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女性の薄毛対策 | シャンプーや育毛剤の前に、見直したいこと

掲載号 vol.36

今や、男性のものとは言えなくなってきた、薄毛の悩み。妊娠をきっかけに、という人もいれば、年齢を重ねて、という人もいます。それなのに、効果的な改善策がはっきりしないのが現状。その理由は、女性の薄毛は複雑ということのよう。女性を悩ませる薄毛は、実はとても悩ましいものなのです。

記事内容

読了時間:15分

目次

女性の薄毛対策 | シャンプーや育毛剤の前に、見直したいこと

女性ホルモンだけが原因ではない!

「髪は女の命」。昔から、女性にとって髪は命と同じくらい大切だと言われています。だからこそ、その変化はとても気になるもの。特に薄毛は、大きな悩みとなっているようです。妊娠や出産のタイミングで、また、年齢を重ねて薄くなったと感じる人が多いよう。改善方法はないか、調べた経験のある人は“女性ホルモンが原因”という記事を読んだことがあるでしょう。確かに女性ホルモンとの関係はあるようですが、それだけだとは言えないのだそうです。脱毛症を研究されている、杏林大学の大山 学先生にうかがいました。

「女性の薄毛(女性型脱毛症)は、女性ホルモンだけで説明できるほど簡単ではありません。男性の薄毛(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの関与がわかっていますが、女性の場合は、原因が複合している場合もありますし、まったくわからないこともあるのです」

原因がさまざまに考えられる女性の薄毛。ただ、“髪がしっかり成長しない”ことは男性も女性も同じなのだそうです。先生に、髪が生える仕組みをお聞きしました(下の図を参照)。

髪が作られ、抜けるまで

「私たちが髪と呼んでいるのは、頭皮から出ている毛幹のことです。この毛幹を作る大事な部分は、頭皮の下にある毛包と呼ばれる、毛根全体を取り巻く小器官です。その底の部分にある毛乳頭が、毛細血管から栄養をとり込んで各種の成長因子を作り、毛母細胞に送ります。その結果、毛母細胞が分裂して毛幹を伸ばしていくのです。毛包は生涯を通じて、自分自身を作り変える自己再生を繰り返していて、これを【毛周期】と呼んでいます。毛母細胞が盛んに増える成長期があり、その後、細胞分裂が停止して、毛包の下半分がなくなる退行期が。そして髪が抜け、次の毛包を作るまでの休止期があります。髪が生える、抜けるというのは、毛包が作り変えられることで起こっているわけです」

成長期から休止期まで、だいたい5、6年くらいだと言われていますが、これが早まることによって、硬く太い髪が作られなくなり、結果髪が薄くなるのだそうです。

「いつも5、6年という時間をかけてゆったり毛包を作っていたのが、例えば1年、半年と短い時間での作り変えが繰り返されると、きちんと毛包が育たず、どんどん小さくなってしまいます。これを毛包のミニチュア化といいます。それによってしっかりした毛髪が作られなくなるのです」

男性型脱毛症は、男性ホルモン(テストステロン)が毛乳頭に働きかけることで、成長期が短くなることがわかっています。が、女性型脱毛症は、男性ほどホルモンが関係しているかどうかはわからないのだそうです。ただ、原因は特定できないものの、女性も毛包のミニチュア化が起こっているということなのです。

「女性ホルモンが関係している人もいますが、検査で異常が見つからない人も多くいます。また、女性でも、男性ホルモンが多くなることで薄毛になる人もいます」

女性は男性に比べて、髪形や髪色が多様。統一された基準がないのも、薄毛かどうかの診断を難しくしているようです。

「髪形や髪色の違いで、薄毛に見えるかどうかが変わってくることもあります。例えば白髪も薄毛に見えやすい。女性の薄毛は実に複雑なのです」

髪型も薄毛の原因に!? | 度重なるダメージに要注意!

重なるダメージで幹細胞がなくなる!?

ホルモンの関係に加えて、細くて柔らかいといった、生まれつきの髪の質など、考えられる原因がさまざまにある女性の薄毛。そこには、 幹細胞特集 でお伝えした幹細胞も関係しています。

「毛髪のもとになる幹細胞は、かつては、毛母細胞に存在すると思われていましたが、1990年、それより上にあるちょっと膨らんだ部分、バルジと呼ばれる立毛筋がつく部分の中に存在することがわかりました(下の図を参照)。

幹細胞は、ここに存在

毛周期の休止期になると毛包がだんだん短くなり、毛乳頭とバルジの距離が最も近づきます。そこでバルジと毛乳頭がシグナルを送り合った結果、幹細胞が生み出した、次の世代を支える細胞が毛母細胞に送り込まれて、次の成長期の毛髪が作られるわけです」

バルジには、さまざまな幹細胞が存在。毛髪のもとになる毛包幹細胞のほか、毛髪に色をつける色素幹細胞もあります。

「それぞれの幹細胞が、実際に働く細胞を生み出すことで、硬く太く黒い毛髪が作られます。毛包幹細胞は、餌のようなものを与えて、色素幹細胞がなくならないようにもしています。その餌のようなものを届けられなくなると、白髪になることもわかっています」

バルジの中にいる幹細胞が傷ついたり、なくなることで薄毛も白髪も起こってしまうのです。

「例えば、毛髪を抜くのをやめられなくなる【抜毛症】という疾患があります。その疾患を持つ人は、生えてくる髪がとても細い。髪を大量に抜くことで毛周期を早めていると考えられ、そのために毛包幹細胞がたくさん使われている可能性があるのです。また、【牽引性脱毛症】というものもあります。日本髪を結う舞妓や芸妓、バレエダンサーなど、きつく引っ張って結い上げるヘアスタイルを日常的にしている人は、ひどい場合、生え際の毛髪が生えなくなることもあります。引っ張られることが負担になって毛包幹細胞がなくなってしまっていると考えられます。抜く、引っ張るなど、繰り返しダメージを受けることでも、薄毛になってしまうのです」

毛髪を作るはずが皮膚を作る細胞に!

年齢を重ねて起こる薄毛にも、幹細胞が関係していることがわかっています。

「東京医科歯科大学の西村栄美教授の研究で、毛髪を作る細胞を生み出すはずの毛包幹細胞が、加齢に伴い皮膚の細胞になってしまうことがわかりました(*)」

特集1でお伝えしたように、幹細胞は自分と同じ細胞を作る能力(自己複製能)と、自分とは違う細胞になる能力(多分化能)があります。毛包幹細胞は、皮膚にも運命を変えられるのです。

「毛包幹細胞は通常、毛髪を作っているのですが、年齢を重ねると、どうしても皮膚になりたがってしまうようです。加齢に伴って、毛包幹細胞をつなぎ留めるのに重要なコラーゲンの一種が減少してしまうのが理由です。そして毛包幹細胞は、毛髪を作る細胞の代わりに皮膚を作る細胞に運命を変え、やがてフケや垢となって脱落。それによって毛包がミニチュア化して、生えてくる毛が細くなっていくのです」

幹細胞は、生まれたときに持っているものから増えることはありません。髪が生え変わるごとに使われるので、やがては失われてしまいます。年齢を重ねることで起こる薄毛は、とても自然なことだと言えそうです。

*火傷など皮膚の損傷時にも、毛包幹細胞が皮膚の細胞になることがわかっています

タンパク質不足も薄毛に!? | 食事改善・頭皮ケアは無駄ではない

決して無駄ではない食事改善やヘアケア。

年齢を重ねると、薄毛になる可能性はやはり高くなります。ちょっと悲しい話かもしれませんが、加齢に伴う薄毛はヒトだけに起こることではないそうです。

「毛が細くなる、色がなくなるというのは、おそらくすべての動物に見られる現象だと思います」

加齢に伴う薄毛も含め、改善方法はまったくないわけではなさそうです。

「食事の改善やヘアケアは無駄ではないと思います。それによって必ず毛が増えるとは言えませんが、やっておくと薄毛の悩みが少しは減らせるかもしれません。意外に女性には、毛髪をはじめ毛の材料になるタンパク質が不足している人がいます。不足を補うことで、薄毛が改善できる可能性もあります。湿疹やかぶれでも毛髪が抜けますから、頭皮のケアは、しておくほうがいいでしょう。あとは、先ほど申し上げたように、きつく髪を結い上げるのも避けるべきです。時々であれば問題はありませんが、日常的になると、やはりダメージがあります」

発毛剤のCMなどでよく見聞きするミノキシジルという成分も効果が望めるそうです。

「ミノキシジルは、もともとアメリカで高血圧を抑える薬として開発されていたのですが、承認を得るために行われる試験の段階で、服用した多くの人に、毛が増えることがわかったのです。その発毛促進効果を利用して、発毛剤の有効成分として使われるようになりました。実は偶然から生まれたもので、発毛の仕組みは明確にはわかっていませんが、一定の効果は認められています」

ミノキシジル配合の発毛剤は、男性用のイメージですが、女性用もあります。「細胞を〝活性化〟する効果はあるものですから試してみる価値はあるでしょう」と先生。

悩める男女のために薄毛治療の研究が盛んに。

幹細胞を利用する再生医療をはじめ、薄毛の治療法の研究も今、盛んに行われています。

「私自身も、iPS細胞を使って毛髪を作り出す毛包を再生する研究を続けています。そのほかにも、毛包幹細胞が皮膚に運命を変えないようにする物質を補充する方法も見つかるかもしれませんし、毛周期のサイクルの、成長期を長くするような方法も考えられると思います」

薄毛は悩ましい。男性にも女性にも、そして研究する先生方にとっても悩ましいもの。だからこそ、その研究が日々行われているということなのです。

薄毛を改善しようと手あたり次第に努力をするよりも、まず薄毛の仕組みにきちんと向き合ってみましょう。そうすれば、今の悩みを少し減らすことになるかもしれません。

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※この医薬品は、薬剤師から説明を受け、「使用上の注意」をよく読んでお使いください

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この先生に聞きました!

大山 学 先生

大山 学 先生

おおやま まなぶ

杏林大学医学部
皮膚科学教室 教授
毛髪科学研究会 代表世話人

医学博士。1993年、慶應義塾大学医学部卒業。2002年に渡米、国立衛生研究所、国立がん研究所の皮膚科訪問研究員に。14年、慶應義塾大学医学部 皮膚科学教室准教授。15年より現職。専門分野は、脱毛症、自己免疫性疾患、再生医学、幹細胞生物学

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