを感じたときに、治る力をサポート!

葛根湯(かっこんとう)
悪寒がする、鼻水、頭痛、肩こりに
麻黄湯(まおうとう)
寒気、発熱、頭痛、鼻水など風邪の初期症状に
小青竜湯 (しょうせいりゅうとう)
たんを伴う咳や鼻水、鼻炎、花粉症に
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
たんが絡む咳、気道の炎症が強く色のついたたんが出るときに
桔梗湯 (ききょうとう)
扁桃炎や喉の炎症・腫れ・痛みに
風邪の治りかけに。
長引く咳、胃やお腹の調子が悪いときに。元の調子に戻る力をサポート!

麦門冬湯 (ばくもんどうとう)
乾いた咳、たんが絡む咳、鼻水
柴胡桂枝湯 (さいこけいしとう)
微熱や腹痛、吐き気や食欲不振などの症状に
補中益気湯 (ほちゅうえっきとう)
元気がなく胃腸の働きが低下して、疲れやすい
柴胡桂枝湯 (じゅうぜんたいほとう)
病み上がりの疲れや倦怠感、体力低下に