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知っトク!?健康スキル

やる気を出す。リラックスする。“におい”で気分は変えられる(1/3)

掲載号 vol.55

行動や気分を変化させる!侮るなかれ、においの力。

五感による知覚のうち、最も大きな割合を占めるのが視覚。これは、前号の特集でもお伝えしたこと。私たちは、さまざまな情報をほぼ視覚から得て、危険を回避するなどの行動につなげています。対して、嗅覚からの情報はほぼ使っていません。ヒトの嗅覚に関しては、動物としての本来の機能が退化しているそうです。しかし、においには、行動や気分を変化させる力がありコミュニケーションや健康維持にも関係しているようです。においは、実は侮れないものなのです。

記事内容

読了時間:12分

行動や気分を変化させる!侮るなかれ、においの力

においには行動を決める力がある!

今日のランチは、お寿司を食べよう。そう決めていたのに、漂ってきたカレーのにおいにつられてそのままカレー屋さんに入ってしまった。焼き立てのパンのにおいを感じて、ついパンを買ってしまった。そんな経験はありませんか?おいしそうなにおいは、食欲をくすぐる魅力がありますよね。事実、においは行動を変えるきっかけになるのだそうです。

基本的に、私たちは五感から得た情報によって行動を決めています。五感からの情報入力はほとんどが視覚、聴覚(言葉)で、目と耳からの情報で行動を決定しています。ただ、嗅覚が役に立っていないわけではありません。嗅覚はほとんど使っていないと思いきや、やはり行動に影響しているのです。スーパーでカレーのにおいを漂わせると、カレールーの売れ行きが伸びた、という話もあります。においにも、行動を決定させる力があるのです」

お話をうかがったのは、東京大学 大学院農学生命科学研究科の東原和成教授。においやフェロモンの研究を専門とする先生です。「においの正体は、空気中に漂う化学物質。目には見えない分子で、数十万種類あると言われています。その“におい物質”を、私たちは鼻の中にある嗅覚受容体というセンサーで認識しています。約400種類ある嗅覚受容体と、数十万種類のにおい物質との無数の組み合わせで、においを嗅ぎわけているのです」

センサーが受け取ったにおいの信号は脳に届き、それが何のにおいなのかを記憶の中からとり出して、“食べたい”などの感情を引き出します。目や耳からの情報も同様に、脳で記憶や感情と結びつきますが、においの情報は、視覚とは違う経路で脳に届きます。

「視覚や聴覚の情報は、脳の視床という場所に届き、さまざまな場所を経由して、感情を司る扁桃体や、記憶を司る海馬がある【大脳辺縁系】に届きます。しかし嗅覚からの情報だけは、この大脳辺縁系にダイレクトに届くのです。視覚などと比べて短時間で情報が届きますから、より本能的に身体が反応するわけです」

においは、
感情や記憶を刺激する

においは、感情を司る扁桃体や、記憶を司る海馬がある大脳辺縁系に、直接伝わります。食べ物のいいにおいを嗅いで「食べたい」と感じたり、あるにおいで過去の記憶が急に蘇るのはそれが理由です。

においは、感情や記憶を刺激する

ヒトの嗅覚は退化し、独自の進化を遂げた

食べもののおいしさを楽しんだり、空間を好みの香りで満たしたり、生活を豊かにすることに役立てられているにおい。動物の中でも、これはヒトだけができることだそうです。

「ほとんどの動物は、敵から身を守ったり、獲物を捕まえたり、仲間かどうかを判別したり、生き延びて子孫を残すために嗅覚を使っています。種を維持するという根本的な生命維持に、嗅覚が大きくかかわっているわけです。しかし、私たちヒトは、そういった動物としての本来の役割としては嗅覚を使っていません。おいしさや癒しを得るといった進化した形で使っているのです」

実は、そのように“楽しむ”香りだけではなく、“気づかない”においもあるそうです。それが行動や気持ちに無意識に影響していることもあるのだとか。次ページではそのことについて詳しくお伝えします。

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