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ビタミンB1、食物繊維、オメガ3と6… バランスのよい食事が免疫のためになる

掲載号 vol.43

記事内容

読了時間:分

ビタミンB1不足は疲労がサイン。

日本人女性が1日に摂取しているビタミンB1は、0.86 mgだと言われています(2018年の国民健康・栄養調査より)。推奨される量は、18〜49歳が1.1mg、50〜69歳が1.0mg、70歳以上が0.9mgとされていますから、多くの人が不足状態だと考えられます。

「ビタミンB1が多く含まれる代表的な食品は、豚肉と鰻。日常的に食べることを考えると、摂りやすい食品は豚肉だと言えます。ハムなどの豚肉の加工品にも含まれています。さらに、効率よく摂るなら、アリシンを含む食品と合わせましょう。ビタミンB1の吸収率を10倍に上げてくれます。アリシンが含まれる食品はにんにくや玉ねぎ、にらなど。それらと豚肉を合わせる料理、例えば酢豚や、豚キムチなどもいいと思います」

ビタミンB1を摂れているか?わかりにくいものですが、疲労が不足のサインになると言えます。

「ビタミンB1は、糖をエネルギーに変える働きを持っていますから、疲れやすい、疲れがなかなか抜けないときは、不足が考えられます。疲労が溜まっている、食事が偏っていると感じているなら、サプリメントを摂るのもいいでしょう。ただ、“緊急事態”に摂るという意味で考えてください。肉や魚、野菜などの食品には、我々がまだ知らない栄養素が含まれていると言われています。やはり食事で摂るのが理想です」

ビタミンB1は免疫のために重要な栄養素。ただ、それだけ摂ればいいということでもありません。大切なのは、偏らず、いろいろなものを食べること。

「現在、日本各地の方に協力をいただいて、腸内細菌と食べものの関係から健康状態を調査研究しています。ある県の調査では、『野菜をしっかり食べている』と思われている方が多かったのですが、よく調べていくと、緑黄色野菜はきちんと摂られていても、根菜などそれ以外の野菜はあまり食べられていないことがわかりました。根菜は食物繊維が豊富。腸内細菌の餌になりますから、免疫のためにも必要。野菜だけを見ても、偏らないことが大事です」

バランスよく摂る。それが免疫にも必要。

意外かもしれませんが、免疫力を高めるために、油も必要です。

「サラダ油に含まれることで知られるオメガ6脂肪酸(以下、オメガ6)は、実は免疫を高める働きがあります。では、オメガ6をたくさん摂ればいいのかと言えば、そうではありません」

サラダ油以外にも、さまざまな食材にオメガ6が含まれていることから、オメガ6の摂取が過剰になっている人が多いようです。

「オメガ6は摂り過ぎると炎症を促進する作用がありますから、過剰になると、ウイルスに感染したときに炎症が起こり、症状が悪化すると考えられます。ですから、今度はオメガ3脂肪酸(以下、オメガ3)が持つ“炎症を抑える作用”も必要になってきます。免疫を適度に活性化させながら、暴走させないために、オメガ3も6もバランスよく摂るようにしましょう」

免疫のために何を食べるのか。ヨーグルトなどの発酵食品も、ビタミンB1が摂れる豚肉も含めて、偏らずいろいろなものを食べる。それが答えです。自分の食事内容を見つめて、過剰になっているもの、不足しているものに気づくことから始めましょう。

【1】ビタミンB1を摂取しやすいのは豚肉!
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ビタミンB1を多く含む食品の代表が、豚肉。特にひれやももに多く含まれます。米にも含まれていますが、胚芽に多く含まれるので、白米だけでなく、胚芽が残っている玄米も食事に加えましょう。

【2】+アリシンで、ビタミンB1の吸収率をアップ!

アリシンは、にんにくや玉ねぎ、にらなど強い香りを持つ野菜に含まれる香気成分。ビタミンB1を含む食材と一緒に摂れば、吸収率がぐんとアップ。豚肉と組み合わせた料理なら、玉ねぎを使う酢豚や、にんにくやにらなどが入ったキムチで炒める豚キムチなどがあります。

【3】腸内細菌のために、食物繊維も。

野菜をたっぷり食べると、身体にいい食事だったと感じますが、意外に摂り方に偏りがある場合も。緑黄色野菜だけでなく、腸内細菌の餌になる食物繊維を含んだ根菜も摂りましょう。日本人は食物繊維も不足気味。野菜の摂り方にもバランスを。

【4】オメガ6とオメガ3の理想のバランスは?
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オメガ6脂肪酸は、多くの人が過剰になりがち。炎症を促進するため、オメガ6は抑え、抗炎症作用のあるオメガ3を摂ることを心がて。えごま油、アマニ油、魚に含まれるαリノレン酸やEPA、DHAがオメガ3に分類される油。オメガ6とオメガ3の理想のバランスは1:1~1:4。1日1食を魚にしたり、小さじ1杯程度のえごま油やアマニ油を摂れば、そのバランスに近づけることができます。

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この先生に聞きました!

國澤 純 先生

國澤 純 先生

くにさわ じゅん

国立研究開発法人
医薬基盤・健康・栄養研究所
ワクチン・アジュバント研究センター
センター長

薬学博士。大阪大学 薬学部薬学科卒業。2001年、大阪大学大学院 薬学研究科博士後期課程修了。00年より日本学術振興会特別研究員(大阪大学)、01年より日本学術振興会 訪問研究員(カリフォルニア大学バークレー校)。04年より東京大学医科学研究所 助手。同校助教、講師、准教授を経て、13年 独立行政法人医薬基盤研究所プロジェクトリーダー(2015年、現組織に改組)。19年より現職。専門は、粘液免疫、腸内細菌、食品化学、ワクチンなど

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