毎日がもっとハッピーに!眠りで得られること。
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毎日がもっとハッピーに!眠りで得られること。
いい睡眠をとるだけで、太りにくくなる!?
睡眠は、美と健康にさまざまないいことをもたらしてくれます。
苦しいダイエット不要?眠りで太りにくい身体に。
「肥満の人の多くは、いい睡眠がとれていないと考えられます。肥満の原因は食事と運動だけではなく、睡眠とも関係しているのです」
夜遅くまで起きていると、お腹が空いて、つい何かを食べてしまったという経験は誰にもあるでしょう。それには理由があるのだそうです。
「ホルモンの働きが関係しています。睡眠時間が短くなると、食欲を増進させる、グレリンというホルモンが活発に分泌される上、食欲を抑えるホルモン、レプチンの分泌量が減少します。食欲が増す一方になってしまうため、しっかり食事をした後でも、なんとなくお腹が空いたように感じて、つい食べてしまうといったことが起こりやすくなるのです。いい睡眠をとれば、レプチンが増加(下のグラフ参照)、グレリンが減少し、結果ふたつのホルモンの作用が整って、食欲が抑えられます。無駄に食べてしまう、といったことがなくなるはずですよ」
いい眠りで太りにくい身体を作れるというのは、実に嬉しい話。やはり、睡眠は食事や運動と同様に、大切にすべきものだと思わされます。
いい睡眠はほかにも、肌の老化予防に重要な成長ホルモンの分泌も促してくれるのだそう。
「成長ホルモンとは、その名の通り、ヒトの成長と代謝を促す物質。壊れた細胞や筋肉などを修復する大切な働きがあり、古い角質から新しい角質へ生まれ変わらせる新陳代謝や、紫外線などによって受けた肌ダメージの修復などの役割を担っています。ぐっすり眠った翌日に、肌をほめられたことはありませんか? いい眠りは体型にも肌にもいい効果をもたらしてくれるのです」
成長ホルモンが活発に分泌される時間帯は23時から深夜2時。23時までに眠ると、たっぷり成長ホルモンの恩恵が受けられるということです。やることが多くあって寝るのがもったいない、と感じてしまいますが、実は寝ないほうがもったいないのです。
寝ずに勉強するよりも寝たほうが成績が上がる!?
人の名前を思い出せなかったり、必要な買い物を忘れてしまうなど、日々起こる“うっかり”の改善にも期待ができるのだそう。
「眠っている間に、脳が、その日得た情報を必要なものと不要なものに整理しています。学習で得た知識や、重要な約束、料理の手順など必要なものは記憶され、逆に毎日習慣になっていることや、情緒が伴わないようなものは残らないように削除されます。大事なものだけが研ぎ澄まされて記憶されるのです」
徹夜で勉強してもあまり効果がないのは、このためです。寝る時間を削って勉強するより、きちんと眠ったほうが成績は上がるかもしれません。
「ある日本の電機会社が、約2600人の従業員を8年間追跡調査したところ、睡眠に問題を抱えている人は、そうでない人に比べて、糖尿病に罹患する確率が2倍以上高くなっている(※1)ことがわかりました。糖尿病は遺伝的要素や体質、生活環境が絡み合って発症しますが、睡眠不足もそこにかかわっていると考えられます。高血圧もそうです。ある通信会社の調査で、睡眠に問題がある人のほうが、そうでない人に比べて約2倍高血圧になりやすいという結果が出たのです(※2)。眠りが健康に役立つという実感はないかもしれません。でも、いい睡眠をとれば、万病のもとになる肥満を防いで、糖尿病や高血圧など、放っておくと死につながるような疾患も防ぐことができるのです」
先生の調査によると、いい睡眠をとっていると積極性が増すこともわかってきたのだそう。睡眠を大切に考えることで、生活が整い、幸福感が増えると言えます。
古賀先生もメンバーのひとりである睡眠改善委員会が行った調査によると、よく眠れている人は、そうでない人に比べて年収が高い傾向にあることがわかったそうです。毎日ぐっすり眠ることで脳の機能は一定に保たれますが、睡眠不足が1週間ほど続くと脳の働きは鈍くなり、集中力や判断力が低下。意欲も低下していくとか。仕事の能率の差が年収の差になっているのではないかと考えられます。いい眠りは、やはりいいことをたくさんもたらしてくれるようです。
※睡眠改善委員会が実施したインターネット調査より。20~40 代の快眠者とかくれ不眠者の男女 832 名が対象
※かくれ不眠とは、睡眠改善委員会が名づけたもので、不眠症の一歩手前の状態のこと。軽度短期不眠状態を指します
※1 Kawakami N. et al. Diabetes Care 2004;27:282-283
※2 Suka M. et al. J Occup Health 2003;45(6):344-350