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知っトク!?健康スキル

病は気からはホントだった!!ポジティブに生きる秘訣!

掲載号 vol.17

“病は気から” も、”笑う門には福来たる”も、実は本当のお話。クヨクヨしていると病気になって、ニコニコしている人には幸福が訪れる。それは科学的に証明されつつあるのです。いつでも前向きに考えられる “ごきげん” な人は、健康で長生き、よりハッピーな人生になるのです!

記事内容

読了時間:18分

目次

“病は気から”は本当です!!

コップに半分の水は少ない?多い?

想像してみてください。今、あなたは砂漠にいて、とても喉が渇いています。そこに偶然通りかかった人が、あなたにコップ半分の水をくれました。それを見て「半分しかない!」と不満に思いますか? それとも、「半分ももらえた!」と嬉しく思いますか? 同じ水の量なのに、捉え方は人によって異なるもの。ただ、「半分しかない」と考えるか「半分ももらえた」と考えるかによって、健康状態や人生の幸福度も異なってくるのだそうです!

「『半分もある』と考えられた人は、〝ごきげんな人″だと言えます。ごきげんな人は、健康で長生きできる上、未来を切り拓く行動力や発想力、そして良好な人間関係に恵まれると言われています。つまり、ごきげんであれば、人生がよりハッピーなものになると考えられているのです」

と、アンチエイジング医学の第一人者である、慶應義塾大学医学部の坪田一男先生。先生は、幸せは与えられるものではなく、自分で選択するものだと話します。

「ごきげんだから、上手くいくと私は考えています。どんなときも、喜びや感謝といったポジティブな感情を選び取ることが、幸せにつながる。ごきげんな人は、自分で幸せをつかみ取っているのです」

経済的な豊かさだけでは幸せにはなれない!

下の表は、世界各国の国民の幸福度を調査・ランキングしたデータ。「世界幸福地図」は、イギリス・レスター大学の社会心理学者が、「地球幸福度指標」は、イギリスのシンクタンクが発表したもので、どちらも178の国を対象に調査されています。日本の順位は、それぞれ90位、95位と、ほぼ真ん中。幸福度に関係するのは、健康、経済、教育だと考えられていますが、GDP(国内総生産)が世界3位(2013年)、長寿者も多い日本の幸福度が、この順位なのはなぜなのでしょう?

国民幸福度の調査例

幸福度ランキング

2013年のGDPは1位アメリカ、2位中国、3位が日本。その3国は、どちらの幸福度ランキングでも上位に入っていません。物質的・経済的な豊かさだけでは幸福になれないと考えられます。(参考:『ごきげんな人は10年長生きできる ポジティブ心理学入門』(文藝春秋)

「経済的な豊かさで幸福度は高まるわけではないことは、経済学者ダニエル・カールマン博士の研究で明らかにされています。GDPを上げることが幸せの条件だと信じるあまり、幸せをないがしろにしてきたのかもしれません」

日本人の幸福度があまり高くないのは、ごきげんな考え方をするのが得意ではないからだと言えそうです。「昔は、常に生き残るための心配をしなければなりませんでした。日照りが続けば作物は枯れるし、外敵に襲われる可能性もある。そんな環境で『雨はいつか降る』『ここなら敵はいないから大丈夫』というごきげんな考え方では、簡単に命を落としてしまいます。しかし、今は生命の危機と隣り合わせの時代ではありません。緊張をゆるめて、ごきげんになることで、日本人はもっと健康に長生きできるかもしれません」

考え方ひとつで、健康で、より長生きできて、ハッピーに暮らせるなら、ごきげんになる力を高めたほうがよさそうです!

世界の研究で判明!ごきげん×心と身体のメカニズム

ごきげんと健康、そして長寿の関係が、世界中で発表されています。ごきげんが心と身体に作用する、その仕組みを紹介しましょう!

ごきげんと幸福の関係は世界中で研究されている!

ごきげんは心と身体にどう作用するのでしょうか。それは、心のポジティブな側面を扱う学問「ポジティブ心理学」でもさまざまな研究が行われています。2011年には、権威ある科学雑誌『Science』が、Happy People Live Longer (幸せな人は長生きする)を、掲載しています。ここでは、坪田先生にうかがった、ごきげんと健康、ごきげんがもたらす数々の幸福との関係についての研究を紹介しましょう。

ポジティブな考え方なら健康で、長生きの可能性大。

ごきげんと長寿の関係についてわかるのが、修道女の手記を元にした、ケンタッキー大学のデボラ・ダナー教授の研究。経済的・社会的にも同じ階級、同じものを食べ、同じ医療機関を利用する修道女180人の手記から、〝寂しい″〝悲しい″〝辛い″などネガティブな言葉を多く使う人と、〝楽しい″〝嬉しい″〝幸せ″などポジティブな言葉を多く使う人をグループに分け、その後のグループの状態を追跡調査するというもの。修道女全員が80歳以上になった約60年後の生存率は、ネガティブな言葉を多く使ったグループが約34%、ポジティブな言葉を使ったグループは、なんと約90%! しかも健康状態もとても良好だったそうです(下にグラフあり)。同じ生活でも、ポジティブかネガティブかという考え方の違いで、健康や寿命にも差が出るということがわかったのです。

思考・感情による生存率の比較

また、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのステップトー教授が、幸福な人とそうでない人のコルチゾール(ストレスを受けたときに分泌されるホルモン)濃度は、最大で32%もの差があったと発表しています。幸せな人ほど、コルチゾールのレベルが低く、高血圧や高血糖になりにくい上、感染症にもかかりにくく、脳や身体の老化もしにくいとか。しかも、心臓病や動脈硬化など、心血管疾患のリスクが低いことも明らかになりました。ごきげんな人は健康で長生きできることがうかがえます。

いい友人、明るい未来。ごきげんは広がっていく。

人間関係研究の権威である、ノースカロライナ大学の心理学者バーバラ・フレドリクソン教授をはじめ、多くの心理学者や経済学者が「幸せは伝染する」と結論づけています。社会学者のニコラス・クリスタキスと政治学者のジェイムズ・ファウラーによる研究では、最初の幸せな人から数えて最大で3人目(友達の友達の友達)まで幸せが伝播することがわかったそうです。それは、幸せな人の周りには自然に幸せな人が集まり、幸せな仲間のネットワークができるということ。そこから、ごきげんな人は人間関係に恵まれると考えられます。

次の図を見てください。上にある3つの四角形で形成された形は、AとBのどちらに似ていると思いますか?

ちょっと実験。あなたはごきげんな人?

これは先述の心理学者フレドリクソン教授の「ポジティブな感情は、視野を広くして想像力を高める」という理論を実証する図。ポジティブな考え方をする人はAを選ぶ傾向が強いのだそう。四角形というパーツを見るのではなく、パーツをつないで完成する形を見ているからだとか。視野を広く持てるということは、例えば、収入が減ってしまっても、ただ節約するのではなく、収入を増やす方法も考えられるということ。目的を達成するために、アイデアを生み出すこともできます。ごきげんな人は、だから明るい未来を築ける、と言えます。

ごきげんな考え方で運動効率も上がる!?

ハーバード大学のランガー博士の研究もとても興味深いもの。4つのホテルの従業員に「この仕事は30分以上の運動に相当し、健康にいいものです」と伝え、何も伝えなかった3つのホテルの従業員と比較実験を行いました。

1か月後、「健康にいい」と聞いていた4つのホテルの従業員だけが体重、体脂肪、血圧ともに低下。健康にいいと思っているかどうかで、同じ仕事でも運動効果が異なることがわかりました。いつもの仕事や家事も「いい運動になる」と考えれば、ダイエットにもつながるかもしれません。

ごきげんな人の子どもはごきげんに育つ。

赤ん坊のときのスキンシップがいかに大事かということが、マウスを使った実験で明らかになってきました。実験の内容はこう。まず、世話好きな母親マウスと、無関心な母親マウスに分け、別の母親マウスから生まれた子どもを育てさせます。そして、成長した子どもをプールに落としたところ、無関心マウスに育てられた子どもはパニックになって溺れたのに対し、世話好きなマウスに育てられた子どもは、慌てることなく泳ぎ助かります。その後、溺れた子どもは臆病に育ち、母親になっても無関心に、助かった子どもは勇敢に育ち、世話好きな母親になったのだとか。赤ちゃんにスキンシップが大事なのは、心を安定させるだけでなく、ポジティブで、勇敢、そして愛情あふれる大人に成長させるためだと言えます。

この実験でもうひとつわかることは、性格や性質の形成は、遺伝子よりも、環境が影響するということ。ごきげんも、生まれ持ったものだけでなく、環境によって変わると言えます。

Column1| 【最新研究】ごきげんは2種類ある!

遺伝子レベルの研究で、幸せは2種類あるということが明らかになりました。ひとつは食事やレジャーなどで感じる快楽的な幸せ「ヘドニックハッピネス」。もうひとつは、社会貢献など献身的な行いで感じる幸せ「ユードモニックハッピネス」。自分が楽しむことだけでなく、他者に尽くすことでも人は幸せを感じているのです。また、それぞれの幸せで、"身体を守るための遺伝子"の出現が異なることもわかってきました。前者は炎症を抑える遺伝子、後者は免疫力を上げる遺伝子が出現するそう。今後それをもとに、幸せに関するさまざまな研究が進められるはずです!


Column2| 【知ってた?】ストレスでドライアイは進行する

涙の量や質が変化して、目の表面が傷ついてしまうドライアイ。副交感神経が優位なリラックス状態であれば涙が分泌されやすいのですが、ストレスなどで交感神経が優位になると涙が十分に分泌されず、乾きやすくなってしまいます。ストレスに強いごきげんな人は、ドライアイになりにくいと言えます。

“ごきげん”は自分で作れます。

考え方で人生がハッピーになるなら、ポジティブなほうを選択したい! ごきげんライフに重要な3つの要素をご紹介します。少しずつ生活にとり入れて、ごきげんな毎日を過ごしましょう!

毎日の行動を変えてボジティブな考え方を

ごきげんになることで、幸せをつかめるのなら、ポジティブな選択をできるようになりたいもの。そのためには考え方を変える心のエクササイズと、健康で元気な脳のための食事、ストレスに強い脳と心を作る運動で、ごきげんになる力を備えましょう。

「経済的に豊かでない国や、危険が隣り合わせの国でも、『幸せだ』と感じる人は多くいます。つまり、人はどんな環境でも幸せを感じる力を持っているのです。その力を引き出すためにはトレーニングが必要ですが、ネガティブな感情を追い出すことが目標ではありません。ネガティブな感情もストレスも、危機管理のためなど、生きていく上で必要なもの。それがかえってごきげん作りに役立つこともあります」

ここで紹介するのは、日々の中で簡単に取り入れられるものばかり。すべてを実践できなくても、できそうなもの、興味を持ったものから始めてみて。ごきげんになる力を高め、より健康で幸せな人生を目指しましょう!

心のエクササイズ| 考え方を変えてみる

ネガティブな感情に支配されそうになっても、そこから抜け出せる方法が、自然と浮かんでくるようになります!

1| 自分自身を、高く評価する。

「私は、すごく才能がある!」「私ならできる!」とイメージするだけで、実際の自分もそれに近づけるそうです。 自分に対する評価・自信度を"セルフコンセプト"と呼び、それがポジティブかネガティブかで、人生で成功するか否かに大きく影響するそう。評価は特に根拠がなくてもよく、思い込むことでOK。

2| 嫌なことにも、感謝する。

不満を感じたときには、その原因に “感謝” するようにしましょう。例えば、 自分への悪口を聞いてしまったとしても、自分のマイナス部分を知る機会を得られたと考えて。 そうすれば、もっと魅力的になる方法を考えることもできます。自分をよりよい人間に成長させる、その機会に感謝しましょう。

3| 一日の終わりに、”よかったこと”を思い出す。

一日を振り返って、 3つのよかったこと(three good things)を書き出しましょう。 “友だちとおいしいランチを食べた” など楽しかったこと、嬉しかったこと、おもしろかったことを思い出そうとすると、脳が一日の “よいこと” だけを探すようになり、脳内のポジティブな神経ネットワークが強化されるそうです。

4| 何はなくとも、笑ってみる。

笑うと、脳に楽しいという信号が送られ、ポジティブな思考回路がより強化されるそうです。心から笑うことが一番ですが、最近では、 意識的に笑顔を作るだけでも脳が楽しいと判断し、ポジティブな感情が高まる こともわかってきたそうです。口角をくっと持ち上げてみるだけでも効果ありです!


食事| 健康で元気な脳のために!

身体を作るのは、日々の食事。身体が変われば心も変わります。ごきげんになるためにも食を考えましょう!

1| 腹八分目で自分を磨く。

食事の栄養素を減らさず、カロリーを制限する “カロリス” 。老化のスピードをコントロールする、長寿遺伝子を目覚めさせるのに有効な食事法ですが、セルフコンセプトをポジティブにするのにも役立ちます。腹八分目にすればカロリーを抑えやすくなります。それで ムダな脂肪が落ちてくれば、自信がついて、自分によい評価をしやすくなります。

2| タンパク質は過不足なく!

身体に不可欠な五大栄養素は、脳にも不可欠なもの。特にタンパク質はごきげんを作るために大切。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料になるのです。セロトニンの元になる トリプトファンは肉や魚、牛乳、大豆、アーモンド、バナナなどに含まれています。 ただし、タンパク質の摂り過ぎは寿命にマイナスな面もあるので、あくまでもバランスよく!

3| 空腹をごまかす、ティーズフーズを活用する。

空腹状態で食事をすると血糖値が急上昇するので、糖度の低いおやつを食べて空腹をごまかすという方法があります。その時に役立つのが “ティーズフーズ” 。空腹ではないと脳をだます食べ物のことで、 ナッツ類、ベリー類などがそれで、実はごきげん作りにも◎。ナッツ類には、脳の働きに関係する油・オメガ3が、ピーナッツや赤ブドウの皮には、長寿遺伝子を働かせるレスベラトロールが含まれています。 上手に活用を!


運動| ストレスに強い脳と心を作る!

運動することで、心肺機能を上げたり、脳を活性化。目標を達成することで自信がつき、幸福度もアップ!

1| 運動は、体力のほかに脳細胞も作る

学習や記憶を司る海馬。そこにある、神経細胞の生産に不可欠な"脳性神経栄養因子"が、運動によって増えるのだそうです。アメリカ・イリノイ州にある高校の教師が、毎朝生徒に ランニングや自転車などで、運動をさせるようにしたら、成績が飛躍的に伸びたそう。 運動は、身体と脳を鍛え、幸福をつかむ力も鍛えているのかも。

2| 少しキツめの運動が、ストレスに強い脳と心に!

激しい運動は、老化の原因になる活性酸素が発生しますが、それに対抗するための体内環境を作れるようにもなります。心や脳でも同じことがあると考えられ、 ストレスに慣れておくと、いざ大きなストレスが振りかかってきても対応しやすくなるはず。 少しキツい運動は、ストレスに強い脳と心を作り、幸福度のアップにつながります。

3| 今日も運動をした!その達成感でポジティブに。

週に2日以上運動をしている人は運動をしていない人に比べて圧倒的にストレスが少なく、幸福度も高いという結果が出たそうです。運動を始めようとしても、三日坊主になってしまうのは着替えなど準備に手間がかかることも要因になるようですが、 前日に準備を済ませてそのハードルをクリアして。今日も運動できた! という達成感もごきげんには役立ちます。

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この先生に聞きました!

坪田一男先生

坪田一男先生

つぼた かずお

慶應義塾大学医学部教授

眼科専門医、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、日米の医師免許を取得。角膜移植、ドライアイ、屈折矯正手術における世界的権威。近年は、研究領域をアンチエイジング医学にも広げ、科学的実証から臨床応用への研究に取り組む。『ごきげんな人は10年長生きできる ポジティブ心理学入門』(文藝春秋)など著書多数

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