自覚症状がなくても放置してはダメ!
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自覚症状がなくても放置してはダメ!
- 糖尿病だけど、症状がないので 治療していません。
- 糖尿病は、放置してしまうと
もっと怖い病気につながります。
静かに進行する糖尿病はサイレント・キラーとも。
糖尿病の典型的な自覚症状として挙げられるのは、喉の渇きや尿量の多さ、疲れやすさ、体重の減少。どれも大きな異変でなく痛みなど苦痛を伴わないので、糖尿病と診断されても、しばらくはそれまでの生活と何も変わらないかもしれません。しかし、そのまま放置してしまうと、取り返しのつかない重い合併症につながる可能性が高くなります。気がつかないうちに進行し、手遅れになってしまうことが多いため、糖尿病は“ サイレント・キラー(静かなる殺し屋)” とも言われています。「私が糖尿病より“糖尿病放置病”が怖いと言う理由はそこなのです。放置して重い病気になる前に、治療をして発症前の“正常だった時期に戻る”ことが大事」と先生。 糖尿病を放置する人は実に多く、なんと、1千万人を超えているとも。 「順天堂大学病院には、年間約500人が脳梗塞のために救急で運び込まれます。その中には“糖尿病放置病”の人、つまり、未治療の人や境界型と言われていた人が多いのです」 失明や、腎不全、壊疽による脚の切断……。糖尿病が合併症につながる原因は、全身を巡る血液に関係します。血液には栄養や酸素など、生命維持に欠かせない成分を全身に運ぶ役割がありますが、ブドウ糖が多過ぎると血液がドロドロになり、それが困難になってしまうのです。中でも影響を受けやすいのが、目や腎臓の細い血管、手足などの末梢神経。だから失明や腎不全、壊疽につながってしまうのです。 「糖尿病は、認知症やがんのリスクを高めることもわかっています。健診で糖尿病であるとわかったら、痛みや症状がなくても、進行させないために直ちに改善に取り組みましょう」糖尿病が引き起こす合併症
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インスリン注射には、
頼らないほうがいい? - インスリンですい臓を休め、
機能を回復させる治療が
普及しています。
インスリン注射も経口薬も大きく進歩。
糖尿病のインスリン注射というと、抵抗を感じる人は多いかもしれません。飲み薬でもうまくいかない場合の“最後の砦”といったイメージが強いことが原因のようです。 「かつては、インスリンを注射で補う治療は、飲み薬が効かなくなってからの最後の手段として捉えられていました。始めたら一生続けなければならないケースも多くありました。しかし現在は、適切なタイミングでのインスリン注射療法で正常な血糖値を維持し、一時的にすい臓を休ませて機能を回復させる治療法が普及してきました。すい臓が元気になってくれれば、インスリン注射を中止し良好な状態をキープすることも可能なのです」 抵抗感からインスリン注射を避けることもまた、重い合併症を引き起こす原因になってしまうかもしれません。 「経口薬にも、高血糖を改善する仕組みを持った優れたものが多くあります。大きく分けてインスリンの働きをよくするもの、インスリン分泌を促すもの、食後血糖値の上昇を抑えるものがあり、患者さんの状態に合わせて処方されます。 インスリン注射同様、経口薬もまた大きく進歩しています」 インスリン注射や経口薬を使った治療で大切なのは、すい臓が完全にダウンする前の、適切なタイミングを逃さないことだそうです。まずは思い込みにとらわれず、医師に相談を。きちんと治療に向き合い、糖尿病と上手につき合いましょう。経口薬(血糖降下剤)のタイプ
- インスリンの働きを改善する
- 肝臓や筋肉などでのインスリンの効き目を高め、血糖値を下げる薬。
- 食後血糖値の上昇を抑える
- 速やかなインスリン分泌を促したり、炭水化物の分解を遅くして、血糖値の上昇を抑える薬。
- インスリンの分泌を促す
- すい臓に働きかけて、インスリン分泌を促し、血糖値の上昇を抑える薬。