原因のひとつはストレス。“完璧主義”も引き金に
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原因のひとつはストレス。“完璧主義”も引き金に
若い人に多く、男性より女性に多い
機能性ディスペプシアは、20〜30代に多い病気なのだそうです。
「もちろん、中高年でもかかりますが、若い人がなりやすい病気だと言えます。機能性ディスペプシアの原因のひとつにストレスがあり、それに関連があるようです。年齢を重ねると、プレッシャーを上手くかわせるようにもなってきますが、若い人は、自分がなんとかしなくてはならないという責任感や、理想と現実のギャップに悩むことが多い。それがストレスになってしまうのでしょう。完璧主義や、デリケートな人がなりやすい病気なのです」
加えて、男性よりも女性に多いのだそうです。
「ホルモンの影響や、未だに残る男女不平等な環境など、さまざまな要因が考えられます。感受性が強いこともひとつの要因かもしれません。機能性ディスペプシアと似たところのある過敏性腸症候群(消化器に異常がないにもかかわらず慢性的に腹痛や下痢、便秘などを繰り返すもの)も、同じく女性に多く見られます」
ストレスが多いと、胃の活動は低下
“胃は心の鏡”と言われるほど、胃はストレスの影響を受けやすい部位。なぜかというと、胃が自律神経によってコントロールされているからです。自律神経は、身体の状態を一定に保つために、基本的な機能である呼吸や体温、血圧、心拍などを自動的に働かせる神経。それぞれの器官を活動状態に導く交感神経と、リラックス状態に導く副交感神経に分かれています。人はストレスを感じると、交感神経が優位になります。
「胃は副交感神経が優位になると動きが促進されるのですが、ストレスが多い状況では、交感神経が優位になり、活動が低下。胃が働くことができないため、食事をしてもすぐお腹がいっぱいになったり、食べたものが未消化になって胃もたれが起こったりします」
自律神経の乱れで、胃が知覚過敏になることもわかっています。
「胃に食べものが入ってきたときなどに胃酸が分泌されます。非常に強い酸ですが、胃を守るために胃粘液も分泌され、粘膜の表面を覆うので、通常は胃酸によって痛みが起こることはありません。しかし知覚過敏になると、少量の胃酸でも刺激になり、痛みや灼熱感が現れてしまうのです」
年齢を重ねると症状がなくなることもあるそうですが、そのまま長年続いてしまうことも。
「ストレスがストレスを呼ぶようなことも考えられます。また不調に襲われるのではないか、という不安が、不調を招いてしまうのです。過敏性腸症候群がある人には、もしお腹が痛くなってしまったらという不安から、各駅停車の電車にしか乗れない人がいます。同じように、機能性ディスペプシアも不安感が増すだけで不調が現れることも十分に考えられます」