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知っトク!?健康スキル

愛情ホルモン「オキシトシン」の効果と分泌量の増やし方(3/4)

掲載号 vol.42

オキシトシンが、健康を作る仕組み

自律神経を整え、胃腸や血管をすこやかに

ストレスは、万病のもと。本誌でもこれまでに、ストレスがココロと身体に悪影響を及ぼすことをお伝えしてきました。ストレスを抑える力があるオキシトシン。分泌を高めれば、ココロと身体のさまざまな不調を予防できることがわかってきました。まずは、ストレスに対して、私たちの身体がどのように反応しているのかを、お聞きしました。

「本来私たちはストレスに耐えられるようにできています。ストレスを感じると、CRFというストレスホルモンが放出され、それに反応してさらに別のホルモンが分泌されます。それでストレスと戦えるようになっていますが、長期にわたって複雑で多様なストレスを受け続けると、その防御システムが過剰に反応。ストレスと戦うためのホルモンが大量に分泌されるようになり、落ち着きがなくなったり、攻撃的な言動をしやすくなります。加えて、自律神経のバランスが崩れ、不調も表れます

不調のきっかけは、ストレスに耐えるシステムが正常に機能しなくなるからなのです。

オキシトシンは、過剰なCRFを抑える働きがあります。それによって防御システムの暴走を防ぎ、自律神経のバランスを整えるのです」

ストレスホルモン産生を
抑えるオキシトシン
ストレスホルモン産生を抑えるオキシトシン

ストレスを感じると、脳にCRF というストレスホルモンが放出されます。それに反応して、コルチゾール、ノルアドレナリンという別のホルモンが分泌されます。本来は、ストレスに負けないように働くものですが、過度なストレスがかかり続けると大量に分泌され、自律神経が乱れて、逆効果になります。オキシトシンには、過剰なCRF を抑える働きがあり、過剰なストレスから心と身体を守ります。

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、身体が活動しているときは交感神経が優位、リラックスしているときは副交感神経が優位に。このふたつの神経の切り替わりが上手くいくのが、バランスの整った状態。身体の機能が正常に働き、不調の予防につながっていくのです。

「胃や腸などの消化器管は、ストレスと深い関連があります。交感神経優位な状態が続くと、基本的に身体は活発傾向になりますが、逆に胃や腸は動きが鈍くなります。それによって、食欲の低下や下痢などの症状が現れやすくなるのです。オキシトシンが分泌されると副交感神経が優位になり、胃腸の不調が改善されます。加えて、高血圧・動脈硬化の予防も期待ができます。血管も、ストレスの影響を受けやすい器官。副交感神経を優位にし、血管の過度な収縮を抑えることが期待できます。最近の研究では、オキシトシンが直接血管に作用して、血圧を下げることもわかっています」

愛情ホルモンが、幸せホルモンを促す!

オキシトシンには、幸せな気分に関係する、ふたつのホルモンの分泌を促す作用もあります。

「ひとつは、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニン。不安を鎮め、心を安らかにする働きがあります。もうひとつは、“快楽ホルモン”と呼ばれるドーパミン。これには、やる気を高めたり、喜びや幸せをもたらす働きがあります」

セロトニンは、睡眠ホルモンと言われるメラトニンを作る材料にもなります。オキシトシンの分泌で、健康の源である睡眠の質の向上にもつながります。

「ストレスに強くなり、自律神経が整い不調が改善。そして、幸せな気持ちに満たされ、人との交流も活発になる。オキシトシンには心と身体の健康につながるさまざまな作用があります。これからを生きるために、必要だと思いませんか?」

挿絵3

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