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知っトク!?健康スキル

除菌・抗菌、間違った清潔感は危険!?健康に必要なLPSとは?(3/3)

掲載号 vol.26

記事内容

読了時間:9分

菌を排除するのではなく自然に触れ合い共存することが大切。

休日は自然に囲まれ菌と適度に触れ合おう。

菌は健康のために必要なもの。そう言われても、これまで除菌・滅菌をごく普通にやってきた人、たくさんの人が触った吊皮がどうしても気になって仕方がないという人に、急にその行動を改めてというのも難しいかもしれません。そこでまずは意識を変え、できることから始めてみましょう。

「おすすめなのが、海や川、森や山など、自然のあふれる場所に足を運んでみること。おいしい空気を吸ったり、美しい水に手を触れたりすることでおのずとLPSを含むさまざまな菌に触れることになります」

大切なのは菌を気にし過ぎず、おおらかな気持ちで周りの環境とつき合うことです。

「私たちの身体には腸内で1000、皮膚で200、口腔内で700種類もの菌がいます。一般的には善玉や悪玉と言われるものもありますが、私はその呼び方に違和感があります。ほとんどの菌は身体には必要なもので、大事なのはバランスだからです。それらのバランスによって、私たちの身体や心がよい状態に保たれています。菌とは切っても切り離せないほど、密接な関係があるんです」

これからは、過度に菌を排除するのではなく、味方にするくらいの気持ちで菌とつき合ってみてはいかがでしょうか?

菌と上手につき合い共存するための3つのポイント。

  • 緑豊かな森に足を運んだり、川の水に触れてみたり。ゆったりとした気持ちで自然と触れ合っていると、多様な菌に触れ合えるだけでなく、LPSも摂取することができます。休日はガーデニングをするなどして、楽しく土に触れる機会を増やすのもおすすめです。

  • 手や肌を洗浄力の強い石鹸でごしごし洗うと、もともと皮膚の表面にいる、潤いを生み出すために必要な菌まで一緒に洗い流してしまいます。だから神経質に洗い過ぎるのはNG。こすらず汗や脂を洗い落とす程度で十分なのです。

  • 蓮根やさつまいもなどの根菜類や、わかめやめかぶなどの海藻類、さらに玄米などには、LPSが多く含まれています。加熱してもLPSは壊れないので、調理をしても大丈夫。また基本的には摂り過ぎによる弊害もありません。現代人は慢性的なLPS不足と考えられるので、普段の食事で積極的に摂りましょう。

  • LPSたっぷりでおいしい注目の健康米。

    健康ご飯として話題を集めている金芽米。特別な精米方法で、胚芽の口あたりの悪い部分だけを取り除き、栄養豊富な部分だけを残したお米です。金芽米は白米のおいしさと玄米の栄養価を併せ持っており、栄養素も豊富。ビタミンB₁・Eや食物繊維に加え、LPSは白米の約6倍も。現代人の重要なLPS供給源として期待されています。

発熱時に細菌感染を治療する目的で処方される抗生物質ですが、2歳までに摂取した子どもはそうでない子どもに比べ、アレルギー発症率が2〜20倍にもなるという研究結果が。これは抗生物質の摂取で腸内細菌が減り、体内の免疫バランスが崩れることに原因があるそう。とは言え、高熱に苦しむ子どもに薬を飲ませないというのはなかなかできません。そんなときは「LPSを一緒に摂るのがおすすめ」と先生。LPSを多く含む食品を一緒に摂るようにしましょう。


この先生に聞きました!

稲川裕之 先生

稲川裕之 先生

いながわ ひろゆき

香川大学医学部
統合免疫システム学講座
客員准教授

埼玉大学工学部卒業。2011年より、香川大学医学部統合免疫システム学講座客員准教授。生物の免疫機構解明を専門とし、30年間にわたりマクロファージの活性化制御に基づく難治性疾患予防等の研究に携わる。自然免疫制御技術研究組合研究本部長、NPO環瀬戸内自然免疫ネットワーク理事、新潟薬科大学特別招聘教授兼務

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