“菌は身体にとにかく悪いもの”だと思っていませんか?実は菌は身体に害を及ぼすものばかりではありません。過剰な清潔感から菌を避けるあまり、健康のために必要なものが摂れなくなっていることが近年わかってきました。LPSもそのひとつ。健康のために知っておきたい菌の話があります。
あなたは"菌"を悪いものと思っていませんか?
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あなたは"菌"を悪いものと思っていませんか?
菌は悪いものではなく、実は身体に必要なもの。
少しでも汚れたら除菌シートやスプレーで拭き取り、家の中も空間除菌、掃除の際には手袋を欠かさずに……。身の周りを常に清潔にしていたくて、自然とこんな行動をしていませんか? きっとそれは、清潔であること=菌がいない状態のことと、疑いなく思っているからかも知れません。菌と聞くと、とにかく悪いもの、身体に害を与えるものというイメージから、常に排除する必要があると思いがちですが、実はそんな菌を排除する行動によって、逆に健康を脅かしてしまっていたら?
「O-157など感染力の強い菌の存在や、風邪やインフルエンザを引き起こす"ウイルス"と菌を混同してしまい、菌が体内に入ると病気になると思っている人がいるかもしれません。でも命を脅かすような危険な菌はごくわずか。実はほとんどが害のないものなんです」と語るのは、香川大学で免疫システムについて研究されている稲川裕之先生。
「私たちの周りには常に大量の菌がいますし、そもそも人間の体内外には多くの菌がいます。私たちは菌と共存することで生きているんです。しかし菌を悪いものと思い、健康のためにとあえて菌を遠ざけている人が多い。実はこの行為が身体の不調を招いているのです。例えば、生まれたての赤ちゃんは出産時にすでにお母さんからさまざまな菌をもらっています。でも赤ちゃんは抵抗力がないというイメージからか、授乳時には乳首を消毒してからお乳をあげるのが一般的に。でもその行為こそが赤ちゃんの病気と闘う力を低下させているのです」
どうやら私たちは菌のことを誤解していたのかも? 菌についてよく知ることが、健康への近道と言えそうです。