いい結果を目指したい!ココ!で使える 脳科学。
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いい結果を目指したい!ココ!で使える 脳科学。
テストや合コンなど、いい結果を残したい大切な場面。そんな“ここ一番”でがんばりたいときに役立つ方法を、池谷先生に伺いました。これを知れば、さまざまな場面で応用もできるはず!
彼の左側に座ることをおすすめします。なぜなら、人には左側を重視する傾向があるからです。例えば魚の絵を書いてみてください。きっと左側を頭にするでしょう。このように、視野の半分を重要視しもう一方を無視しがちな、人の認知傾向を「シェードネグレクト」といいます。青果店で、目玉商品を左側の棚に陳列するとよく売れるという実験結果もあります。まずは左側の席を確保しましょう。
もうひとつ、「ミラーリング」も有効な方法です。鏡に映し出すように相手の行動の真似をするというもので、相手からの好感度が増すことがわかっています。その人と話しているときに、グラスを持つ、頬杖をつくなど相手の行動をさりげなく真似してみてください。どうやら真似には、心を近づけ合う力があるようです。きっと彼に好印象を持ってもらえますよ。
とにかくやり始めること、です。それができれば苦労はしない、と思われそうですが、本当にそうなのです。例えば、笑ったとき、“楽しいから笑った”と感じますが、実は逆で、“笑った顔になったから楽しい”と感じているのです。実験で、笑顔に似た表情を作るだけで楽しい気分になるということもわかっています。
脳にある入力(感情や感覚)と出力(行動)では、出力のほうが重要だと言えます。ですから、やる気に関しても同じです。やる気が出たからやるというよりも、やり始めたからやる気が出るのです。面倒だなと思っても、やり始めることが大事。家事だけでなく、仕事も勉強も同じです。やり始めたら次第に気分が乗ってくるはずです。「何ごとも始めた時点で、もう半分終わったようなもの」と言われているのですよ。
前ページの“やる気”の部分でもお伝えしましたが、脳は入力よりも出力が重要。いい結果につなげるためには、入力よりも出力を大事にしましょう。テスト対策で言えば、教科書や参考書を繰り返し読んで知識を入れ込むよりも、問題集を繰り返しやること、ですね。
読む(入力)を丁寧に繰り返したとしても、知識は定着しません。そんなはずはない! と思うかもしれませんね。確かに、2回、3回と読むと、1回目に比べてスラスラと読めますから“わかった”気になります。しかしそれが問題。“わかった”気になると、それ以上勉強の必要はないと判断してしまいます。本当に理解しているかどうかもわかりません。わかったという気分は、学習の妨げになります。情報はただ入れることに意味はなく、何度も使うことによって、長期間安定して保存することができるのです。
問題集を解くこと以外にもいい出力方法があります。声を出す、手足を使うなど五感を使うことで、脳に「これは必要な情報だ」と訴えることができますから、覚えたことを友だちに説明してみましょう。いい出力になる上に、自分がどれだけ理解できているかを確認することもできますよ。
普段通りの実力を出すには、事前にプレゼンへの不安を書き出すとよいでしょう。シカゴ大学のベイロック教授が行った実験で、その効果が明らかになっています。対象は進学と落第のかかった期末試験を目前にした106人の高校生。テスト直前に10分間時間を与え、次の科目のどの部分に不安を感じるかを具体的に書き出してもらったところ、10%ほど点数が向上。試験に関係のないことを書き出すのでは効果はありませんでした。気持ちを素直に吐き出すことが、緊張感をほぐすのに役立っているようです。
また、姿勢を正すことも有効です。マドリッド自治州大学のブリニョール博士らが、71人の大学生を対象に、自分の長所と短所を、背筋を伸ばした状態と背中を丸めた状態で書いてもらったところ、前者のほうが確信度が高いことがわかりました。背筋を伸ばすと、自分の導き出した答えに強く自信を持てると言えます。姿勢を正すことは、大切な場面でできる簡単な方法のひとつ。ぜひ、役立ててくださいね。