今や、日本人は100歳まで生きる時代だと言われています。長生きするのならば、やはりいつまでも元気で若々しくいたいもの。老化に負けないよう食事や運動などに気を配っているのではないでしょうか。もちろんその努力も大切ですが、それが過度になると逆効果になるかもしれません!元気で長く生きるために、私たちは“あるもの”を大切にしなければならないのです。
幹細胞とは? | わかりやすく詳しく解説!若さや美しさ、寿命も変わる!
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幹細胞とは? | わかりやすく詳しく解説!若さや美しさ、寿命も変わる!
若さや寿命の差は〝あるもの〟の差!?
周りの人のことを思い浮かべてみてください。実年齢よりも若く見える人、それより老けて見える人がいるはずです。日本は長寿の国だと言われていますが、寿命にも差があります。長生きの人と、そうでない人がいますよね。その違いは何だと思いますか? 生活習慣の違い? それも大きな理由だと言えます。が、その違いによって「あるもの」の数が変わってくるから、だと言ったほうがいいかもしれません。
“あるもの”とは、私たちの身体にある「幹細胞」のこと。とても大切なもので、私たちはこれを生まれたときからずっと使い続けているのです。幹細胞がいかに大切なものか、自治医科大学の吉村浩太郎先生はこう話します。
「幹細胞はお金のように、生きていくためになくてはならないもの。なくなれば生きられないのです。幹細胞は生まれたときが最も数が多く、成長の過程で多く使われ、身体がある程度できあがったときには、生まれたときの4分の1にまで減ります(下のグラフ参照)。消費するのは、誰にでも起こる自然な成長過程です。ただ、その後の消費のされ方次第で、若く見えるかどうか、長生きするかどうかが違ってくると言えます」
お金に例えられた幹細胞ですが、残念ながらお金と違い、生涯増やすことはできません。生まれたときに与えられたものを、大切に使っていくしかないのです。
次第に失われていく幹細胞
出典:Journal of cellular physiology(2007) doi 10.1002/JCP
骨髄の中にある幹細胞の変化を示したグラフ。
新生児を1とすると80代では200分の1まで減少。
身体を大きくするために多く使われ、年齢とともに減少していきます
病気やケガなどが幹細胞の無駄使いに!?
「幹細胞は、さまざまな細胞のもとになる細胞。私たちの身体を作る、60兆個もの細胞(*)を作り出すもとになっているのです。肌も筋肉も骨も血液も、あらゆる組織・臓器は細胞でできています。細胞にも寿命があり、死を迎え、新たな細胞に生まれ変わります。
それぞれの粘膜細胞は常に生まれ変わりを繰り返していて、例えば胃や腸の内側を覆っている粘膜細胞は約24時間、肌の細胞は1〜2か月、血液に含まれる赤血球は約120日で新しい細胞に置き換えられます。その生まれ変わりに大きな役割を果たすのが幹細胞。幹細胞があるから、新しい細胞が供給され続けるのです」
幹細胞は、あまり働かされると消耗し数が減っていきます。その幹細胞の使われ方に差があるから、若さや寿命に差が出てくるのです。
「細胞が本来の寿命よりも早く死を迎えた場合、幹細胞がより多く使われることになります。通常の生まれ変わり以外に、炎症があったり、ケガや病気などのアクシデントが起こることで細胞が予定より早く死を迎え、幹細胞の出番が増えてしまうのです。ケガや病気などが多い人は、幹細胞が消耗して、数が少なくなっていくと考えられるのです」
若くいるためには、限りある幹細胞を無駄使いしないこと、だと言えそうです。
* 37兆個との説もあります