使わないと早く老ける!?耳石と老化の関係
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使わないと早く老ける!?耳石と老化の関係
宇宙空間で進む老化は、動かない耳石が原因!?
「私は、めまいを感じたことないなぁ」と、思ったあなた。そんなあなたにも、知ってもらいたいことがあります。実は耳石は、身体の衰えにも関係しているのです。
そのメカニズムを発見したのは、アメリカの宇宙開発機関、NASA。NASAにとって、宇宙空間で老化が急速に進むことが長年の課題でした。地球に帰還した宇宙飛行士が、周りの人に支えられながら移動する映像を見たことがあるかもしれませんね。これは、重力のない宇宙では身体に負荷がかからないため、筋肉や骨が衰えてしまうことが理由です。宇宙空間での生活で、筋力は半年で10~20%減少、大腿骨(太ももの骨)は、1か月で1.5%も骨密度が低下してしまいます。
NASAがその問題に取り組み、たどり着いたのが耳石です。お伝えしたように、耳石は引力によって傾きを察知するもの。無重力の宇宙空間では、耳石が動くことはほぼありません。これが急速な老化につながると発見したのです。
「私たちが安定して立ったり歩いたり、動くときには、さまざまな感覚器からの情報が脳に送られています。その情報をもとに脳が細かく調整し、筋肉に動けと指令を出しています。情報を伝えるさまざまな感覚器のひとつに、耳石があります。例えば耳石が『今、傾いている』という情報を脳に送ると、転倒しないようにするための処理が行われて、筋肉に『バランスをとるように動け』と指令を出しているわけです。無重力の宇宙空間では、耳石からの情報がなくなりますから、筋肉への指令もなくなります。それが筋肉を使わなくなることにつながるのでしょう」
耳石が動くことで
筋肉も動く!
前号の特集「“できなくなった”を減らすには」でもお伝えしたように、身体は目や耳、皮膚など感覚器からの情報を得て、脳が処理し、筋肉に動けという指令を出しています。耳の中にある耳石も感覚器のひとつ。身体が傾くと耳石が動いてそれを察知し、バランスをとるよう脳が筋肉に指令を出しています。耳石を動かさなければ、それだけ筋肉を使う機会が減ってしまうということ。身体の衰えは耳石にも原因がありそうです。
じっとしていることは宇宙空間と同じ状態に!?
耳石が動かない状態は、筋肉を動かす指令がなくなることに加え、耳石そのものの量も減ると先生。
「耳石は、引力がある地球だから必要なもの。無重力空間では必要がなくなります。身体は使われなくなると衰えます。耳石もやはり、使われなくなると質も悪くなりますし、量も減少します」
無重力状態で生活することはないし……と思われるかもしれませんね。でも、重力がある地球上でも、じっとしていると耳石も動きません。座っている状態が長いと、老化が進んでいるかもしれませんよ……!?