疲れにくく、病気になりにくく。“貯筋”は人生のパフォーマンスを高める
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疲れにくく、病気になりにくく。“貯筋”は人生のパフォーマンスを高める
自己ベストを目指してパフォーマンスを高めよう
将来のために、貯金をしよう。そう考えられるのは、これからどんなことが起こるか、イメージできているからではないでしょうか。子どもの進学や結婚、住まいのリフォーム、海外旅行など、まとまったお金が必要になる場面をイメージできているから、貯金をできるのだと思います。筋肉を蓄える“貯筋”も、未来を具体的に想像してみると始めやすくなるかもしれません。
「今スポーツ庁では、運動やスポーツをとり入れ、国民に“ライフパフォーマンスの向上”を目指してもらおうという取り組みを進めています。ここでいう“ライフパフォーマンス”とは、それぞれのライフステージにおける運動能力（パフォーマンス）のこと。スポーツの世界でアスリートは“ハイパフォーマンス”を追い求めますが、皆さんが目指すべきは、人生でのパフォーマンスの向上。記録のために能力を高めるのではなく、生活に支障が出ないよう運動能力を高めよう、という考え方です」
ライフパフォーマンスの向上は、自己ベストを目指す、と言い替えられるかもしれません。若いときと同じ運動能力を保とうということではなく、10年後も20年後も、思うままに動き続けられるようにする。そのときの自分がベストだと実感できる状態を目指す、と考えればいいのではないでしょうか。
「思うように動けないと感じるひとつに、〝移動能力〟の低下が挙げられます。歩行に加えて、立つ・座ることも移動能力。筋力が衰えると、歩行が困難になるだけでなく、立つ・座るという行動に時間がかかってしまいます。1、2秒でできたことが、20秒かかる生活を想像してみてください。20秒は短いようで結構長い。家族や友人と出かけて、立ち上がるのに時間がかかると、次第に外出がおっくうになっていくかもしれません。絵を描く、音楽を聴く、本を読むなどの趣味は家でも楽しめますが、風景の写生やコンサート、新しい本や道具の買い物に出かけられるほうがいい。70歳、80歳、90歳になったとき、どんな自分でありたいか。将来ありたい姿を思い描くことが、貯筋を始めるきっかけになるでしょう」
筋肉を動かす！
筋トレなど
運動のメリット
疲れにくくなる
筋肉量の低下で、疲れを感じやすくなることも。筋肉は、活力エネルギーを生み出すエンジンのようなもの。エンジンを大きくする、つまり筋肉を増やすことで、疲れにくい身体を目指せます。
糖尿病を予防
筋肉は、食事などから摂った糖の貯蔵庫であり、糖をエネルギーに変える工場でもあります。筋肉量が少ないと、貯蔵・エネルギー変換がしにくくなり血中に糖があふれるため、糖尿病につながりやすくなります。筋肉量を増やすことは、糖尿病の予防になります。
大腸がんになりにくい
運動で筋肉を動かしている人は、大腸がんになりにくいことがわかっています。筋肉運動によって分泌されるホルモン、【SPARC（スパーク）】に大腸がんを予防する働きがあるのではないか、と期待されています。
認知症になりにくい
運動で筋肉を動かしていると、脳の働きを活性化する物質【BDNF】が分泌されることがわかっています。BDNFには、うつ病やアルツハイマー型認知症を防ぐ作用があるのでは、と研究が進んでいます。
貯筋があれば退院後の回復が早い！
将来、入院することもあるかもしれません。その場合にも貯金だけでなく、貯筋もあったほうがよいそうです。
「入院中は、身体を動かす機会が少ないため、筋肉が萎縮し筋力が低下しやすくなります。そのため、高齢の方が退院後に寝たきりの生活になってしまうことも少なくありません。普段から筋トレをして、筋肉を備えていれば、入院前の生活に戻りやすくなります」
筆者が、健康でいたい！と強く思ったのは、50歳を超えてから。真冬のある日、友人に会うために、東京から雪の積もる地方へ出かけたときです。遠く、寒い土地に出かけられるのは体力があるからだな、と気づいたのです。体力がなければ、暖かい家から出ようと思わなかったかもしれません。もちろん、自由に使えるお金があるのも旅に出られた理由。健康だから仕事を続けられるのだと感じました。ずっと、行きたいところへ行ける健康な自分でいよう。そんな目的を明確に持てたことで、運動習慣の中に、筋トレを加えられたのだと思っています。
