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知っトク!?健康スキル

「覚えられない」は年齢のせいじゃない!記憶力の真実(2/4)

掲載号 vol.7

脳の特性を理解して記憶力を伸ばす。

情報は入れるより出すのが大事。

興味が大切とはいえ、仕事で人の名前を覚えるとか、受験に向けた勉強など、必要に迫られ覚えなくてはならないことが日常の中にはたくさんあります。それらを覚えるには、情報を反復させ、必要なことをとにかく詰め込むという考えが長い間主流でした。ところが2008年に発表されたハーバード大学での実験で、この考え方が覆されたのです!(実験の内容・結果は、下の表を参照)

「今までは、どれだけ情報を脳にインプットできたか?が問われていましたが、記憶を定着させるポイントは、その情報をいかにアウトプットしたかだということがわかりました。つまり、海馬は『こんなに入ってくるから』ではなく『こんなに使うなら』覚えようと、情報を選んで記憶していたのです」

勉強なら参考書を何度も読み直す(入力)より、問題集を解く(出力)ほうが効果的だということです。

睡眠は効果的な自分への投資。

記憶のメカニズム(※)の中では睡眠が大切な役割を果たしています。海馬がその日に覚えた情報を、寝ている間に整理整頓し、大脳皮質がそれを記憶として定着させます。海馬と睡眠(※)が勝手に学習効率を上げてくれるのだから自分はぐっすり眠ればOK。こうして定着した情報は忘れ難いのが特徴。睡眠は自分への投資とも言えるでしょう。「残念ながら、一夜漬けで覚えたことは忘れやすいんです。少しずつ学んで、睡眠で定着させるという繰り返しが、脳の生理に基づいた最善の記憶法です」

記憶力アップは自分の興味と努力次第。

このように、記憶力は年齢に関係なく、おもしろいと興味を持つことや、必要だと思うことにきちんと取り組むかどうかで違ってくるのです。

記憶力の低下が「トシのせい」ではないということは、今からでも、いろんなことを覚えられる可能性が無限にあるということ。やみくもに記憶力アップを図ることはないけれど、いろいろなことに興味を持って前向きに努力をした結果、ワクワクと楽しい生活が送れるなら、それはとても素敵なことだと思いませんか?

2008年の大発見!実験でわかった!記憶の定着には出力が大切だった。

ハーバード大学の学生に、意味を知らない単語(スワヒリ語)40個を覚えてもらい、テストを実施。復習法・テスト法を変えた4グループで実施したところ、4グループとも7回ほどのテストで全問クリア。ところが、1週間後に再テストしてみると、グループに大きな差が出ました。

入力・出力の量を入れ替えただけのグループ③④の結果に注目すると
脳は入力ではなく、出力の頻度に反応するということがわかりました。

よくわかる!用語解説

文中にある、(※)が付いている言葉について解説しています

脳の寿命

2005年に、当時の世界最高齢であるオランダ人女性が亡くなりました。115歳だったその女性の脳を調べたところ、脳のいずれの機能も若い時と差がないことがわかりました。女性は、加齢のほかは身体のどこにも疾患はない健康体でした。学者はこの結果から、脳そのものの寿命が120年はあるだろうと分析しています。

度忘れの回数

2009年に発表された実験で、大人から子どもまで度忘れの頻度は一定だったという結果が報告されています。

海馬

脳の中にある、記憶を司る器官。さまざまな情報を収集し、それを統合したり取捨選択する「記憶の司令塔」として機能。屈曲した形が、タツノオトシゴ=海馬の尾に似ていることからこの呼び名になったようです。

記憶のメカニズム

もの事を記憶する過程では必要な情報を取捨選択する海馬の機能と、選んだ情報をきちんと系統立てて保管する大脳皮質の機能という、ふたつのシステムが働きます。海馬が睡眠中に選んだ情報を定着させ、大脳皮質で貯蔵することで記憶として使えるようになるのです。

海馬と睡眠

海馬は寝ている間に選んだ情報を整理し直します。こうして記憶をバージョンアップさせ定着させるプロセスを「レミニセンス現象」と言います。

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