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近視は目の万病のもと!?近視の予防&進行抑制のための6つの対策(3/5)

掲載号 vol.30

近視の発症・増加には“遊ばないこと”が影響!?

どうして近視になってしまうのでしょうか。原因はさまざまに言われてきましたが、実は最近、屋外で過ごす時間が近視に影響していることがわかってきました。

わかってきた屋外活動時間の影響。

遺伝、暗いところでの読書、勉強のし過ぎ、テレビの見過ぎ、パソコン・スマホの使い過ぎ……。それらは長らく、近視の原因の“定番”でしたが、それだけではないことがわかってきました。

「昔から言われてきた原因は否定できませんが、実は、なぜ悪いのかは明らかになっていません。例えば遺伝は、親が近視であれば、その子どもも近視になりやすいことは確かですが、生活環境も同様に重要であることがわかっています。同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、近視になる人とならない人がいるのです。また、パソコンやスマホなどのデジタル機器は目に負担がかかることは事実ですが、どのように近視につながるかは明らかにはなっていません」

では、何が近視の原因なのでしょうか?さまざまな調査からわかってきたのが、“屋外活動時間の短さ”だそうです。

「読書や勉強など、近くを見る作業をしても、屋外活動時間が長ければ、近視発症リスクが低いことが報告されています(下のグラフを参照)。身体を動かすことが近視抑制になるのでは、という考えもありましたが、体育館など屋内活動は近視抑制と関係がない可能性が指摘されています。ちなみに、私が教えている慶應義塾大学の医学生は、ほとんどが近視。そうでない数名に聞くと、子どもの頃、サッカーや野球をやっていたそうです。彼らは勉強の時間だけでなく、屋外活動時間も長かったことで近視にならなかったのかもしれません」

近視に影響する野外で遊ぶ時間。 外で遊ぶ時間が長ければ、近視発症リスクは低い

“勉強ができる子に近視が多い”のは、勉強のし過ぎではなく、外で遊ばなかったことが原因のひとつだとも言えます。

2時間の外遊びで“運命”は変えられる!?

「1日2時間、外で遊べば、近視発症リスクはぐんと低下(下のグラフを参照)。どちらかの親が近視の子どもとほぼ同じ、さらには両親ともに近視ではない子どもとも近い状態になります。外でたくさん遊べば、室内で勉強や読書、ゲームなどの近見作業をした分がキャンセルされる可能性があるのです」

両親ともに近視でも、外遊びでリスクが低下。 野外活動時間の影響が大きいことを示した研究。両親ともに近視でも野外活動時間が長ければ、近視発症リスクが大きく低減。逆に両親とも近視でなくても野外活動時間が短ければ、近視になりやすいこともわかります。

屋外で過ごすことが少なくなってしまった、私たちの生活スタイル。それが近視の増加につながっていると言えます。

鳥居先生が参加する研究チームは、屋外で得られる“ある光”に、近視抑制効果があると見ています。

「その光とは、可視光線下限に位置する波長のバイオレットライト(紫光)です。この光は、ガラスなどのUVカット加工によって紫外線と一緒に遮られます。最近の住宅の窓ガラスやメガネ、コンタクトはほぼUV加工がされているため、バイオレットライトが不足、近視が発症・進行するのではないかと考えています。今は近視を根本から治すことはできませんが、近い将来、近視の改善にバイオレットライトが役立てられることを目指して、研究を続けています」

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