だ液の危険信号を見逃さないで!!
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だ液の危険信号を見逃さないで!!
だ液の量が減ることで発生する、さまざまなトラブルを知っておきましょう。
だ液が減ると思わぬ病気に
何らかの要因でだ液の分泌が悪くなり、口内が乾燥してしまう状態をドライマウス(口腔乾燥症)といい、生活の上でさまざまな障害が出てきます。体のパーツの中で、眼球や耳と同じく外界に直接触れている口は、空気中の細菌が常に近くにある状態です。そのため、だ液が減ると口内の雑菌を十分に洗い流すことができなくなったり、だ液が持つ抗菌作用が弱まって細菌に感染しやすくなります。また、だ液の洗浄作用が落ちると虫歯や歯周病になりやすく、歯周病菌が血管に入り込むことで動脈硬化などを引き起こす可能性もあると言われています。
口臭がきつくなるのも、洗浄作用の低下が原因。さらに、舌が乾燥すると、会話がしづらくなる、乾いたものが食べづらくなる、食べ物が飲み込みにくくなる、あるいは舌の表面にある味蕾の働きが鈍くなって味を感じにくくなる…といった症状が出ることも。重度の場合は舌が傷ついて舌痛症に。こうなると日常生活に支障をきたします。
私たちは普段、だ液を飲み込むことで食道内に逆流した胃液を中和していますが、だ液の量が少なくなるとそれができずに逆流性食道炎になる可能性も見逃せません。
口の中の問題だけではなく全身に影響を及ぼすだ液は、健康のバロメーターと言えそう。思い当たる症状がある場合は、早めに病院で相談しましょう。
更年期に増えるドライマウス
しょっちゅう喉が渇いたり、口の中がネバネバ感じるなら、それは危険信号。ドライマウスの可能性があります。
成人のおよそ4人にひとりがだ液にまつわる症状を訴えている“渇き”の時代。特に女性ホルモン分泌量が減少して体のバランスが崩れがちな40~50代の女性は、だ液の量も減り、ドライマウスに悩む人が多い世代です。それは、だ液線などの外分泌腺は女性ホルモンの影響を受けているから。卵巣機能が低下し女性ホルモンが急激に低下しはじめてから、体が女性ホルモンの少なくなった状態に慣れるまでの約10年間、多くの人がさまざまな更年期障害に悩まされますが、口、目、膣、皮膚の乾燥も、その症状のひとつなのです。
ストレスを抱えるとだ液量が減少!?
また、だ液量の増減は、自律神経の状態にも左右されます。リラックスした状態、つまり副交感神経が優位になっているときにはだ液量が増え、逆にストレスがかかり交感神経が優位になると減少してしまいます。 例えば結婚式でスピーチしたり、大事な会議で発言するときに口がカラカラになるのはストレスのせいなのですね。ストレスを抱えやすい人は、それだけだ液が減っている時間が長いということ。ドライマウス人口が増加しているのも、ストレス社会だからかもしれません。そのほかにも柔らかい食べ物を好むことによる口周りの筋力の低下や、薬(降圧薬や睡眠薬、抗アレルギー薬など)の副作用がだ液の減少につながることも。仮に、だ液がきちんと出ていても、鼻づまりなどによる口呼吸や、アルコールによる脱水症状によっても口は渇いてしまいます。睡眠時にいびきをかいている人はご注意を。
歳をとってもだ液量は減らない
成人の場合、病気や薬の副作用などがない限り、70歳ぐらいまでは食事などで分泌されるだ液量にさほど変化はないと言われています。ちなみに赤ちゃんがだらだらとよだれをたらすのは、まだ上手く飲み込めないから。
年齢とともに口臭が増すのはうそ
口臭の原因の大半は、口の中に繁殖した雑菌の腐敗臭。口中の清浄を怠ったり、だ液が減ることによって雑菌が増えやすくなるためなので、健康であれば年齢は関係ありません。
ケガをしたらツバをつけるのは迷信ではない
「傷口にはツバをつけて治す!」と昔から言われますが、これも単なる迷信ではなく、理にかなっています。だ液中には抗菌物質や、皮膚などを修復する働きをもつ成分も含まれているのです。確かに、口の中の傷は治りやすいですよね。
だ液でエイジング度合いがわかる?!
長寿と関連が深いと言われているDHEA。実際、寿命が長い人ほどこのホルモンの分泌量が多いというデータも。一方、DHEAが少ない人は、ストレスによって分泌されるコルチゾールの分泌量が多い傾向に。ストレスに影響されるだ液はエイジング度合いについても教えてくれます。
ドライマウス人口はどんどん増える?
柔らかい食事によって噛む回数が減ると、だ液量も減ります。筋力も低下して、ますますだ液が出にくくなるという悪循環が。柔らかい食べ物を好む傾向にある現代人。とうとう日本人の食事中の咀嚼時間は、1日30分を切ったそう。若い人は今から気をつけて。