知られざる働き者。ビタミンDは、頼れる免疫調整役。
読了時間:13分
知られざる働き者。ビタミンDは、頼れる免疫調整役。
知られざる働き者 風邪・インフルエンザが流行る季節に。
ビタミンDは、頼れる免疫調整役。
今、ビタミンDは世界的に注目されている栄養素。これからの季節のキーワード"免疫バランス"に大きく関わっています。その知られざる特性について、ご紹介します。
紫外線で体内生成される
唯一のビタミン。
身体が必要とするビタミンの量はごく微量ですが、人間の生命を維持するのに欠かせない必須栄養素。そのほとんどは、食物から摂ることで補われます。
「ビタミンは、基本的には体内で生成されませんが、その中でも、ビタミンDは特別な存在。実は、ビタミンDだけが人間の体内で生成することができるんです。その方法は、紫外線を浴びることです」。こうして生成されたビタミンDは、臓器や筋肉、神経に対して、多岐にわたる生理作用を及ぼし、さまざまな力を発揮します。
血中ビタミンD濃度と
インフルエンザの発症。
「米国のある研究で、血液中のビタミンD濃度の、月ごとの変化を調べてみると、1年のうち日照時間が最長の8月が最も高く、最短の2月が最も低いことがわかりました。驚いたことに、この2月の時期とインフルエンザ発症率のピークがまさに一致しているんですね」と浦島先生。つまり、日照時間が短くなると、血中のビタミンD濃度は自然に減少します。ビタミンDが日光により生成されるという事実を考えると、当然の結果と言えるでしょう。また、浦島先生の研究室で行われた試験でも、インフルエンザとビタミンDの関わりを示す結果が発表されました。(下図)
インフルエンザとビタミンDの関係
浦島先生の研究室では臨床試験によって、インフルエンザとビタミンDの深い関わりを調べました。「2008 年に行った臨床試験で、小中学生のふたつのグループのうち、一方はビタミンDを3~4か月間摂取し、もう一方は摂取しませんでした。結果、摂取したグループは18人(10.8%)が発症、しなかったグループは31人(18.6%)が発症。ビタミンDを摂取しないと、インフルエンザの発症リスクがおよそ2倍に上がったのです」。
ホルモンのように密かに体調を整えてくれる。
浦島先生によると「現在、すでに心筋梗塞や大腸ガン、ぜんそくやアトピーなど、さまざまな症状とビタミンDとの関係性を探る研究が、世界中で進められています」とのこと。体内で生成され、免疫バランスを整えたり、代謝機能を高めるなど、各組織の働きを"調節する役割"を果たすビタミンD。そんなビタミンDについて「ビタミンの働きとしてだけでなく、ホルモンに匹敵するほどの重要な役割を持っているものだと言えます」と浦島先生。ちなみにホルモンとは、人間の体内で分泌され、非常に微量ながら、健康を維持するために働くもの。女性ホルモン、甲状腺ホルモンなどは、その代表です。
もう少し具体的に説明しましょう。「最近では、腎臓や骨、腸管、さらに、筋肉や神経、心臓など、体内のほとんどの組織で、ビタミンDを受け入れる細胞(=受容体)が見つかっています。ビタミンDは、細胞の核内に入り込み、その受容体とくっついて力を発揮し、免疫調整や代謝機能をコントロールしてくれます。そのように身体の多くの働きに関与し、身体にとって重要な役割をする点で、ホルモンに似ていると言われているのです」。実際、ビタミンDは、体内に侵入した細菌をやっつける免疫細胞の分泌や発生を促したり、血液中のカルシウム量をコントロールしたりと、さまざまな"目に見えない働き"をたくさんしてくれます。
「ビタミンDは、急速に劇的な変化を招くものではありませんが、ホルモンのように全身に行きわたり、機能してくれる免疫調整役なのです」とのこと。次ページでは、ビタミンDを不足させないために、上手に摂る方法をご紹介します。
スペシャルコラム 女性にとって気になるビタミンDの可能性
ビタミンDを摂取してくびれボディに!?
ビタミンDの血中濃度が正常な人は、低い人に比べてメタボリック症候群になる確率が45%。つまり、発症リスクが半分以下であるという研究結果が米国で報告されました。ビタミンDには免疫バランスを整えるだけでなく、筋力を強化する作用もあるため、代謝も上がって脂肪が燃焼、肥満予防や解消につながるようです。くびれのあるボディラインに、ビタミンDが一役かっているかもしれませんね。ダイエットに取り入れてみてはいかがでしょう。