剥がさない、動かす、落とさない。「良性発作性頭位めまい症」の防ぎ方
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剥がさない、動かす、落とさない。「良性発作性頭位めまい症」の防ぎ方
耳石を剥がさなければめまいは防げる!
これからの健康作りに、ぜひ加えてほしい耳石のこと。めまいを防ぐため、そして老化のスピードをゆるめるためにできることは、いろいろあります。
「めまいの多くは、耳石が剥がれ、それが三半規管に落ち、頭を動かすことで起きます。仕組みはとてもシンプル。私は、耳石が剥がれなければこの病気はなくなるとも思っています。耳石の剥がれを防ぐ確実な方法はまだ見つかっていませんが、今できることとしては、耳石の材料になるカルシウムを摂ることが挙げられます。高齢者や、更年期や妊娠中、出産後などでエストロゲンが減少しやすくなっている女性は、特にカルシウムを摂るようにしましょう。それから、水分をしっかり摂ることも重要です。耳石がある内耳は、毛細血管が多くある場所。血流障害が起こると栄養が行きわたらなくなります。耳の中の血流をよくするためにも、水分はきちんと摂りましょう」
そして、耳石を動かすこと。刺激を与えることで耳石の減少を防ぐことができます。これには、老化のスピードを緩められる可能性もあります。
「耳石は使わなければ質・量ともに悪くなります。身体を傾けて、耳石に“感じさせる”こと。やはり、運動することが耳石への刺激になります。強度の高い運動である必要はありません。ヨガなどゆっくりした運動で耳石を動かすようにしましょう」
すでにめまいに悩まされている場合は、耳石を落とさないことが対策になります。
「耳石が原因のめまいは3~4週間程度で自然に治るものですが、中には10年続いているという人もいます。なぜかというと、耳石が剥がれ続けているからだと考えられます。剥がれて三半規管に落ち、溶けていくまでの間に、また次の耳石が剥がれて落ちる。これを繰り返しているのです。耳石が原因のめまいが長く続いている場合は、頭の位置を高くして眠るとよいでしょう。次に剥がれる耳石が落ちるのを防ぐことができます」
めまいを
起こさないために
カルシウムは、耳石の材料に。小松菜、干しエビ、ししゃも、いわしの丸干し、乳製品などカルシウムを多く含む食品を摂るようにしましょう。水分も忘れずに!
使わなければ耳石の質・量が落ちてしまいますから、運動をして耳石を動かしましょう。激しい運動でなくてもOK。運動が難しい場合は、図のように頭を傾ける動作をとり入れて。
知っておくことが、大きな備えに
めまいが起こったら、病院で検査を受けることも大切です。
「脳に原因があるめまいの場合もありますから、まずは検査を。ただ、検査ではそのめまいが耳石によるものという診断が難しいのも事実です。耳石は小さ過ぎてMRIやCTでは見つからないためです。だからこそ、めまいがどんなときに起こるかを把握しておくことです。例えば朝起き上がったときや、美容院で髪を洗ってもらったときなど、動いたときにめまいが起こり、じっとしていると治まるのなら、耳石が原因の可能性は高いと言えます。耳石によるめまいを治す薬はありません。ただ、剥がさなければ、落とさなければ、めまいが起きることはないのです」
耳石を知ることは、めまいに対処するための大きな備え。いつまでも毎日をすこやかに過ごすために、耳の中にある小さな石のことも忘れないでください。
めまいが
起こってしまったら
めまいが続く場合は、耳石が剥がれ続けている可能性も。頭を高くして寝ると、次に剥がれた耳石が、三半規管に落ちにくくなります。枕など寝具で、頭が45度前後の高さになるように調節しましょう。少し厳しい角度なので、少しずつ上げて身体を慣れさせるとよいでしょう。
三半規管に入った耳石が動くことでめまいが起こるので、めまいを感じている間は運動は控えましょう。運動は、めまいが感じられなくなってから始めましょう。
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