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知っトク!?健康スキル

「覚えられない」は年齢のせいじゃない!記憶力の真実(4/4)

掲載号 vol.7

生活を楽しくする記憶力の鍛え方7

毎日をほんの少し変えるだけで、脳はもっと活性化します。今日からできる実践法を取り入れて、楽しみながら記憶力をトレーニングしましょう!

日常編

1 歩いてθ(シータ)波を出す。

人がワクワクすると、海馬はθ波という脳波を出します。このとき脳は活性化し、記憶しやすい状態を作ります。このθ波を意識的に作り出す方法が「歩くこと」。ランニングマシンを使って歩いても効果はありますが、外に出て歩くほうが効果的です。通ったことのない道を探したり、目に入る風景や音などに興味を持つと、さらに効果がアップします。

2 ブログ、ツイッター、フェイスブックをはじめる。

記憶力がいい人に、おしゃべりな人が多いと思いませんか? これは人に話して出力することで、記憶が定着されていくから。関心を持って「これを人にも教えてあげたい! 共有したい!」と思うことをインターネット上で発信するのも効果大。フォローされたり、コメントがつくと、さらにヤル気もアップ。楽しみながら人と繋がりましょう。

3 連想法でストーリーを作る。

買い物リストを思い浮かべ、そのアイテムを組み込みながらストーリーを作り上げると、記憶力を鍛えながら買い忘れも防げます。ストーリーは支離滅裂でも、自分が覚えやすいように組み立てるのがコツ。リンゴの香りやメガネをかけた感覚など、五感もくっつけて覚えると、さらに忘れにくくなるそうです。

4 口角を上げて笑顔を作る。

口角を上げて、にぃーっと笑顔を作ってみましょう。これだけでも脳は「今取り組んでいることが楽しい」と判断し、脳から快楽物質ドーパミンを放出します。人は笑顔を作るとそれだけで楽しいものを探すようにできています。「楽しいから笑う」のではなく「笑っているから楽しい」のです。脳も活性化し、自然と集中してリラックス。何より自分が楽しくなれますよ!

学生編

5 効果が実感できる時期が来るまで途中であきらめない。

何かを学習すると、脳は覚えたことだけでなくそれを学んだ方法も記憶します。こんな風に学習効果は2倍、4倍、8倍と累乗で蓄積されていくため、図のような幾何級数的なカーブで表現することができます。初めは1、2、4、8とスローペースで上昇する成績も、ある段階から128、256、512と効果を実感しやすくなる時期が来ます。ここまで努力を続けるべし。

6 睡眠1~2時間前は学習のゴールデンタイム。

寝ている間に海馬が記憶定着に働いてくれるので、眠る直前の学習は最も効率がいい方法。睡眠研究の第一人者スティックゴールド博士によると、もの事を覚えた直後に8時間の睡眠をとるのが理想だとか。受験生なら寝る直前は復習にあてて、無理せずしっかり眠りましょう。8時間といっても必要な睡眠には個人差がありますし、成長過程にある子どもは10~12時間、ティーンで9時間の睡眠が必要です。また、寝すぎると時差ボケと同じ状態になり、記憶力が低下するのでご注意を。

7 覚えたことを人に説明する。

声に出したり、手足を使うなど五感もフル活用することで、より強く海馬に「これは必要な情報だ」と訴えることができます。複数の資料を使ってノートをまとめ直したり、友達に説明するのがおすすめ。自分の理解度もわかるし、出力も増えて記憶が定着します!



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池谷裕二先生

池谷裕二先生

いけがや ゆうじ

東京大学 薬学部
薬品作用学教室 教授

1998年、東京大学 大学院薬学系研究科にて薬学博士号取得。専門分野は神経生理学、システム薬理学。海馬を通じて、脳の健康や老化について探究。脳の最先端の知見を、社会に還元することにも尽力している。『脳には妙なクセがある』(扶桑社)、『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』(クレヨンハウス)ほか著書多数

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