意外に知らない!? 身体を温める食べ物 冷やす食べ物。
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意外に知らない!? 身体を温める食べ物 冷やす食べ物。
大地から生まれる食べ物は、それぞれ自然環境に合わせた性質があります。温まるものは陽性、冷やすものは陰性。食品が持つ特性を理解して、日々の食事からも、身体を温めることを意識しましょう。
陽性食品と陰性食品の見分け方とは?
漢方の考え方では、食品は陽性=体を温める働きがあるものと、陰性=身体を冷やす働きがあるもの、間性=冷やしも温めもしないものに区別されています。
「雪は白くて冷たいというイメージですよね。食べ物も白・青・緑といった寒色系の食べ物は、身体を冷やします。反対に、赤・オレンジなど暖色系の食べ物は身体を温める作用があると考えられています。また、黒砂糖や黒豆など、黒っぽいものも温める食品です」
また寒い北の地で採れるりんごやさくらんぼなどは身体を温め、キウイやバナナなど暖かい南の地のものは冷やす。チーズや根菜類など水分が少なく固いものは陽性、生クリームやパン、バターなど水分・油分が多く柔らかいものは陰性、といった具合に分類されます。
身体を温めるためには、陽性の食品を積極的に摂り、陰性のものは控えめに。ティータイムにも陰性に分類される緑茶よりも陽性の紅茶を選ぶほうがいいでしょう。
とはいえ、身体を冷やすとわかっていても、やはり生クリームたっぷりのケーキをどうしても食べたい! というときもあるもの。
「そんな時は、身体を温める効果が高い生姜紅茶(下のコラム参照)と一緒に楽しむとか、体温が比較的高い日中を選ぶなど、食べ方を変えるだけでも、ずいぶんと違います」
食材選びや、食べ合わせ、食べるタイミングなどを上手に工夫して、身体を温める食習慣を身に付けていきましょう。
本当に知ってる? 生姜のチカラ。
冷えを解消する特効薬として有名な生姜。発汗、発熱、殺菌、抗酸化、コレステロール低下などさまざまな効果があると言われています。中でもジンゲロン、ジンゲロール、ショウガオールという辛味成分には、血流をよくして身体を温め、新陳代謝を活発にするのに高い効果があります。葛根湯をはじめとする漢方薬の約70%に生姜が配合され、冷え症の改善などに処方されています。14世紀に英国でペストが大流行した際、生姜を食べていた人が生き残ったことから、ヘンリー8世が国民に生姜を奨励。そして誕生したのがジンジャーブレッドだというエピソードも残っています。このように生姜のパワーは古くから知られていたのです。50種類以上の香り成分と、200種類以上の辛味成分が含まれる生姜には、まだ知られていない力が潜んでいるのかもしれません。
生姜紅茶の作り方
温かい紅茶に、新鮮な生姜をすりおろしたものを入れるだけ。好みで黒砂糖を加えます。生姜の量は紅茶1杯に親指大くらいが目安ですが、おいしいと感じる量に増やしても減らしてもOK。生姜だけでなく紅茶も黒砂糖も身体を温める陽性食品なので、温め効果は期待大。1日2~4杯を目安に飲みましょう。
身体を温める陽性食品
寒い土地で育った作物には、身体を温める作用があります。積極的に毎日の食事に取り入れましょう。
固いもの チーズ、漬け物、ごぼう、かぶなどの根菜類
固い食べ物は、水分や油分が少なく身体を温めると言われます。また、ごぼうやかぶなど、土の中で育つものは温めるとされます。逆に土の上で育つ葉物は、冷やすと言われています。
寒い土地で採れるもの りんご、さくらんぼ、ぶどう、日本蕎麦など
寒い土地・時期に育った植物、それを使った食品は身体を温めます。身体を冷やす傾向にある果物でも、りんご、さくらんぼ、ぶどうなど北方産のものは例外的に温めます。
黒っぽいもの 黒砂糖、紅茶、黒豆、ひじき、醤油など
雪のように白い食べ物が身体を冷やすのに対して、黒い食べ物は身体を温めるものの代表格。黒胡麻や黒砂糖、黒豆や、醤油などの調味料も、これに分類されます。
暖色系のもの 紅鮭、海老、赤身の肉、卵、明太子、小豆など
火や温かさを連想させる赤・黄色・オレンジといった暖色系の食べ物は身体を温めます。赤身の肉、紅鮭、卵、チーズ、明太子、小豆などがこれに当たります。
身体を冷やす陰性食品
暖かい土地で育った植物は、身体の熱を下げる作用が。体温アップには、摂り方を工夫しましょう。
南方産・寒色系・柔らかいもの 牛乳、きゅうり、パン、バナナ、コーヒーなど
暖かい土地・時期に育ったもの、青・白・緑などの寒色系のもの、水分・油分の多い柔らかいものは、身体を冷やします。また、生野菜や、清涼飲料水、添加物なども身体を冷やします。
身体を冷やすものでも温めるものに転化可能!
真っ白な牛乳は身体を冷やすものに分類されますが、発酵させると、固いチーズになり、身体を温める食べ物へと変化します。きゅうりも塩を加えて水分を減らし、漬け物にすれば陽性食品に。このように、身体を冷やすものも、調理法を変えれば温めるものになります。白く柔らかい冷奴に、生姜や塩分を含む醤油をかけたり、トマトやすいかに塩を振って食べるのも、身体を冷やし過ぎないようにするための、昔からの知恵なのです。
どちらでもない間性食品
身体を冷やしも温めもしない食品を、間性食品といいます。主食になる食品が多いのが特徴。
主に黄色いもの 芋類、玄米、黒パン、とうもろこし、大豆など
身体を温める陽性食品にも、身体を冷やす陰性食品にも属さない、中間の食べ物です。玄米やとうもろこし、大豆など、見た目が黄色っぽく、芋類や穀物類などが多いです。