ココロと身体の健康、そして豊かな生活のために。
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ココロと身体の健康、そして豊かな生活のために。
日々使うことが嗅覚障害の予防に!
ココロと身体の健康のために、嗅覚は、心強い味方になってくれると言えそうです。
「嗅覚をすこやかに保つということは、今と将来の生活を楽しくするために、とても重要なことだと思います。嗅覚が悪くなっても、特効薬はありません。ただ、においを脳に伝える嗅神経は増やすことができます」
マウスを使った実験で、においの刺激によって嗅神経が増えることがわかったそうです。
「マウスの鼻を片方だけ開き、もう片方をふさぐと、ふさいだほうの鼻は、におい刺激が入らないため嗅神経の数が減ります。しかし、そこからふさいでいた鼻を開くと、嗅神経は増えることがわかりました。目や耳の神経の数は、生まれたときから減っていくだけなので大切に使わなければなりませんが、嗅神経は、においを嗅ぐ、つまり、使うことで増やすことができるのです」
料理をはじめとする家事、メイク、肌や髪のケア……。女性には多くある香りに触れる機会。これまで当たり前にやっていたことに加えて、においを意識する習慣をプラスすれば、より嗅覚をすこやかに保てると言えます。
「嗅覚障害の患者さんは、治療として、においを嗅ぎわけるトレーニングをしています。同じように、優れた嗅覚と感覚を持つ調香師(香水などの香りを作り出す職業)もトレーニングをしています。つまり、治療だけでなく鋭敏にすることにも役立っているのです」
先生が治療のために指導しているトレーニングの方法をお聞きしました。
「例えば、りんごのにおいを嗅ぐ前に、りんごがどんなにおいだったかを思い出してもらいます。次にりんごのにおいを嗅いで、記憶の中の香りと同じかどうかの確認をしてもらいます。先ほどご説明したように、においの刺激は、記憶や感情と関係する古い脳へ届きますから、鼻から嗅ぐにおいと、記憶の中にあるにおいとを統合させることが重要。同じかどうかの確認が、“においを意識して嗅ぐ”ということになります」
禁煙、運動。健康につながる習慣を。
嗅覚を衰えさせないためにできることはほかにもあります。
「ひとつは、慢性副鼻腔炎(鼻づまりや膿のような鼻水が出るなどの症状が現れる病気)を予防すること、きちんと治療することです。嗅覚障害の患者の約4割は、慢性副鼻腔炎が原因。風邪が流行する時期、花粉が飛散する時期はマスクをつけ、鼻への異物の侵入を防ぐことも予防になります」
喫煙の習慣がある人は禁煙を。
「嗅神経は、唯一身体の表面に出ている神経。鼻の中とはいえ、外界と接している“身体の外側”。嗅神経はむき出しの状態です。喫煙によってタバコの煙が直接当たると、嗅神経がダメージを受け傷んでしまいます。タバコは人間が身体に入れる最も強い酸化ストレス物質。慢性副鼻腔炎のリスクにもなります。嗅神経は再生しますが、限りはあります。喫煙で数を減らすことは避けるべきです」
適度な運動も、やはり効果的。
「動脈硬化も嗅覚障害のリスクとされていますから、血流をよくするための運動は、効果があると言えます」
いつも通り、香りを楽しみ、時にはそれを意識すること。そして、健康のためのいい習慣を持つこと。女性だけでなく、男性にも効果が期待できる予防法です。豊かな生活のためにできることをプラスしてみませんか?
嗅覚をすこやかに保つ!
- 香りを楽しむことで嗅覚は鍛えられる。
- 料理やメイク、入浴時など、香りを楽しむことを続けましょう。
- 嗅覚を衰えさせるリスクを放置しない!
- 慢性副鼻腔炎は嗅覚低下のリスク。きちんと治療&予防を!
- 身体にいいことは嗅覚にもいい。
- 動脈硬化予防が、嗅覚障害予防に!適度な運動が効果的。
- 嗅神経は再生する。ただ、やはり大切に。
- タバコの煙は、嗅神経に大きなダメージが。禁煙しましょう!