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ふふふなコラム

和紙作家堀木エリ子さんが語る、手漉き和紙ならではの表現

掲載号 vol.13

Vol.7

記事内容

  • 和紙作家・堀木エリ子さん

読了時間:5分

和紙作家・堀木エリ子さん

「白い紙は神に通じる」。受け継がれる思いを次世代へつなげたい。

和紙を使ったさまざまな商品を開発する会社に、経理事務員として勤めていた堀木さん。その時訪れた越前和紙の工房で、氷のように冷たい水に肘まで浸して和紙を漉く職人の姿を目の当たりにしたことが、和紙に深く携わるきっかけになりました。そんな堀木さんの、和紙に込める熱意をうかがいます。

堀木さんにとって、和紙の魅力とはどんなものですか。
「日本には、白い和紙は不浄なものを浄化するという考えがあります。肉体を酷使して紙を漉く職人さんの心には「白い紙は神に通じる」という精神性が受け継がれています。そこに込められた"思い"こそが和紙の魅力。私は専門的にアートや和紙の勉強をしてきたわけではないので、「和紙はこうあるべき」といった固定概念がなかったんです。だからこそ、新たな取り組みに挑戦することができたのだと思います」

新たな取り組みとして、和紙を建築やインテリアにも利用されてきました。その中で一貫して、手漉きの和紙にこだわっていらっしゃいますね。
「機械漉きと違い、手漉きの場合は思い通りにならないことが必ず起こります。もちろん大失敗もありますが、水の状態や温度の違い、ちょっとしたタイミングのずれで、思いもよらなかったすばらしい柄が浮かび上がることがあるんです。自然が相手だからこそ生まれる偶然の産物。それを大切にしたいから、手漉きにこだわっています」

ショールームで、作品を拝見しました。光の変化によって、和紙の表情が変わることに驚きました。
「光によって、表情が変化するというのも和紙の特性です。例えば日本家屋に昔から使われていた障子は、紙一枚を介在させて、こちら側とあちら側を隔てます。けれど、人の気配や陽が傾いていく様子が伝わる、適度な距離を保ってくれます。部屋の中に居ながら、障子の向こう側の、花の香りや紅葉の色、月の灯りを感じることで、心の安らぎを得ることができるのです。そこには、情緒や情感を大切にするという、日本独自の美学が反映されていると思います」

時代の要望を聞き、空気や気配に思いを馳せる。

外界や向こう側の空気をほんのりと伝える和紙は、神秘的な素材ですね。
「そうです。ですから私は作品を作る時、その周りに広がる空気や気配をどう演出するかということを考えます。和紙を介して、日本に伝わる独特の美学を伝えるのが、私の役割ですから」

そのようにして、和紙の新たな可能性を広げてこられました。今後チャレンジしたいことはありますか。
「私の場合、アイデアやチャレンジの源は、すべてお客さまからのご要望です。『和紙を使って、こんなことできないかな?』とおっしゃる時、お客さまは、まだ世の中に存在しないものを求めておられるわけです。私はそれを『時代の要望』だと考えています。今後もそれを、手漉き和紙にしかできない表現と私にしかできない手法で、形にしていきたいと考えています」

取材を終えて

堀木さんの「時代の要望を聞く力」によって、和紙の新たな未来を切り拓いたことに感動しました。私も、お客さまの声をしっかりと聞き、私なりの方法で、お客さまそれぞれのご要望に合わせたケアを提案していきたいと思います。
上垣裕美


堀木 エリ子さん

ほりき えりこ●1962年・京都府生まれ。銀行員を経て、和紙を扱う会社に転職。1987年に呉服問屋で、和紙部門のSHIMUSを立ち上げる。2000年に独立し、株式会社堀木エリ子&アソシエイツを設立

(右)独自の手法で立体的に漉いた和紙と、バカラのクリスタルのコラボレーションによって誕生したライティングコレクション「Sora 旋律 ランタン」
(左)「新たなことに着手する時“できない理由”はいくらでもありますが、それらを捨て、できる前提で考えることが大切」と堀木さん

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