今や、男性のものとは言えなくなってきた、薄毛の悩み。妊娠をきっかけに、という人もいれば、年齢を重ねて、という人もいます。それなのに、効果的な改善策がはっきりしないのが現状。その理由は、女性の薄毛は複雑ということのよう。女性を悩ませる薄毛は、実はとても悩ましいものなのです。
女性の薄毛対策 | シャンプーや育毛剤の前に、見直したいこと
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女性の薄毛対策 | シャンプーや育毛剤の前に、見直したいこと
女性ホルモンだけが原因ではない!
「髪は女の命」。昔から、女性にとって髪は命と同じくらい大切だと言われています。だからこそ、その変化はとても気になるもの。特に薄毛は、大きな悩みとなっているようです。妊娠や出産のタイミングで、また、年齢を重ねて薄くなったと感じる人が多いよう。改善方法はないか、調べた経験のある人は“女性ホルモンが原因”という記事を読んだことがあるでしょう。確かに女性ホルモンとの関係はあるようですが、それだけだとは言えないのだそうです。脱毛症を研究されている、杏林大学の大山 学先生にうかがいました。
「女性の薄毛(女性型脱毛症)は、女性ホルモンだけで説明できるほど簡単ではありません。男性の薄毛(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの関与がわかっていますが、女性の場合は、原因が複合している場合もありますし、まったくわからないこともあるのです」
原因がさまざまに考えられる女性の薄毛。ただ、“髪がしっかり成長しない”ことは男性も女性も同じなのだそうです。先生に、髪が生える仕組みをお聞きしました(下の図を参照)。
「私たちが髪と呼んでいるのは、頭皮から出ている毛幹のことです。この毛幹を作る大事な部分は、頭皮の下にある毛包と呼ばれる、毛根全体を取り巻く小器官です。その底の部分にある毛乳頭が、毛細血管から栄養をとり込んで各種の成長因子を作り、毛母細胞に送ります。その結果、毛母細胞が分裂して毛幹を伸ばしていくのです。毛包は生涯を通じて、自分自身を作り変える自己再生を繰り返していて、これを【毛周期】と呼んでいます。毛母細胞が盛んに増える成長期があり、その後、細胞分裂が停止して、毛包の下半分がなくなる退行期が。そして髪が抜け、次の毛包を作るまでの休止期があります。髪が生える、抜けるというのは、毛包が作り変えられることで起こっているわけです」
成長期から休止期まで、だいたい5、6年くらいだと言われていますが、これが早まることによって、硬く太い髪が作られなくなり、結果髪が薄くなるのだそうです。
「いつも5、6年という時間をかけてゆったり毛包を作っていたのが、例えば1年、半年と短い時間での作り変えが繰り返されると、きちんと毛包が育たず、どんどん小さくなってしまいます。これを毛包のミニチュア化といいます。それによってしっかりした毛髪が作られなくなるのです」
男性型脱毛症は、男性ホルモン(テストステロン)が毛乳頭に働きかけることで、成長期が短くなることがわかっています。が、女性型脱毛症は、男性ほどホルモンが関係しているかどうかはわからないのだそうです。ただ、原因は特定できないものの、女性も毛包のミニチュア化が起こっているということなのです。
「女性ホルモンが関係している人もいますが、検査で異常が見つからない人も多くいます。また、女性でも、男性ホルモンが多くなることで薄毛になる人もいます」
女性は男性に比べて、髪形や髪色が多様。統一された基準がないのも、薄毛かどうかの診断を難しくしているようです。
「髪形や髪色の違いで、薄毛に見えるかどうかが変わってくることもあります。例えば白髪も薄毛に見えやすい。女性の薄毛は実に複雑なのです」